第170話 幕間 『キュベレー』特別編

もうちょっと詳しく書こうと最初は考えていたのですが、余りアグディスティスを目立たせてしまうのもどうかと思い自重しました。

健の出生の秘密として一応特別編にしてあります。

何故健が強烈な力を有して居るのか? この辺りの関係で書くことにしました。


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本文


火星、地球に人々が定着する前に、惑星ティアマトからテラフォーミングしたここに人々は生活圏を移していた。

だが人々は過ちを繰り返す、ここ火星でも人々はティアマトと同じ過ちを犯していた。


ティアマト原初の神々は今一度人々を原始の時代へ戻す事を決めていた、人類を破戒によって退化させようとしていたのだ。

だが幾人かの神はそれに反対を示し、一人の神は…………会議にも参加せず、息子との甘い生活を謳歌していた。


「アッティスちゃ~ん、ほらほら~、また動いたのよ~アッティスちゃんとママの子が~」


アグディスティス、後に地球でキュベレーと呼ばれる神、戦争の女神にして大地母神でもある。

ティアマト原初の神の一柱である。


アッティス、アグディスティスの息子であり、後に地球で死と再生の神と呼ばれる事になる。


火星最高評議会


「なんじゃ又アグディスティスは出ておらぬのか‼」


「仕方ないさ、ティアマト、彼女は今身重だよ?」


「人工受胎にすれば良いだけじゃろうに」


「彼女は自分で産んでこそ愛情が大きくなるんだってさ」


「あれは過剰に愛情を注ぎすぎじゃ! ニンガルからも何とかするように言うが良い」


女神ティアマト、後にムー国上皇となるが転生体。

女神ニンガル、後に地球でイナンナと呼ばれる女神。


「ようきたのう、あやつはまたもや欠席か…………」


「アプスー、お主からも言って聞かせい!」


「身重なのじゃろう? 仕方ないではないか!」


「今時胎内受精など妾達でもやらぬじゃろう⁉」


「まあそう言うでない、あやつはそれが愛じゃと言って聞かぬ、妾もそう思わぬでも無い、好きにさせてやるが良い」


女神アプスー、本来アプスーとティアマトには男女の差はないが、この頃から女神の姿を取る様に成っていた。後のムー国帝となる人物だが、分身体である。


「アプスー様、ティアマト様、お久しぶりでございます。今日は重要な決定故に起し頂いた所存です」


「アヌ、聞いておる。人々の世を原始まで戻す等と言っておるそうな…………」


「はい、最早何度も同じ過ちを犯して居る状態、一度全てを洗い清め、再び我らが正しい道をしめさねばまた惑星ティアマトのようになってしまいます、母なるお二方には大変悲しい選択でしょうが、お聞き届け下さい」


「地を清める事は反対はせぬ、我らが正しき道を再び示すのも良策と言えよう、じゃがその前に、お主達は本当に人々へ神義を説いたのか? 無下に魂を傷つけるは宇宙の進化を遅らせる事に繋がるのじゃぞ? そこをよく議論するのじゃ! 良いな?」


「畏まりました、アプスー様」


「そうね、私もそこが引っ掛かって反対しているのよ!」


「ニンフルサグ、言いたい事は解るがお前はただ自らの子達を甘やかしているに過ぎないのではないか?」


「失礼ねアヌ、私は神義を言っているのよ!」


最高神アヌ、ナンムの一族でアプスーとティアマトから最高神の権原を貰っている。


女神ニンフルサグ、全ての人々の母であり、大地の女神である。余談では有るが、彼女の呼び方は様々で、ニンマーとも呼ばれていた、そしてママやマミーと言う呼び方はここから来ている、彼女はシュメールの神、詰りここからも人々はその昔一つの言語を使っていた事がかいまみえる…………


そしてナンムの一族原初の神々が揃った。

一名を除いて…………

アンシャル(アヌから下の神々の親、アプスーとティアマトが親である)

キシャル(アンシャルと同じ)

最高神アヌ

ベール(エンリル)

エア(エンキ)

ニンガル

ナンナ

ニンフルサグ

ニンリル

ウトゥ

本当はここにアグディスティスが入る


運命を決める神々と言われる者達で、他にも原初の神は居るが、基本的にこの神々がティアマトの最高評議員達である。

全ての神々の産みの親であるアプスーとティアマトが決めた者達であるからだ。


ーーーーーーーー

処変わってアグディスティスの家

「ねえねえ、アッティスちゃん? この子の名前どうするの~?」


「もう決めているよ、エンメルカルにしようと思う」


「いい名前ね~かわいい子が産まれるわよ~、、あ! 念話、どうしたのかしら?」


「評議会で決定したんじゃないかな? そうだとすると避難しないと…………」


「待ちなさい‼ 何故そうなるの? アプスーやティアマトはそれで本当に良いの?」


「どうしたんだい? 母さん」


「ちょっと待っててね? アッティスちゃん、、、何れだけ多くの犠牲が出ると思っているのよ!」


評議会は火星への全面攻撃を決定した、何故ならばこの戦争の介入にアトゥムの一族が加担していた事が発覚したからだった。

アトゥムの一族はナンムの一族に次ぐ原初人であり、ティアマトでも有数の発言力を有していた。

今回現在火星で行われている戦争を影で主導していた事が発覚したのだ。


時は過ぎ、全面攻撃の日、何処からか情報が漏れ、アトゥムの一族がナンムの一族へ攻撃を開始した、ナンムの一族は予想だにしないこの攻撃で大混乱していた。


「母さん、もうここは危ない、とにかく評議場まで逃げるんだ!」


「アッティスちゃん! アッティスちゃんも早く!」

「無理だ! 俺まで逃げたら追い付かれるよ、俺も後から行くから、俺はここで押さえるから早く逃げるんだ!」

「ママがアッティスちゃんを残して行ける訳無いでしょ⁉」

「お腹の子は‼ その子は俺の子なんだ! 母さんは良くてもお腹の子はどうなるんだよ⁉ 頼むから子と一緒に逃げてくれ‼」


「アッティスちゃん…………解った……でも絶対に来るのよ? 約束よ?」


「解ってるよ! 俺も早くその子が見たいんだ‼」


そしてアグディスティスは評議場まで逃げ延びた。

だがアッティスは何時までも現れなかった、失意に落ちるアグディスティス、そして幾日の後、何とか戦線を押し戻したナンムの一族、アグディスティスはアッティスを探しに出た、そして見つけた、冷たい躯と化したアッティスの死体を…………


「殺してやる…………アトゥムの一族を誰一人残らず皆殺しにしてやる‼」


アグディスティスは決意を固める、お腹の子を何千年か先の自分の転生体に授かる様にニンガルへ施して貰い、自らは戦場へ出る事にしたのだ。

そしてアグディスティスは自ら先頭に立ち戦線を押し返す、戦争の女神誕生の瞬間であった。

そしてアトゥムの一族が住む都、アグディスティスはその都で禁断の武器を使用したのだ。

惑星全土を火の海にしたその武器と大魔法は後に終末の日と呼ばれる伝説を後世に残す事となる。



時は流れ地球に文明が開花し始めた頃、ウルクの地に一人の男の子が産まれた。

父の名はウトゥ、母の名はキュベレー、名をエンメルカルと付けられた。

実はウトゥは仮の親として仕組まれただけだった。

実際にはキュベレー単独でエンメルカルを儲けたのだ、そう、この子こそウルク第一期で初代皇帝となり、その後何代も続くウルク王朝を築く礎を造った伝説の王であった。

母のキュベレーはエンメルカルを溺愛していたと言う、そしてエンメルカルとの間に幾人も子を儲けた…………


エンメルカル没後、キュベレーはエンメルカルを追いかけ、転生したエンメルカルのまた母となった。

エンメルカルの転生後の名前は……松田 健、この物語の主人公であった。


アグディスティスの地球名、松田 加代子、加代子は地球でキャバクラを経営していた。

自らの美貌で客を何人も取り、大地母神ならではの優しさと心遣いで世の男どもをメロメロにしていった。

他の若い女の子の追従を許さずキャバクラのママでありながら指名率ナンバーワンの超売れっ子であった。

だが店をチーママのニンフルサグに任せ、自らは出社を週4しかせず、子育てを最優先にしていたのだ。


「健ちゃ~ん、ママでちゅよ~! おっぱいの時間ね~♪」


「おい! もうおっぱい出ねーだろ‼ 大体俺いくつだと思ってるんだよ!」


「酷い! 健ちゃんママが嫌いなのね‼ ママはいつでも健ちゃんの為ならおっぱい出せるのに…………」


「だーーー! 嫌いじゃねーっていつも言ってるだろ!」


今日も元気にモンスターペアレントのアグディスティスであった…………

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