Episode 5 ルール説明
「はい、お喋りはそこまで」
突然部屋中に響き渡った甲高い声。どこから聞こえたのかわからなく、6人はあちこちをキョロキョロと見渡した。
「誰!?」
と陽子が訊けば、
「私達を誘拐した人なの?」
と付け足す彼氏に浮気された女性。
再び甲高い声が流れ出す。
「誘拐なんて人聞き悪いな。これにはちゃんとした理由があるんだ」
数十秒の沈黙が流れた後、甲高くそれは言われた。
「今から、老人ゲームを始める」
「「老人ゲーム!?」」
見事に6人の声が揃った。
「なに? その変な名前のゲーム」
と美人店員さん。
「人狼ゲームの間違いじゃないの?」
と女優の比良津榎奈。
「いや、間違ってなんかいない」
謎の声は続けた。
「私は研究者で、若返る薬を作るため、ある年を取った女を実験台にしていた。ただ、出来上がった薬をその女に飲ますと、若返ったが逃亡した」
謎の声の言葉に、6人は真剣に聞いていた。
「彼女の若返った顔を見たのは、研究員の一人だけ。だけど、その研究員は犯人に殴られ、記憶喪失になった」
「待って」
陽子が口を挟む。
「その言い方だと、研究者さんは犯人が誰なのかわかっているみたいじゃないですか」
「ああ、知っている」
加工された高い声のはずなのに、その声がとても低く感じられた。
「なにそれ……」
浮気された女性が立ち上がり、声が聞こえるであろう方向に体を向ける。
「じゃあ、今すぐその女を捕まえなさいよ! そんなことで関係のない私たちまで巻き込まないで!」
興奮する失恋女性とは正反対に、謎の声は冷静に答えた。
「関係ない? 君たちは老人ゲームに参加できる権利をもらったんだぞ。それに、ここに集まってもらった女性は逃亡した犯人と同じ手首にほくろがある」
6人はとっさに自分の手首を見た。確かに、それぞれの手首にはほくろがあった。
「まあ、一目見て誰かわかったけどな……」
その言葉は誰にも聞き取れなかったらしい。
「ゲームのルールは簡単だ。6人で話し合い、怪しい人を追放していく。老人を追放するまで、このゲームは終わらない」
「え~めんどくせえ」
ニート店員は本当にめんどくさそうに、足をぶらぶらと揺らす。
「追放されなかった人は、100万円もらえると言ったとしても?」
ピタっとニート店員の揺れる足が止まる。
最近親からの仕送りが来ないから、よけいお金の話に敏感になっているのだ。
「……ふっ、全員参加するようだな」
6人とも、お金に逃れられることはなかった。
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