02:株の動き 2日目

 えーっと。ここは、何処だ?

 目を覚ました。

 辺りを見回す。

 真っ暗だ。

 真っ暗ほど怖いものはない。

 とりま、自分の名前を思いだそう。

 俺の名はかぶ。私立探偵だ。

 良かった。

 記憶に別状は無さそうだ。

 ここは…………。

 死後の世界だろうか?仮にそうだったとしても、地獄に違いない。前世での悪行に思いを馳せる俺。

 ……ああ、駄目だ。天国に行けるわけがない。神様、今まで本当にすいませんでした。来世は、もうちっとましな人間になります。あああ。

【…………あのー、ちょ、ちょっと宜しいでしょうかあ?】

!?だ、誰だ。ま、まさか……あの閻魔大王か??ついに裁きがあ……。

【えと……その、なにぶん誰かと話すの、久しくて……。】

な、なんなのだ?新手あらてのテレビ橋ー(訳:テレパシー)か??話し手の姿が見えない。辺りは真っ暗なままだ。

【コホン。ボクは亜空神ソーバ。ココは、ボクが創造した、あ、亜空間でしゅっです!】

あ、噛んだ。……って、亜空間だあ???亜空間……ってなんだあ???

【えとね、平たく言うと……ゴミ捨て場みたいなとこかな。ココは、古今東西の次元のゴミがひしめく場所なんだ。】

へー。

 ……。

 ……っておいい!!んじゃ、俺はゴミか!?あながち間違いではないが。

【キミは……特異だね。極稀ごくまれにココへやって来る、強制送還されたゴ……人のようだ。】

今絶対ゴミって言おうとしただろ??チッ。

 で、結局俺はどういう状態なんだろうか。死んだ……んだよな?

【正確には違う、かな。キミは、俗に言う『精神生命体』という存在になった……的な?】

こいつ、だいぶスムーズに話せるようになってきたな。

 ……。

 っなあああああああ????

 精神……生…………なんだっけ?

【精神生命体!!肉体を持たない、いわゆる「魂」の状態ってことだよ。】

もーいいや。知らない。俺がバカなの知ってるくせに。

 んで?俺、これからどーなんの?

【ゴミ捨て場のゴミがどうなるか、キミにもわかるだろ?】

そりゃ回収されて燃やして……ってダニィ!?

 俺……燃えんの?

【まあね。でも、久しぶりに生物と話せたことだし、ボクが救ってあげてもいいよ。アレだ、神の気まぐれってやつ、かな?】

最初のオドオドした感じはどこへ行ったのやら。

 だが、俺だって燃えたくはない。

 頼む!!救ってくださいませ、神様あ!!

【よし。いいだろう。キミを、キミがもといた世界にかえしてあげよう!ただし、キミは精神生命体となったままだ。肉体がなかったら、ただのゴミでしかない。】

もはや、「ただのゴミ」と呼ばれることになんの抵抗も感じなくなっている。これが、神の覇気というやつなのだろうか。今更だが、圧倒的な力を感じている自分がいた。

【世界を飛び回って、ピッタリの肉体――宿主を見つけるんだ。詳しくは、実際にやってみてね。】

お、おう。

 俺がそう思った途端。

 辺りが白い光で満ち溢れる。

 

 

 

 

 ( ゚д゚)ハッ!

 ここは?

 地球……だろうか。

 ……。

 …………。

 ………………。

 ま、いいや。

 帰ろう。そう思い、周囲を見渡す。とりあえず、てきとーに宿主とやらを見つけなければ……。


*****************************


 とあるスラム街。

 一人の少年が、息を引き取った。

 別に、ここではなんの違和感もないことだ。

 ただ、1つ違和感があったとすれば、その少年が、息を吹き返したということであった。

 死んだ人間の肉体の側を、偶然精神生命体が通りかかることはあまりない。したがって、大抵の場合は、宿主の、条件付きの人格の1つとなるのみにとどまる。

 精神生命体と肉体が融合を開始する。

 そして、力尽きていた少年は、再び目を覚ます。


*****************************


 ――と、いうわけで、めでたく肉体を手に入れることができた訳なのだが……。

 どうしたもんかねえ……?




to be continue.....

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