第179話 量子の神

もし不確定性原理を自在に操れればそれはもう無敵な存在、神でしょう。

ですがもし本当に人間の思考力が物質を産み出しているので有れば、人間は神でしょう。

量子論はそう解いていますよね‼


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本文


そして俺の試験が始まった、俺は神衣は有るが、この試験であれを纏う事は出来ない。

エアの力を発揮するあれは最早俺の力では無い。

よって俺は海王軍の鎧を纏う事になる。


「では両者良いかい? では初め‼」


一回戦でいきなりヒュプノスとか…………どんな試験だよ⁉

まあ仕方無い、今の俺の力ならこれくらいが妥当だろう、あの時俺には神器の力でようやくタナトスとやり合う事が可能なレベルだった。

だが今はヒュプノスの動きが手に取る様に解る…………タナトスとヒュプノスの力は然程変わらない、だからこそ自分の成長が解る…………詰りこの試験はそう言う主旨の試験だ、自分の成長を理解させる為の試験



「凄いね、君は今自分の力がどれ程の物か正確に理解出来ているかい?」


「何となくだがな、ぶっちゃけ自分でも驚いてるぜ」


「ならもう少しハッキリと理解出来るようにしてあげよう! アイオニオス.イプノス(永遠の眠り)‼」


何だ⁉ これは…………回りが全て……音だ、音が全く聞こえない…………いや……幻覚だ……ヒュプノスの力で俺は幻覚を見ているんだ…………感覚を研ぎ澄ませろ、俺の中の全ての感覚を……良し! 見切った‼


弾けろ‼


セフィロトが光の中から立ち上がる


「幻覚を吹き飛ばせ‼ ダイヤモンドフォルム、ケテル‼」


バシューン‼


健の見ている幻覚が全て吹き飛んだ


「どうだい? この技はかつてゼウスでさへも陥った眠りの技だよ? それを君は難なく撥ね飛ばした」


「マルティア、久美、今二人がどの様な攻防をしたのか解ったかのう?」


「言え、何かを二人がしたのは解りましたが、何をしたのかサッパリ」


「私も解らなかったわ? 何かをしたのは理解出来たけど……」


「良いか? あれが本来神と呼ばれる存在が行う戦いじゃ。精神支配、幻覚を見せて相手の意識を乗っ取る、そして思う様に相手を支配する。

今主人殿はヒュプノスに精神を錯乱させる攻撃を受けた、主人殿はその錯乱状態に有りながらもヒュプノスの精神にダメージを与えたのじゃ、じゃからもう互いに精神攻撃は出来ぬ事を悟った。強靭な精神力を持つ二人だからこそ出来た芸当じゃ」


「解らなかったです、そんなやり取りがあの一瞬で…………」



「そう言えば俺の時代の歴史ではお前は二度に渡りゼウスを眠らせてたな、その技か⁉」


「そう言う事だよ、さて、精神系の攻撃は君には効かない事が解った、なら直接攻撃しかないね」


「そっちの方が俺は好きだぜ!」


「ならご期待に応えよう!」


ヒュプノスは剣を抜き、左手で魔法をかけながら襲って来た。

ヒュプノスが切りかかる寸前に剣速があり得ない程の加速をした。


「んな! マジか‼」


ギャイン!


何とか俺も剣で防いだ。


「何だ今のは‼ あり得ねー程の剣速だぜ‼」


「私の剣技は特別だよ! だが恐ろしい程のスピードだ、まさかあれが防がれるとは…………大和君、君は私から見て完全に覚醒している様には見えない、だが君の力は異常だよ、君は一対何者なんだい? アグディスティスの子であれば強い力を持つのは理解出来る。だが今のを難なく防いで見せた君の力はただアグディスティスの子であると言う理屈からは酷くかけ離れているよ…………」


「て言われてもな~、、、母ちゃんは俺を一人で産んだって言うし、親父は元々はアッティスって言う母ちゃんの子だし…………それだけだぜ?」


「何をヒュプノスは言っているの? 姉さん? 確かに早かったけどあんなに迷う程の事なの?」


「久美、お主にはヒュプノスが放ったあの剣戟がただ早いだけに見えたのかのう?」


「え? 違うの?」


「マルティアはどうじゃ?」


「わ、、私もそう見えました…………違うのですか?」


「なら久美もマルティアも今のをくらったら真っ二つじゃな…………」


「な⁉ じゃあどういう攻撃なの?」


「あれは恐ろしい技じゃ、簡単に言えば剣戟を転移させたんじゃよ」


「転移⁉ 剣戟だけを! 嘘‼」


「確かにヒュプノスは時間と言う物を操る神じゃ、、しかしまさかあんな事が出来るとはのう…………しかしあの剣戟を防いだ主人殿も化け物じゃ、、じゃからこそヒュプノスは戸惑っておるのじゃよ」


「た、確かに…………剣戟を転移させるなんて…………」


「今の攻撃を防いだ事で何かを勘違いしているんなら、ヒュプノス、お前の攻撃の特性はもう見切っているからって言えば解りやすいか?」


「見切った? 私の攻撃を? …………私の攻撃は見切るとかそう言うベクトルには無いのだが、後学の為に聞いておこう、どう見切ったのか話してくれないかな?」



「良いぜ、お前の攻撃は後に言う不確定性原理、俺の生きる時代には一つの理論として解明されている理論なで量子論の一つだ。

不確定性とはとりあえず誤差のようなものと思えばいい。

量子の世界においては、実験の結果はそれを観測した瞬間に初めて、どのような結果になるかが確定する。

簡単に言うと常に観測した場合における答えは全て違うと言う事だな。

お前の剣戟はその不確定性原理そのもの何だよ、俺が見た結果は一部の結果であり、その結果は観測している者により違って来る。

もっと簡単に言えばお前は行動と結果を逆にしているんだ、結果ありきで行動を伴わせている、お前が剣戟を振るうのは俺を切ったと言う結果を前提にして攻撃をしているからまともに考えて防げる訳が無い、だがな? それを知って要れば交わすのは簡単だろ? その結果を防いだと言う結果に変えれば良いだけだ、違うか?」


「…………全く君と言う人は…………つくづく私は君と言う人が恐ろしいよ…………私の攻撃をスピードや力で防いだ者は過去数千年前にも居たが、君のように理論前として事像を覆して来た者は初めてだよ…………

君の言う量子論と言うのは私には解らないが、理屈は確かに君の言う通り何だ、まさかこんな所で私の技術を暴露する事になるとは思わなかったが、私の攻撃は最初に結果を構築しておくんだ、そしてその結果に伴ってそれに見会う行動を取る、だからこそ私の攻撃は防ぐ事が出来ないんだが…………いや君には脱帽だ、テーセウス、私の負けだ、大和君には勝てない……」


「解ったヒュプノス、勝者大和‼」


「良いのか? ヒュプノス」


「良いも何も、まさかあんな風に私の戦術の根本を覆しておいてそれを言うのはちょっと酷くないかい?」


「んあ? ああ、そうだな…………」


「もう少し精進してもう一度君に挑むとしよう」


「そうだな、またやろうぜ‼」



「では大和君、良いかい?」


「ああ、大丈夫だ」


「では次の対戦相手は、来てください!」


そして俺の目の前に現れたのは…………超絶美人の熟女だった…………


「やらせてくれ‼」


バキ‼


「全くテーセウス、噂以上の変態じゃない‼ 本当の私がこの子と戦うの? 私の貞操大丈夫何でしょうね? ポセイドーン‼」


「お主何を考えておる! ポセイドーン 主人殿の前にステュクス何ぞ連れて来たら、戦いに何ぞなるわけ無いであろう‼」


「え? もしや…………アプスー様‼ 転生されていたのでございますか?」


「うむ、久しいの、お主もそくさいそうで何よりじゃ」


「アプスー様、これも又大和への試煉なのでございます、どうも大和は女となると見境なしに戦いから放れてその…………下半身で行動をとりがちなのです。故に真剣に勝負を全うする事こそ今回の試煉、そうで無ければステュクス殿には勝てません故」


「…………ま、まあ、、そうじゃのう」


「読めたわ、その子がニンガル達が託した戦士な訳ね? そして今回はその成長を確かめる為に私を呼んだ、そうね? ポセイドーン」


「その通りですステュクス殿」


「まあ試煉は良いが、様は俺はその姉ちゃんに勝てば合格な訳だろ?」


「そうよ! そう簡単には行かないけどね? 良いわ、少しその子に現実と言うものを叩き込んであげる」


「なら一つ約束しろ‼」


「何を?」


「俺が勝ったら今履いているパンツを俺によこせ! そして俺が10分以内にあんたに勝ったら1発やらせろ‼」


「………………」


「大和君! この人はステュクス様だよ? 解って言ってるのかい?」


「ん? ああ、知って居るぞ? オーケアノスとテーテュースの娘だろ? オーケアノスはウーラノスとガイアの娘でティーターン神族だ」


「解ってて言ってるのかい⁉ もう僕は知らないよ‼」


「良いわテーセウス…………なら君のその約束を飲んであげる、その代わり私が勝ったら二度と女性との性交は禁止、それでどう?」


「良し! それで良いだろう! 速攻で始めろテーセウス‼」


「…………成るようになれ! 初め‼」


原初の神とのタイマンは初だが、俺のキャノンはアクセル全開に成った! ステュクス、素晴らしい女神だ‼


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