第187話 神の仕組み

今回の戦い、オリュンポス軍は応援を頼んでいた。

ヴォーダンの一族、北欧神話の神々だ。

まさか北欧神話の神々が本当にいたとは誤算だったが、、、てか居るんなら言っとけよ朔‼


「おい! 朔、オーディーン達がいるなら最初から言っておけよ! 対策が立てられなかっただろ!」


「うむ、じゃが妾は健二には言うておいたぞ? じゃから対策も立てておいたであろう?」


「たけちゃん! 言わなかったのは悪かったけど、たけちゃんにそこまで押し付けるのはどうかと思ってさ? だってこれはこの時代に残るものがやっておかないと駄目な事だろ? だから此方に残るもの達の底上げをしておいたんだよ‼」


「じゃから妾は帝達の訓練と、ルチルのイシュタルのよる訓練、そしてシャチーやラフィーネ達の訓練をしておいたんじゃよ、まあ見ておれ、お主はオーディーンやオリュンポスの十二神が出てくるまでは動かずとも良い、帝達やシャチー、ラフィーネ達に任せて置けば良い」


「俺もかつての力以上になったからさ? 親父殿!」


「もう皆しってんだから露骨に親父とか言うんじゃねー! てかお前がかつての力以上ってんならマジで十二神が出るまでは俺の出番無いかもな…………」


浩二は強い、かつてジャネットと俺が名前を決めた時は、マイケルであった俺に限りなく近い力を持っていた。

その浩二があの時以上と言うなら多分神とだって渡り合えるレベルなんだろう。

現在の浩二は神衣こそ無い物の、海王軍の神衣に近い鎧に独自の様々な工夫を凝らした鎧、小型携帯レールガン二丁と朔の宮家に伝わる名剣童子切安綱ドウジギリヤスツナを持っている。

小型レールガンは所謂ハンドガン風になっていて、浩二は前にもこの世界でハンドガンを使っていた。

何故なら浩二の特技は所謂早打ちと凄腕スナイパーだったからだ。

何処で練習したのか不思議な程の命中率と射撃正確性を持っている。


「さて、敵さん港に上がってきたね、ちょっと君レールガン貸してくれるかな?」


「はい! 皇太子様」


「じゃあいっちょ行くか‼」


ヒュイーン、バシュー‼

ヒュイーン、バシュー‼


健二がレールガンを撃つ、港に上がってきた敵の目の前に積んである土豪に穴がどんどん空いて中から大量の土砂が流れ落ちていった。

敵はその土砂に押し流されていく。


「たくお前…………まだこの丘から港迄は二キロ近く有るのに相変わらず変態的な射撃だな?」


「こんなのまだ近い方だよ、てか本当にこのレールガンの偉力ヤバイね…………土豪狙ってるのに通り越して敵兵がスプラッタしてるよ…………」


「マジか⁉ 俺はスコープねえから見えねーけど、てかちょっとあそこで選らそうにふんぞり返ってる女神様脅かしてやれよ?」


「アイギス持ってるから弾かれるよ?」


「お前なら弾く先もコントロール出来んだろ?」


「出きるけど…………ああ、そう言う事ね…………相変わらずあこぎな事には頭回るね?」


「ウルセー! お前にだけは言われたくねーよ!」


「まあいいか……じゃあちょっと女神様への挨拶を」


ヒュイーン、バシュー‼


健二の撃ったレールガンが上空で自軍の動きを見ているアテーナーを捉えた


「え⁉ 何ですか? これ! キャッ‼」


バシーン‼

ドバーーーン!


「何だ! ウォーーー! アテーナー様が俺達を攻撃してきたぞーーー!」


「何故ですか⁉ アテーナー様‼」


アテーナーは慌ててアイギスでレールガンを弾いたが、あまりの威力にアイギスで完全に弾けずアテーナーは諸に吹っ飛ばされた。

そしてアテーナーが弾いたレールガンは、アテーナーの真下で行軍中の北アトランティス軍の軍船数十隻を盛大に巻き込んだ、当然これも健二の計算の内だ。

レールガンの存在は余りにも遠くて北アトランティス軍には見えない。

そしてそのとてつもない破壊力は初めてみる者にとっては神の雷にも等しいのだ、そして攻撃は直上からやって来た、詰り北アトランティス軍の兵にとってはアテーナーからの攻撃に見えたのだ。


「ちょ! 私では有りません‼ 私も攻撃されて…………」


「敵は混乱しているぞ‼ 押し出せーー‼」


当然この混乱を見逃すマルティアでは無い、港へと上がってきた適軍に一斉攻撃に出た。


「落ち着きなさい‼ 落ち着くのです‼ 今の攻撃は敵によるものです‼」


「俺達は神から見放されたんだ! 勝てる訳が無い!」


「滅茶滅茶混乱してるみたいだよ?」


「女神様はどうだ?」


「自分の軍を押さえるのに必死みたいだね」


「よし! もう一発くれてやれ、そしたら俺達も出るぞ、ブローマ! シンラ! 狙いは女神のみだ! 10年かけて練習したネオジェットストリームアッタック、行くぞ‼」


「ブラジャー‼」

「ブラジャー‼」


「お前もだ健二‼」


「お! 俺もやるの⁉」


「当たり前だバカ野郎! 何の為に練習したんだ!」


「い、いや、シンラの代わりかとばっかり…………」


「良いからはよ打て‼」


「ブッ! ブラジャー‼」


ヒュイーン、バシュー‼


混乱を押えようとしているアテーナーへ浩二の放ったレールガンが再び襲いかかった


「落ち着きなさい! お前た…………え? また!」


バシーン‼

ドゴーーーーーーン‼


「グワーーーーー! またアテーナー様の攻撃だ‼」

「やってられるか‼ 俺は逃げるぞ‼」

「俺もだーーーーー!」


「よし! 黒い四連星! 出るぞ‼」


ーーーーーーーーーー


一方、港近郊ではルチルとエーギルがにらみあっている。


「このままでは不味いな、兵達を押さえねば…………」


「そんな暇を与えるとお思いですか?」


「本気で私と戦うつもりか? 如何に女神と言えど成り立ての分際で私に敵うとでも思っているのか?」


「私も言いました、神様なんてこの宇宙には存在しません! 故に私は女神等では有りません‼」


「成らば神が如何なる者か教えてやろう‼ 食らえ! タイタニックウェーブ‼」


エーギルの水魔法、完全に津波であった、強烈な津波がルチルへ襲いかかろうとしたとき…………


「誰がルチル一人で貴方の相手をすると言いました? アグニア‼」


「アグニア‼」


「ありがとう姉さん、アグニア‼」



そこには三人の同じ顔をした美女がいた。

そしてエーギルの放った津波が彼女達の混合魔法で完全にかき消えてしまった。


「何だと? 貴様たちは⁉」


「私はかつてジャーリアと呼ばれていました、このお二人は私の姉です」


「私はルナ、こっちはルチア、女神では有りませんよ?」


「そう、女神では有りません、、、ジャーリアです」


「何と言う事だ…………かつてのジャーリアがここまで力を付けて⁉ いや、、、そうか読めたぞ‼ イナンナか! ジャーリアの正体はイナンナの分身か‼ 出なければジャーリアがここまで力を付けれる筈は無い‼ ではジャーリアどもは皆ここまで力を付けているのか⁉」


「貴方は今自分で言いましたよ? ジャーリアはイナンナの分身だと…………そう言う事です」


「何と言う事だ…………主神オーディーンに伝えねば…………とんでもない事になる…………」


「そんな暇は与えないと言いました‼ 弾けろ‼」


「弾けろ‼ 私のセフィロトの樹!」

「弾けろ‼ セフィロト‼」


三人の美女が大きな白い羽を生やして空中へ舞う


「アイン、アインソフ‼」


そして焦るエーギルに転移した三人の剣が突き刺さった


「ば! 馬、鹿、な‼」


「ごめんなさい、でも私は健様の女…………戦うのは宿命何です、健様を失わない為にも、死んで頂きます」


バシュン‼


ルチルの剣がエーギルを切り裂いた


「ジャーリアの魂を全て健様とイナンナ様の子にしたのはこの壮大な計画が有っての事何です。私達もほんの200年前に聞かされた事、、神様なんて居ません、でもそう呼ばれるに相応しいお二人の私達は子何です。」


「そ、そうだったのか…………主神オーディーンに伝えられなかったのが口惜しいが…………流石は原初の神よ……」


イナンナの壮大な計画、ナンムティアマト、オリュンポス、そしてヴォーダンの一族をも敵に回しても充分に戦える戦力を有する事。

何千年もかけてゆっくりと、着実に神の仕組みは出来上がっていったのだ。

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