第201話 パルスー

パルスーはシュメール神話に置ける、神々の基本的な社会的慣行・宗教的習慣・技術・行動規範・文明を形成する人間の条件などに関する基本的な事項が記されているとされます。

神と人との関係まで定められているとされるこれは一対どんなものなのでしょうか? 一説には本当にモーセの十戒だそうだとされて居ますが?


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本文


軍義も終わり一息つくと、ニビル側の使者が現れた。

忘れもしない、ヘスティアーとディオニューソスだ。

そこに一人、見慣れない男が一人いた。ロキだ……

ロキは悪戯好きな神で有名だが、様はチキン野郎って事だ。

感じ的には見た目は普通、皆がしている様な纏う物は神話に出てくる神が着ている様な白い装束、画に出ている様なピエロの格好はしていない。


だが…………浩二はこのロキと言う神に警戒している、同じ軍師としてか、それとも…………


「ニビルより参りました、私はヘスティアーです。お久しぶりです、大いなる母、アプスー、そして…………健、大和」


「前置きは入らぬ、そこな二人を皆に紹介するが良い、妾は存じておるが、他の大概の者が初であろう、特にそこにおるロキに関してはのう」


「あれがロキか……ポセイドーンよ、お前は前にヨルムンガンドの件で会った事が有ったな?」


「いや、ハデスよ、私も実際に会うのは初めてだ。」


殆どの者がロキを見るのは初めてのようだ、表舞台にはあまり出てこない神の様だが…………神話ではよく登場している、どういう事だ?


「たけちゃん、あのロキと言う神、一筋縄では行かない様だよ? 神話にはあれだけ登場しているのに他の神々は皆初みたいだ、母上がロキには気お付けろと言う意味がようやく解ったよ」


「どういう事だ?」


「ギュルヴィたぶらかし、、あれを仕掛けたのはやはりロキだ。今回も恐らくロキが仕掛けている事だ、たけちゃん…………この問答には全て俺が相手をする、たけちゃんは黙って居てくれ。

悪いがたけちゃんの性格を把握すればたけちゃんを騙すのは簡単な事なんだ、奴はそれを狙って来る」


「なんかムカつくがお前がそう言うならお前に任せるよ…………」


浩二に任せて置けば間違いない、俺を今まで救って来たのは浩二だ、神話で英雄雷神トールを幾度も救って来たのはロキだが、俺には浩二が居る、そしてトールは死んだ。


「では皆様に改めてご紹介します、こちらはディオニューソス、ご存知オリュンポスの酩酊の神です。そしてこちらはロキ、ヴォーダンの神で閉ざす者、終わらせる者と言う神格を持って居ます。今回ご同行願ったのはこの無意味な戦いを終わらせるに相応しい神格の持主であり、またオーディーンの義弟である事でオーディーンの代行も勤められる事からお招き致しました」


「ロキです、大いなる母アプスーにお目にかかるのは何千年ぶりでしょうか? 私はあまり表に出たい性分では無いことから皆様とお目にかかる機会はございませんが、この度兄オーディーンより平和の使者としてこの場に参じる様にと神命を受け、負かり越しました」


「では具体的な話をさせて頂いて宜しいでしょうか?」


「しばし待つがよい、今桜、ティアマトも呼んでおる、もう到着するであろう」


「…………⁉ ティアマトも来られるのですか⁉」


「何を言っておる、ティアマトも今は桜と名を変えお前達が王と推挙した我が主人の今は妻ぞ? ここに来るは礼儀で有ろう?」


何を焦って居る? 桜がここに来るのは何か不味いのか? ティアマトは全ての母で朔と同じだ。

これもどうせ浩二の計略だろうが…………

いや、待てよ? 朔と桜の違いは…………アプスーは男神となり神々を産んだ、ティアマトは母神となり神々を産んだ。

詰り全ての者の母は本来桜だ、アプスーもティアマトも本来性は無い、だからこいつら神々が朔を母と呼ぶのは間違いでは無い、だが…………

そう言う事か浩二、こいつ相変わらず切れやがルぜ‼

そうだ、アプスーと違いティアマトは塩と淡水の間で結ばれる聖婚により、平和裏に秩序を一連の世代を通じて生み出す創造の女神。

こいつら神々はヒエロス・ガモス、神婚、聖婚、聖体婚姻ともいうが、ティアマトである桜の前で執り行われる全ての祭儀はこのヒエロス・ガモスを意味する、詰りここでの誓いは神々の間では絶対の取り決めに成る訳だ。

最高の切札を俺は持っていたことに成る、そう言えば朔や桜と俺が夫婦になったのは俺が朔を強姦したからだよな? て事は…………イナンナの計略か…………⁉ これとか俺の性格を把握してる奴じゃねえと出来ねえよな? さっき浩二の野郎何て言ってたっけ? …………


『悪いがたけちゃんの性格を把握すればたけちゃんを騙すのは簡単な事なんだ』


………………浩二か…………あの野郎俺がもう一度ここに来る事を知ってたよな? 詰り今回のこの世界での事は…………全部あいつが仕組んでたんじゃねーーかーーー!

殴らねえと気がすまねー!


ゴキャ‼


「いて! ちょ! いきなり何だよ‼ たけちゃん⁉」


全員が俺の拳骨を驚いて見ていた


「おい! 浩二…………後でお前にタップリと聞きたい事がある、解ってるな?」


「…………え? …………気付いた?」


「あたりめえだ! この野郎‼」


「ちょっと兄さん! 今はこの会議が重要な事でしょ!」


「おい久美、耳貸せ」

「何? ……………………健二、、、あたしも一緒に話が有るわ…………」


顔面が真っ青に変色していく浩二…………悲壮感を漂わせる朔…………間違いねー、一連の事は全てイナンナと朔、桜で仕組んでた事だと俺は思ってたが…………全部こいつだ…………


そして桜が到着した


「すまぬのう、遅おなってしもうた」


皆が桜に平服している、成るほどな…………

産みの母と父親とではこれ程の違いが有るのか、人間の世界も神の世界でもこれは同じなんだ、母の方が子に取っては一番何だ。


「ではヘスティアーよ、始めるが良い、桜は聞いておれば良い」


「そうじゃのう、妾は難しい事はよう解らぬ、全て主人殿とお主に任せる」


「では先ず主とオーディーンからの今回の休戦について、休戦から停戦、そして和解迄に至る案を再確認したいと思います。それについてはここにいるロキより呈示させて頂きます」


「では私から和解案の呈示を、先ず我等はこの地球の現状について、ベール様より評議会の決定で地球人の粛正、及び再教育が決定されていると聞き及んでおりました。また全権をアヌ神がベール様に持たせた事を聞き及んでおります、アプスー様に確認させて頂きます、これは間違い無いでしょうか?」


「間違うておらぬが、評議会の決定は地球人の粛正再教育についてはパルスーに乗っ取って行われる事になっておる、故にエアが粛正及び再教育を行う事に成っておる。そしてエアはパルスーをニンガルに譲る事を決めた、評議会もこれを認めておる、故に今再教育や粛正を行うのであればそれはイナンナがやるべき事じゃ」


「やはりそうでしたか、我等ヴォーダンやオリュンポスは実行部隊ですが、エア神は反逆の罪にて追放され、娘のニンガルにパルスーを渡して逃亡したと聞かされています。ですがその事に疑問を持ち調べた所、其が間違いで有った事を知りました。よって我等は期を見てナンムの一族を廃する事を決意しました。よって地球人の再教育と言う名の洗脳は一切しない事を約束します」


「では一つ確認事項を私から宜しいでしょうか? 母上?」


「構わぬ」


「少し待たれたい」


「何じゃ? ロキよ」


「その者は如何に現在の大和殿とアプスー様の子とは言え、その魂は人間の者、ここでの発言件は無いものと思いますが?」


「そうじゃのう、人間の魂はまだ未熟、よってその意見を取り入れる事はパルスーには無い。じゃがロキよ、パルスーには人間と神の境は何処で引く事に成っておる?」


「記憶を持って生まれ変わる事が出来るか出来ないかです」


「そうじゃ、神と成る者は成熟した魂の持主であり、その成熟した魂は宇宙意思、詰り妾やティアマトと触れ合う事により、大いなる大宇宙の礎となる事が出来る。よってこの健二は神となった、故にこの場での発言はパルスーにより認められる」


「神となった? どういう意味ででしょうか?」


「この健二は主人殿の親友である斎藤浩二の転生体じゃ、浩二の記憶を保有して妾と主人殿の子として産まれ出でた」


早くも浩二の主動で会見が進み始めた、パルスーには神々の地球に置ける全ての決まり事が記されて居る。

神々の基本的な社会的慣行・宗教的習慣・技術・行動規範・文明を形成する人間の条件などに関する基本的な事項が記されている。

神と人間の関係を記されている事柄故、地球に置いてこれを害する事は例えアヌ神でも許されない。

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