第145話 神代兵器
久美の変り様には正直焦った、まあ元々久美の体の本当の魂はもう既に転生が済んでいて、あの久美もエレキシュガルなんだろうが、どうにも違い過ぎる。
エレキシュガルは二重人格者なのだろうか?あれではイシュタルよりも酷い。
まあ美人なんだからどうでも良いが……
マルティアにはまだ無理か、パラディオンに振り回されている感じがする。
まあエレキシュガルがマルティアを充分フォローしているから、俺は下を手伝おう。
「朔耶! そいつは俺に任せろ‼」
「あ! はい兄さん」
「ほう、このクリュティオスと一騎討しようと言うか、随分と威勢がいい小僧だ」
「お前がクリュティオスか…………ぷぷ!」
「何が可笑しい‼」
「いや、威勢がいいのはお前の方だと思ってな?」
「何だと?」
「いやな、俺は大和健と言ってな? 天空人な訳よ、それでな? 俺はこの後起こる未来の事を知っている訳だ、解るよな?」
「お前が天空人だと言うのは知っている、それでこの先の未来がどうした!」
「後1500年後位にお前達ギガースとオリュンポスの間でギガントマキアーと言う戦争が起こるんだが、その先聞きたい?」
「言え!どうなる?」
「お前ヘカテーに松明で撲殺されるんだよ」
「嘘をつけ! あんな小娘に俺が松明何ぞで撲殺される訳無いだろ!」
「朔耶、こう言っているがどうだ? 俺は嘘を言っているか?」
「残念ながら本当の事です、貴方がギガースのクリュティオスさんなら間違いなくヘカテーに松明で撲殺されてしまいます…………」
「じ、事実なのか…………」
「ぶっちゃけ後世に間抜けな伝説残したく無いならこんな所で油売ってねーで戦闘訓練でもしてた方が良いぞ?」
「そ、そうしよう…………すまなかった…………」
「あれ言いますか? いくらなんでもかわいそうでしょ? まだここで戦って散った方が彼にとっては随分とましな筈です」
「まあ流石にヘカテーに松明の歴史は変わると思うぞ?」
ーーーーーーーー
ティワナク、敵本拠地
「本当にこれを使うのですか?」
『当然だ、勝たねば意味が無いのだよ! これを敵の頭上に降らせれば簡単に方が着く、楽な話だ』
「ですが! それでは味方にも犠牲が‼」
ゴトン!
『必要経費と考えろ…………誰だ‼』
「しまった!」
そこに居たのは健専属の鴉の女性だった。
物を確認しようと前に出すぎて落ちていた部品を蹴ってしまったのだ
『逃がさぬ! これを見た以上は死んでもらうぞ』
「ぐあ! ぁぁぁ、お伝えせねば!」
シュッ!
ザシュ!
喉元に噛みつかれ、肉を抉られても直、携帯ナイフを使いドラコ族のゲムの首筋を切りつける
『グハ!』
「ぐう! これで……」
力が緩んだ所に更に目をナイフで刺した、走りだし、三階から飛び降りた鴉の女、足を恐らく骨折したようだがそれでも鴉の女性は止まらなかった。
鴉の女性は健の専属に成った事が嬉しかったのだ、今まで唯の駒としか見られてなかった自分を健は女として、ましてや健は自分の事を宝だと言ってくれた。
恐らくこのまま帰れば健に酷く叱られてしまうだろう、いつも無理な行動はするな、危険な場所への潜入は複数でやれ、そう言われてきた。
だが鴉の女は掴んでいたのだ、恐らく健から前に聞いた神代兵器、核爆弾の存在を、そんな物を大切な主人に使われてたまるか!
その想いがつい先走り、健との約束を破って迄危険な潜入探査を行ってしまったのだ。
もう限界だ、主人様の処迄持ってくれ! 私の体…………
いや、駄目だ、ここでまだ、、死ねない、伝えなければ…………
そんな想いが奇跡を起こした、健が自分の事を探しに来てくれた!
「おい! どうした! お前、ボロボロじゃないか‼ 衛生兵! 直ぐに治療を」
「待って、、下さい、主人様、私は、もう、駄目です、、」
「何言ってんだ! 死なせてたまるかよ!」
「お願いです、大切な事、何です、どうか、聞いて下さい…………時間が、無い!」
必死に懇願してくる鴉の女性、健は気付いた、鴉の女性は首の肉が抉られている、その傷は頸動脈にまで達していて、本来出血多量で既に死んでいてもおかしくない、喋る事など出来ない筈だ。
「解った、お前が掴んだ大切な情報、聞かせてくれ!」
「核爆弾、間もなく、使用、されます、逃げて…………」
「何だって! 持っていたのか!」
「最後の、お願いです、私の、名前で、呼んでくれますか?」
「教えてくれ! 俺の大切な女の名前を!」
「愛理、です」
「愛理、愛理! 頼む、死ぬな! 生きて俺の側に!」
「うれしい、私のパンツ、これが、最後です、貰って下さいね……………………」
愛理は完全に脱力した、息絶えたのだ
「愛理! 目を覚ませ! くそうーーーー! 十種の神宝はここにはない! そうだ!
母ちゃんなら」
俺は愛理を抱き抱え、母ちゃんを探して走った、そして
「母ちゃん! 頼む、俺の愛理を、愛理を生き返らせてくれ!」
「健ちゃん、、、見せて」
「どうだ?」
母ちゃんは首を横に降った…………
「駄目なのかよ、母ちゃん原初の神何だろ? どうにか出来ないのかよ⁉」
「ごめんなさい健ちゃん、この子はもうとっくに死んでいたの、この傷は即死だった筈、恐らく何か大切な事があって、精神力だけで魂をつなぎ止めていたのよ。その想いが成就したから魂が肉体から解放されたの、もうこの子の体に魂は無いわ、いくら私でも脱け殻にもう一度同じ魂を埋め込む事は出来ない」
「ごめん、母ちゃん、無理言って…………」
「それよりも健ちゃん? この子が何を成したのか解らないけど、この子の想いを無駄にしてはいけないわよ?」
そうだ! 愛理は俺に逃げろと、核爆弾が使われるんだ!
「母ちゃん、手伝ってくれ! 愛理は俺に核爆弾が使われるから逃げろと言いに来たんだ‼」
「何ですって⁉ 愚か者がーーー!」
大激怒をしたアグディスティス…………
「久美! お前もう念話は使えるな?」
「大丈夫ですよ! お父様」
「大至急アイオロスに伝えてくれ! ここは危険だから全軍撤退しろと‼ 核爆弾が使われる、俺と母ちゃんで何とか阻止するが、完全に被害が出ないようには出来ないかもしれない! 朔耶はレムリア軍にも大急ぎで伝えてくれ!」
「了解です!」
「マルティア! 悪いが付き合ってくれ!
お前のパラディオンはあらゆる害悪から身を守ってくれる、放射能からもな、その盾で防いでくれ!」
「死してもお側を放れません!」
「大丈夫よ健ちゃん、ママの力は愛理ちゃんを救えなかったけど、こう言う物なら力を存分に使えるわ…………愚か者には鉄槌を下してくれる……」
そして初めて見る巨大なドラゴン、まだかなり距離が有るのにとてつもなく大きい。
その足には、恐らくは20メガトンは有に越えるであろう水爆が捕まれていた。
一気に距離を詰める母ちゃんと俺、だが…………
ドラゴンから爆弾が解き放たれる、ドラゴンは反転して高速でその場を放れた
「くそう! 間に合え‼」
「健ちゃん! 駄目よ、間に合わない! ママの後ろに隠れて!」
「こんな所で諦めてたまるかよーーーー! 愛理が命をかけて俺に伝えに来たんだ‼」
「健ちゃーーーーーーん‼」
巨大な、とてつもない大きな光が、そうそれは照りつける太陽よりも明るい巨大な閃光だった。
全てが静まりかえる、今までの戦闘や、退却時の騒音が無かったかのような…………そして…………
ドゥーーーーーーーーーーーン!
「弾けろ‼ 俺のセフィラ‼」
かつて無い程の強烈な光が健の中で弾けた、そしてセフィロトの樹がそびえ立つ、ネツァク、ホド、イェソドが光輝き三角形を作り出した。
パスが次々と繋がって行く。
ネツァク、ホド、イェソドからなる三角形は星幽的三角形と呼ばれ、魔術的三角形と呼ばれることもある。
「峻厳の柱 慈悲の柱 均衡の柱 結ばれ紡げ!星幽のフォルム! 八咫鏡!」
八咫鏡が健の手に装着され、巨大な盾に変化した
強烈な水爆が爆発して超高温の爆風が健達を襲う
「グァァァァァァァァ‼」
辺りは物凄い高温の爆風とプラズマに包まれた
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