第5話
土曜日
日付が変わろうかという時間帯に、ニュースが飛び込んできた。
三度目の大量殺人事件。
今度は西隣の市で起こり、一つのマンションの住人が全員殺された。
そして殺された人の数は十五人であった。
「あいつよ」
俺はもうなにも言わなかった。
日曜日
続報を見るまでもないが、一応見てみた。
今度も警察は同じ見解を示した。
三十分足らずの間にマンションの住人十五人が殺されたこと。
被害者が撲殺されていること。
毎回同じ人数だと、考えられることは一つだ。
あいつはなぜかわからないが、わざわざ住人が十五人のマンションをねらっている。
関東エリアであるこのあたりは、探せば住人の数が十五人のマンションが、それなりにあるのだろう。
今頃は十五人住んでいるマンションの住人は、少しばかり慌てているかもしれない。
いや、それほど慌てたりしていないのかもしれない。
十五人住んでいるマンションのいくつかが皆殺しになったとしても、自分には関係がないと思う、あるいは関係がないと思いたいという心理があるはずだから。
心の奥底では不安にかられながらも、本人もそれと気づかずに日々を過ごしてしまうのではないかと。
この俺はというと、十五という数字にすこしばかり安心感を覚えていた。
ちょっと前まではここの住人は十五人だったが、美里が俺の部屋に住むようになり、今では十六人となっているからだ。
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