最終章第二部

第200話 悪魔の策略

神をも手玉に取る浩二の策謀、ナンムやオリュンポス、そしてヴォーダンに迫る魔の手、絶対に敵に回してはいけない男が牙をむき始めました


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本文


健達対エインヘリャルの戦闘区域


「これで終わりよ!」

今正に朔耶の首が落とされようとしたその時


『両者其までだ‼』

朔耶の首一歩手前でサーガの杖が止まる


「主神⁉」


『今我等ニビル軍と連合軍で休戦が結ばれた、これ以上戦闘を繰り返すのは両軍に対しての反逆行為と知れ‼ 両軍は直ちに帰投せよ‼』


「命広いしたわね」

「貴女がね…………」


「え⁉ …………」


朔耶の首には御札が付いていた、そしてその御札が燃えて無くなると朔耶が消えた、そしてサーガの心臓の位置に朔耶の険が突き立てられていた、その剣はサーガの神衣を突き抜け正に後一歩でサーガの心臓へ突き刺さる位置にあったのだ。


「……………………私の敗けだわ…………朔耶……と言ったわね…………貴女の事、覚えておくわ、次は負けない」


「忘れて頂いた方が有り難そうですね?」


「無理よ、私これでも嫉妬深くて執念深い女なの」


「とても迷惑です…………」

「よく言われるわ!」


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「残念だな……だが聞かない訳にも行くまい…………勝負は暫くお預けだ…………」


「たく良いところだったのによ!」


「そう言うな大和、何れお前とは再び合間見える事に成るだろう、私とお前とはそう言う宿命に有ると思える」


「宿命とやらに今回は期待しておくか…………」



そうして一端の休戦は結ばれる事になった。



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その時本陣では


「お主まさかこれを見越しておったのか⁉」

「こうも早いとは思いませんでしたが…………あの女神スクルドが直に持って来るとはさすがの僕も思いませんでしたよ」


「私の事をご存知だったのですか?」


「勿論、それにフレイアさんから貴女が此方に付いた事は聞かされていました。貴女は運命の三女神の一人で貴女の姉二人と貴女で神々の黄金時代を終わらせる女神、詰り鍵を握っているのは貴女方運命の三女神だと言うことは最初から解っていました。でもまさかこう言う鍵だとは思ってもいませんでしたが…………」


「アテーナー、まさか貴女がここに居るなんて、でも良かった、貴女が無事で」


「…………無事なのは無事だけど…………無事じゃ無いところも…………」


「無事じゃ無いところ?」


「え、ええ……その…………」


「ぬを! アルテミスちゃーーーーーーーん!」


「え⁉ エエーーーーーー!」


ザシュ‼


「え? 刺さってる…………」


健の顔面に変型したウルスラグナの剣山が刺さっていた。


「?…………こっちはまさか? スクルドちゃーーーーーーーん」


「キャーーーーーー‼」


ボク!

バキ!

グキャ‼


「羽子板?」

「バドミントンよ!」


「ウワハハハハ! 予想以上だよ大和君! オルペウスの言う通り君とは気が合いそうだ!」


「ん? まさかお前は! アポローンか?」


「そうですよ、大和君、久しぶりですね?」


「オルペウスか⁉」


「イヤーいきなりアルテミスに襲いかかった男は君が初めてだよ! 流石のアルテミスも迎撃出来なかったみたいだね、でも君の相方が迎撃したみたいだね」


「ふ!…………甘いぜアポローン、俺が只でやられるとでも思ったか?」


健がおもむろにポケットへ手を突っ込むと、二枚のパンティが取り出された…………


「そ! 其は⁉」


スーーーーーー、ハーーーーーー、スーーーーーー、ハーーーーーー


「キャーーーーーー‼」

「キャーーーーーー‼」


「アルテミスとスクルドのパンティかい?」


「ムハハハハハハ、良い香りダゼーーーーーー!」


三方向からのパンチの連打が健の顔面にヒットした


ボギャ‼


敢えなくノックダウンする健


「はー…………またやっておるのか…………」


「アプスー様」


「主人殿が目覚めしだい軍義を開くぞ…………」


「暫く復活しそうも有りませんね…………」


「アンナ、水でもかけて強引に目覚めさせるがよい…………ポセイドーンもハデスも来ておる、余り待たせるのも悪いでのう」


「解りました」


「全く何なのよあの変態は!」


「あれが大和よ!」


「あれが? 本当? アテーナー!」


「そうだ、あれが我が主人様、健様だ」


「あ! ………………パラス!」


アルテミスは泣いていた、アテーナーとアルテミス、そしてパラスは姉妹の様に仲が良かった、アルテミスもパラスが復活した事によって揺れ動いていたのだ。


「アルテミス、貴女ともこうして逢えるなんて」


「パラス、本当に貴女なのね?」


「こうして又3人でお話し出来るなんて夢のよう…………」


「所でアテーナー? さっき無事じゃ無かったとか何とか…………」


「ああ………………彼処でひっくり返ってる馬鹿に一腹盛られたのよ…………」


「え?」


そう、健は対に使用したのであった、覚えて居るだろうか? 浩二の発案で製造した禁断の薬を…………


フレイアとアテーナーの二人が犠牲者第一号になったのであった。


「勿論気付いた後シンボル潰してやったけど風船みたいに膨らんで直ぐに直っちゃったのよね…………アルテミスも気お付けてね?」


沈黙が辺りを支配した


そして俺達は軍義を開いた、南アトランティス軍との合流前に、主要な者は浮舟で転移させ、ディオニューソス等が来る前にすり合わせを済ませる為との健二の意向でだ。


「さて健二、休戦の理由を聞こうか? 一応俺達はエインヘリャルを押していた。其なりの理由が有るんだろ?」


「当然だよ、ただ先ず皆戦が始まって大切な事を一つ忘れている、休戦はそれの是正の為でも有る」


「大切な事とは? 健二殿」


「ヒュプノス様、それを答える前に先ず彼女の話を聞いて貰いましょう、スクルド様、宜しいですか?」


「はい、全員が私の事を知っていり訳では無いようなので、先ず私はヴォーダンの一族、ノルンの三女神の一人でスクルドと申します。この度想うところ有り、こちらのアプスー様の元にお身方するために参じました。ノルンの三女神全てが同じ思いですが、有る理由により、私のみ急遽負かり越しました、その理由はこれをお持ちする為です」


「其は‼ 月の鍵か?」


「ハデス様、これは月の鍵ではございません。その動力炉へ続く鍵にございます」


「それを持って来たと言う事は、ナンムの一族がまさか⁉」


「ポセイドーン様、現在はまだ動いて降りませんが、マルドゥク様より主神が月の鍵を預かって居ます。もし皆様がエインヘリャルを全員倒してしまっていたら、あるいは…………」


「解りましたか? 皆さんが何を忘れていたか?」


「面目ございません健二殿、戦いの前にアプスー様より勝ち過ぎてはいけないと言われていた物を…………」


「構わぬヒュプノスよ、こうして今は休戦までこぎ着けたのじゃ」


「ですが何も今回の休戦はそれだけの理由ではありません、ナンムに今回は其なりのダメージを与えられそうな算段が見えたので、敵の休戦の話に乗ったんです」


「ナンムに? どういう事だ? 健二」


「先ず形だけでも今回はオリュンポスとの休戦に応じます」


「馬鹿な? 正気か? 健二殿」


「勿論正気ですよ? アイオロス様!」


「奴等は地球人を家畜に必ずするぞ?」


「それも解って居ます。ですがさせません」


「ではどうやってするつもりだ‼」


「落着きなさいアイオロス!」


「アルテミス!」


「健二殿には其なりの策有っての事です、先ず策を聞きましょう」


「では今回の件でのオーディーンからの話を母上、皆さんに話して貰って良いですか」


「うむ、先ずオーディーンは休戦の条件として地球人の洗脳をしない事を確約してきた」


「その様な事守る訳ございません、アプスー様」


「解っておるよハデス、次に主人殿のパルスーは狙わない事じゃ」


「狙わなくとも帝やイシュタルの分身を奴等は殺す筈ですよ! 母よ!」


「それも解っておる、タナトス…………じゃが主人殿の王座を認めると申して来た! そこが鍵じゃな? 健二よ」


「王座を?」


「そうですポセイドーン様、そこが今回の鍵です」


「おい! 俺はそんなもんメンドクセーからやりたくねーぞ?」


「まあそう言わないでよたけちゃん、形だけでもいいんだ、少しの間だけ我慢してよ」


「体裁位ならいいけどよ…………」


「そのどのあたりが鍵に成るのかしら?」


「アテーナー様、僕は人間ですが、神の決まり、詰りパルスーには王の意思は絶対では無いのですか?」


「王の決定は絶対よ! これは人間界のそれより厳しいわ! 今回ベールが反逆を企てたのもアプスー様やティアマト様が王として決めたアヌ神が地球の事に関してエア神とベールの双方に権限を持たせたのが原因よ? だけど本来ならパルスーを持つエア神にベールは従わないといけないの、それをベールは隠してエア神を追放した、其がそもそもの発端、王座を大和に託すとオリュンポスやヴォーダンが決めたのなら形だけでも父もオーディーンも従うわ! 大和に従わなければ今度は父ゼウスやオーディーンが反逆者として他の神々から追われる立場に成るわよ?」


「そう言う事です、詰り王座についたたけちゃんが、最初に出す王命が、母上や桜姫に対する反逆でナンムの一族を討伐する事‼ そして月の動力炉の完全破壊」


「成る程! ベールに対して弓は引かなくとも、形なりにナンムの一族には弓を引かなくてはならない、そしてオーディーンもゼウスも本来地球の破壊は望んで居ない、本来奴等は我等を倒した後でナンムの一族を滅ぼすつもりだったのだから…………これは一石二鳥処ではないな」


「そうですポセイドーン様、そして討伐隊の式をアテーナー様とスクルド様に取って貰えばオリュンポスもヴォーダンも文句無いでしょう、そして本命はたけちゃん、主要なメンバーで月の動力炉の破壊だよ?」


「王がやるのか? 健二殿」


「マルティア母上? ナンムの一族やゼウス、オーディーンが一番邪魔なのは誰ですか?」


「それは…………主人様か⁉」


「そうです、たけちゃんは一所にいるより主要な者達がいる戦場の方が安全何ですよ、それに暗殺者やナンムの一部を纏めて一網打尽にできる良い機会ですしね」


「だが来るか?」


「心配無用ですよアガメムノーン様、王自ら月の動力炉破壊に出陣すると公表すれば良い、そしてナンムの一族討伐は目標をここにすれば奴等は分散せざる負えません‼」


「ニビルに直接乗り込むのかよ……お前さっきのオーディーンとのやり取りでそこまで考えたのかよ…………化け物が…………」


「たけちゃんにだけは言われたく無いね‼」


「父が貴方の事を本当に恐れて居たけど………目の前で見せられると…………本当に貴方が恐ろしいわ? 貴方本当に人間なの? 浩二…………」



皆静まりかえっていた、浩二がたったの10分程でここまでの策を考えた事に、これなら全てこちらの手の上で神々を転がせる





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