第172話 海神のフリーランス

自由騎士と言うとどうも島の物語を思い出してしまいます


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本文


特訓開始から約5年の月日が流れた、あいだあいだにムーへ帰ったり、陛下達が遊びに来たりとまあ互いに寂しく無いようにしてたりもした。

その間俺達のレベルは飛躍的な進歩を遂げた。

具体的な数値的なレベルと言うのはゲームみたいには無いが、恐らく俺はレベルで言うなら1から100近く迄上がった様な感覚だ、そして久美は70位、マルティアは恐らく150位上がったのではないだろうか?

何故マルティアがそれほど迄の進歩を遂げたのかと言うと、マルティアは簡単に言えばフォルムが使える様になった。

このアドバンテージは滅茶苦茶でかい、元々ティアマト人の魂を持っているのだからフォルムが使えて当たり前なのだがパラスが目覚めた事によるフォルムなのだから最初は使えないのも無理は無い。

久美の上昇率が低いのは当たり前、久美はそもそも堕天使達との戦闘中にエレキシュガルが目覚め、そのまま魔法が使えたのだから戦闘訓練だけですんだのだ。

それでもここまで上がったのは有る意味凄いとテーセウスは言う。


そして俺は既に模擬戦でネーレウスに勝った。

アイオロスにも勝った、テーセウスとは今のとこ五分だ、そして今更だが俺は過去二度のこの世界の訪問記憶が目覚めた。

まだエンメルカルの時の記憶は無いが俺の戦闘技術はその時の実戦経験迄足される事により、格段に上がった。

エンメルカルの時の記憶まで戻れば恐らくテーセウスの話しでは十二神に匹敵するか、それ以上に成るだろうと言っていた。

そして念願のギャラク○アンエクスプロージョンが出来る様になった、残念だが星は砕けない…………


そして久美との模擬戦を俺は行う


「今日は俺から一本位は取って見ろよ?」


「魔法は無しよ?」


「ああ、それとハンデに俺は格闘無しにしてやるよ」


「よ~し、それなら一本位は!」


「じゃあ私が立合いしよう」


「頼むマルティア、よし来い‼」


久美がいきなり足払いをかけて来た、いい攻撃だ、これでは俺はジャンプしてかわすか距離を取らなければいけなくなる、その後下段から上段に向けての逆袈裟斬り、これは斬速が一番早い攻撃だ。

斬劇は上段から下段に向けての攻撃が一番早い様な気がするが、これは威力が強いだけだ、重力を味方につけて居るからなのだが斬速は下段から上段に向けての逆袈裟斬りが一番早い、地に足をしっかりと着けて自らの回転力と筋力を使った斬劇が最速なのだ。


当然俺は袈裟斬りで迎え撃つ、こちらは威力重視の攻撃だ、だが久美が剣の衝突時刃渡りで刺突に切り換えた、俺の斬劇の速度をも上乗せした攻撃速度、これはもうまともな奴には見る事も出来ないだろう。

だが俺には当然見える、紙一重で刺突をかわし、返しで久美の左上段を狙うが、久美は刺突の速度そのままに左上段後ろ回し蹴りを入れてきた、本来ならここで俺は久美の左足を受けとめそのまま足を折りに行くのだが、今回は格闘無しのハンデ戦だ。

格闘術に長けていない相手なら恐らくこの久美の攻撃で首を折られて居るだろう。

それほどの攻撃速度と刺突のコリオリ力がプラスされた威力の蹴りだ。

だが俺の剣は久美の刃渡りで左に大きく流されて居る、剣で受ける事は出来ない、詰り俺の残された手は、しゃがんで交わす、だがただしゃがんだだけでは蹴りの軌道を変えられるだけだ、だから俺は剣が左に流されたのを利用し、足へそのまま斬劇を入れる、先程の久美と逆の攻撃である、これには久美も驚いていた。


「嘘!」

たまらず飛び上がって交わす久美だが…………」


「ジャンプ厳禁だって言っただろ‼」


当然既に交わせなくなった久美へ向けて逆袈裟の斬劇を入れる、これで終了だ…………

久美に俺の最速の斬劇が入る


「いて~…………」


「ほら! 回復魔法」


「うん、ありがとう、、また負けたよ~……」


「途中迄は完璧な組み合わせだったんだけどな、あれは上段じゃなくて下段回し蹴りだ! 上段に入れると下ががら空きなる、そうすると今度は俺の方が有利に戦いを進められる様になる」


「剣と体術の組み合わせって難しいね~」


「戦国時代には普通にやってたんだぞ? そもそも日本の柔術はそれの流れを汲んでるんだ」


「私ももっと極めたいです! 主人様」


「そうだな、マルティア、お前やっぱりアテーナーと戦うのか?」


「当然です! 彼女とは決着をつけねば成りません、私の中のパラスが彼女との決着を待ち望んでいるんです」


「解った、ゼウスの横やりは俺が二度と入れさせない、思う存分戦え! だけどマルティア、お前の命はマルティアでも有るんだぞ? 俺の嫁のな?」


「解っています! だから絶対負けません‼」


「そのいきだ!」


俺はその後マルティアとも模擬戦を繰り返した、そして更に5年の月日が流れた。

テーセウスはポセイドーンの玉座でアイオロスを交えて話していた


「さて、今日は三人の卒業試験を行いたいと思います!」


「もうそこまでの域に達したのか? テーセウス」


「ええ、叔父貴、三人とももう十二神並の強さですよ! 特に大和君は恐らくそれをも越える域に達したと思います」


「本当か⁉ テーセウス」


「はい! ポセイドーン様」


「ようやく覚醒したか…………」


「いえ! 大和君は完全覚醒には至って降りません」


「何? それでもその域に達したと言うのか?⁉」


「はい、大和君の延び白は正直何処までなのか想像が出来ませんよ」


「楽しみだ、ならテーセウス、大和の三人目は我が勤めよう、良いな?」


そして俺達は闘技場に呼ばれた、そこは正にコロッセオそのままの闘技場だった。


「待ってたよ三人とも、今日は皆卒業試験をやってもらう事にした。これに卒業すれば君達三人は晴れて海王ポセイドーン様の認めたフリーランスとなる!」


「そ! それは本当ですかお祖父様‼」


「そうだよマルティア、お前がこの試験に見事合格すれば海神のフリーランスとして我が称号を託そう‼」


「うれしいお祖父様‼」


思わずポセイドーンに抱きつくマルティア、完全に目が泳ぎまくっているポセイドーン…………

何処まで孫ベッタリなんだこいつは…………

確かにマルティアはムーの将軍で騎士だ、海神の騎士の称号等願ってもない贈り物なのだろう


「お祖父様! 私は必ず合格して見せます‼」

「うむ、そのいきだマルティアよ」


海神のフリーランス、自由契約の騎士、、恐らくはこの世界何処に行っても国賓並の待遇だろう、特にアトランティスでは国王と同等の扱いに成るだろうな…………

神の騎士なのだから。


「ではマルティアから行くかい?」


「はい! テーセウス伯父様‼」


「解った、ではマルティア、これから三人の戦士と順番に戦って貰う、そして三人にストレートで三本取ればマルティアの合格、一本でも取られれば試験中止、良いね?」


「解りました‼」


「では来てくれ!」


「久しぶりだね! パラス、今はマルティアだったね」


「え⁉ まさか、イーアーソーン叔父様?」


「て! 嘘!、まさかイーアーソーンなのか? マルティア」


「は、はい、確かにイーアーソーン叔父様です!」



イーアーソーン、アルゴー船の英雄で、王女メーディアと後に結婚した事でも有名だ。

アルゴー船のアルゴナウタイ(アルゴー船の英雄達)を纏めたのがこのイーアーソーンである。


「ではマルティア、最初の相手はこのイーアーソーンだ。手強いぞ?」


「大丈夫です!」


「ではマルティア! 行くぞ‼」


この先出てくるのはこのクラスの後に英雄と呼ばれる者達なんだろう、気を引き締めていかねーと…………

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