第180話 裏切りの女神
この地下には幾つかの大河が流れていると言います。ステュクスはその大河を神格化した女神です
本文
ステュクス、オーケアノスとテーテュースの娘でオーケアニデスの長姉である。また、クレイオスの息子パラスの妻で、彼との間にニーケー、クラトス、ゼーロス、ビアーをもうけている。
ティーターンの血族だが、ティーターノマキアーの際には、父神オーケアノスの勧めにより 子供達と共にいち早くゼウス側に寝返った。その功績により、彼女はゼウスから神々を罰するという特別な権限を与えられた。
オリュンポス山の神々は、誓言をする際にイーリスにステュクスの水を汲みに行かせる。神々はこれを飲んで誓言をするが、もしこの誓言に背けば、その者は1年間仮死状態に陥る。
さらにその後9年間オリュンポス山を追放され、10 年目にやっと罪を許されるという。
俺はそもそもこの女神が嫌いだった、原初の神だが簡単に寝返る奴を俺は信用しない…………
テーセウスやポセイドーンもこの事は知っているはずだ。
だがかつて自分の側についてくれた事で信用しているのだろう。
朔は最近俺の事に気付き初めている、そろそろこいつとの付き合いも長いしな、、
俺がこう言う下らない事をするときには裏があると…………
確かにステュクスは美人だ、だが俺は信用の出来ない女にそうそう欲情なんぞしない。
キャノンはそれとは別物で起き上がるが…………
「私が何故神々を罰する力が有るのかご存知? 坊や」
「知ってるさ、前の地球の周回でティターン神族で有りながら裏切ってゼウスに尻尾振ったおかげだろ? 悪いが俺は未来人だ、そして過去のあらゆる神話は殆どこの頭の中に入っている」
「…………そう、いけないかしら?」
「いや? 別に俺は寝返りを責めているわけじゃねえさ、あんたの質問に答えただけだよ? ただ良いのか?」
「何が?」
「ポセイドーンも含め俺達はオリュンポス族とは反目だぜ? 俺に手を貸せばあんたは今度オリュンポス族を裏切る事になるが?」
「どういう事? ポセイドーン、聞いて無いわ‼ 私はハデスから貴方に手を貸す様に言われてここに来たのよ?」
成る程…………あの狸親父どもめ、俺の試験を出しににして裏切る恐れが有る物を炙り出す腹か…………
「どうもこうも、ハデスから聞いておりませんか? 裏切ったのはそもそもオリュンポス族、ここにアプスー様がいらっしゃる事で最早どちらが裏切り者か明白でしょう? 貴女が神々を捌く権限をお持ちなのは重々承知しております、ですから早くゼウスを初めとしたオリュンポス族の裏切り者を裁いてくださらないかと思っているのですが?」
「う! っくっ!」
「どういたしたのですか?」
「ポセイドーンの言う通りじゃのう、このオリュンポスどもの裏切りは妾と供に転生したティアマトも存じておるぞ? 勿論ここにおる我が主人殿の母であるアグディスティスものう?」
「アグディスティスまで! ………………」
ったく、やっぱり朔も絡んでやがったのかよ…………道理で桜に陛下達を任せてこっちに朔が来た訳だぜ、て事はイナンナかナンナ辺りの入れ知恵か…………
「解りましたアプスー様、一先ず早急に戻り事の真偽を確認致します、そう言う事でポセイドーン、今回の私の彼への試験は無かった事にしてもらえるかしら? 代役でもそちらでたてて超大!」
「おいおい! 俺との約束はどう成るんだよ‼」
「お預けね、仕方ないでしょ、事が事何だから…………」
「まあいい、だが必ず約束は果たして貰うからな?」
「ええ、良いわ、また今度ね」
そう言ってステュクスは去って行った、そして今度も確かめねばなるまい…………
「おい、朔、ポセイドーン…………俺を出汁にしやがったな?」
「わ、、妾はポセイドーンの要請に答えただけじゃぞ?」
「いや、我はハデスから依頼を受けてだな…………」
「ポセイドーン様、大和はともかく僕には話しておいてくださいよ‼ ハラハラしましたよ本当に、大和は怖いもの知らずだから…………」
「すまんな、これは私がポセイドーンに頼んだのだよ…………」
「ハ! ハデス‼ お前来てたのかよ‼」
「ああ、ヒュプノスと供にな、ステュクスは必ず裏切る、だから私は早い所その芽を摘んで起きたかったのだ、そこで大和、お前を思い出した。今居る神々の中で対等にステュクスと渡り合えて、しかもステュクスの水を飲んでいないのはナンムの一族とお前だけだ、だがナンムの一族とて無実の者を捌く事は出来ない、だがお前は別だ、お前なら未来人である事によりステュクスの過去を知っているだろう、そして私はお前と言う存在にかけるだけの価値があると思った。そしてその期待に見事お前は答えてくれた、ステュクスの裏切りを早い段階で誘発してくれた。」
「て事はやはりステュクスはお前を裏切るのか?」
「ああ、間違いない、あれは北アトランティスに向かった様だからな、恐らくここに残っているヘスティアー達の元へ向かったのだろう」
「今の話からするとハデス、あんたやっぱりペルセポネーに踊らされていた訳じゃねーんだな?」
「ああ、あれはゼウスからの私に対しての監視役だ、だから表だってポセイドーンに協力する事は出来なかったのだ、お前達には本当にすまなかったと思っている、そしてアプスー、貴女に今一度忠誠をお誓い致します」
「うむ、よう思い至ってくれたのう、今一度宇宙の成長の為に尽力してくれ」
「は! 必ずやお約束致します‼」
ハデスと言えばオリュンポスのゼウス、ポセイドーンと並ぶ最高神の一人でこの三兄弟の長兄だ、これは心強い味方が出来たもんだ…………
「所で大和よ、お前は勿論この地球内部の冥界が地下世界のほんの一部である事は知っているな?」
「ああ、だけど地下世界がどの程度の広さでどういう造りになっているとかは全く知らねーぞ?」
「であろうな、今はまだ早い、お前が自分の時間軸に戻ってから今一度冥界を訊ねてこい、お前が自分の世界に戻り、使命を思い出した時にな。これをお前に授ける、このブレスレットは手にはめておくだけで冥界と地上界を自由に行来出来る、そしてお前以外に10人迄行動を供にする事が出来る」
「おお! マジか、サンキュウハデス‼ 所で俺の試験は?」
「フフ、お前の試験は元から相手は決まっておる! 我だ‼」
「な! マジかよ‼ 何であんたなんだよいきなり‼」
「ゼウスやベールと戦うのであろう? 其なら相手は我位でないと駄目であろうよ」
随分と楽しそうじゃねーかこのバトルジャンキーの糞親父が‼
「何なら私がステュクスの代わりになってやろうか?」
「試験で殺すつもりかよ‼」
「ハデスよ、ここは我が戦おう、前々から大和に目をつけていたのは我だからな!」
「ふん、仕方ない、久しぶりに歯ごたえのあるやつと遊べそうだったのだがな…………」
こいつら…………
と言う事で俺は神話の最高神と戦う事になってしまった…………
まさかハデスやポセイドーンがバトルジャンキーだったとは全く予想外だぜ、神話もかなり事実と異なっていやがる…………
「では両者前へ! 大和君良いね? では卒業試験、最後はポセイドーン様!」
「とりあえず我も大和と同じ物を着用しよう、我だけが神衣では対等では無いからな‼」
出たぜバトルジャンキー野郎のこだわりが…………
ポセイドーンは神衣を脱ぎ俺と同じ鎧を着用した
「では初め‼」
「大和よ! 不粋な魔法は禁止としよう‼ あくまでも、これと、これの勝負だ、いいな⁉」
ポセイドーンは剣と拳を俺の方に掲げた
「はー…………良いぜ……」
バトルジャンキー………………
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