第146話 愛の奇跡
引き寄せの法則と言うのをご存知でしょうか? これは用は因果律と言う事で、釈迦の教えでは実在する力です。
でも実際にカルマの仕組を理解したものが行えば引き寄せは出来ると言います。
例えば大本教の出口鬼三郎、彼が弟子達と徒党を組んで実際に晴天の日に雨を降らせたのは有名な話です。
強く信じる事が重要なんだそうな?
今回健達が行ったのが正に引き寄せです。
本文
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とてつもない水爆の爆発、旧ソ連が製作した世界最大の水爆ツァーリボンバ、100メガトンクラスだと言うが、それに限りなく近い威力だろう。
「父上!」
「ネーレウス、行くぞ! 大和とマルティア、アグディスティス達だけでは押さえきれないだろう、この報いは必ず受けさせるが、今はあれを押さえるのが先だ‼」
「及ばずながら私もここで皆を守ろう」
「ああ、頼んだぞオルペウス! 行くぞ! ネーレウス」
二人からも翼が生えて飛び出して行く
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爆心地
「健さまーーーー! 私が絶対お守致します‼」
「貴女だけにいい格好はさせないわよ‼ マルティア」
「レムリア軍は撤退させました!」
「ンがーーーーーーー‼ エレキシュガル、朔耶!」
そして…………
「帝、ナーナ様、紡ぎます! 良いですね?」
「健さま! 絶対守って見せます!」
「この日の為にお姉様は健様を迎えに行ったのですものね?」
「ンぐぐぐ、んが? お!おい、ルチル! 陛下、ナーナ!何でこんな所に居やがる! 駄目じゃねーか!」
「こんな所だから居るんですよ! こうなる事は夢見でそれこそ何百回と見ていましたから、ここに私が居るのはもう百年以上前から決まっているのです。私は今日この日、この場所を幾度となく夢で見ていたのです! ここに並び立つ資格を私は今まで追い求めて来たのですよ⁉」
「行きます! いろはにをへどちりぬるお
わがよたれぞつねならん
ういのおくやまけふこえて
あさきゆめみしえひもせす
…………ひふみゆらゆらひふみゆらゆら…………」
かつて無い程の力が注がれる、成長した俺のセフィラに三柱の女神が降り立った。
『私達の魔力、存分にお使い下さい! 何処までも耐えて見せましょう』
「紡いで現臨せよ!国之常立神」
ルチルがそう叫んだ瞬間に三人の持つ三種の神器が俺に装着された。
「ああ解ったぜ! ルチル、ナンナ、ナーナ! 何処までも俺達は一緒だ‼」
『はい! 健様』
そして……
「総帥を守るわよ‼」
「は~い!」
「んな! お前ら迄戻って来たのかよ⁉」
「当たり前ですよ! もう一人で何処かに何か行かせません‼」
「あたいもいるいよー!」
「エイレーネー! 陛下か⁉」
俺に取りついている女神姿の陛下が
『そうですよ? だって連れて行けって五月蝿かった物ですから……』
「邪を祓え! 審判の門」
ドカーン!
「テミス‼」
「私達も居ますよ! 門に魔力を注いで! 絶対後ろにいる皆を守るわよ‼」
「ドラゴンはみ~んな逃げ出したよー! 健様」
「あたしらが追い払ったよ~」
「テイアー、ディケー、シャチーにカーリーまで…………
ちっ! こうなったら維持でもあの糞水爆止めるぞお前らーーー!」
「オーーーー!」
そして奇跡が対に起こされた、皆が健を思う心を健が力に変えていたのだ。勿論健は無意識だ、そんな特殊な力を健が行使出来る筈は無い。
だが皆の健への愛が月に届いたのである
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月、クリスタルタワー
「まさかこうなるとは僕も予想出来なかったよ、これが地球人にのみ許された力、奇跡と言う事なのだろうね?
さて、ナンナ、イシュタル、ここで行かなきゃ女が廃るよね?」
「お姉様、私も準備は万端です!」
「お父様を助けに行きましょう‼」
「では完全に戻った愛の力、ここで使うとしようか」
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「健ちゃん、もう少しよ‼ 必ず止められるわ! これ程健ちゃんの事を思ってくれる女の子が居るのよ!」
「解ってるぜ母ちゃん、俺は絶対愛理の想いを無駄にしねーー!」
「そうだ! 大和、これを征して報いを受けさせるぞ!」
「大和! 俺もこれは非常にムカついた! 必ず止めるぞ」
「アイオロス! ネーレウス」
「ああ、そうだね、これを止めて君達は地下に行くといい」
「んな! イナンナ! お前力が余り使えないんじゃ?…………」
「僕が何の女神か忘れたのかい? 健」
「愛の女神だ…………て事は⁉」
「そうだよ、これだけの愛が一度に放出されれば僕にとって最大の力になるさ、ここまでの愛を感じたのは気の遠く成る程前だよ、さて、健、僕の肩に手を乗せて」
「お、おう、こうか?」
「ん~……そこは肩じゃなくて胸何だけどね? まあ何処でも良いか…………」
「ルチル、イシュタル、帝、ナーナ、祝詞を紡ぐんだ」
「はい!」
『はい!』
皆聞かなくても解ったのだ、イナンナが何の祝詞を紡げと言ったのかが
「かけまくもかしこき せいしんのかみやしろにまします
掛巻も畏き正神神社に座し坐ます
もろもろのおおかみのおおまえに かしこみかしこみもまおす
諸々の大神の大前に恐み畏みも白す
わがなは せいしんのかみやしろにつかへつとむる なかむらたけにちともうし…………」
古神道の行法で神行を行う祝詞、イナンナは神の力をこれから行使すると皆に伝えたのだ。
「人々の純粋な愛の前に、この様な兵器は不粋と言う物だよ? 消えるんだ‼」
急速に爆風が収束していった、そして全てが無かったかの様に治まったのだ
「健、愛理の魂は僕の方で保護した、現代で君の元に返すよ。心配要らない、それに僕が力を取り戻したのは彼女の君への強い愛だった、彼女の想いが呼び水となり、皆に間接的に繋がったんだ、必ず現代でも君の力に成るだろう」
「そうか…………助かったぜイナンナ、1億発から七千万発に減らしてやろう」
「う~ん、もう少し減らしてくれないかな? 僕頑張ったよね?」
「ああ、随分と俺の知らない所で根回しをな?」
「………………さて、レムリアの扉は開けておいたよ! 小さい楓を連れて行くのを忘れない様にね? 先程の竜は地下に逃げた、入り口は解るね? 健、君達の世界の入り口と一緒だよ?」
「南極、、だな?」
「そう、マナの壺、必ず取り返すんだ‼ アグディスティス、ありがとう、健の力になってくれて、君が一緒なら本当に心強いよ!」
「イナンナちゃん? 貴女に礼を言われる筋合いは無くてよ? 只一つあるとすれば…………よくも可愛い健ちゃんにこんな危ない使命を背負わせてくれたわね?」
「母ちゃん! イナンナは悪くない、俺は逆に感謝してるんだ! 俺は世界を勝手にテメー好みに変えようなんて奴は心底気に食わねー! よく俺を選んでくれたと逆に礼を言いたい位なんだ‼」
「う…………まあ、健ちゃんがそう言うなら……」
「助かるよ健…………僕はティアマト原初神のなかでもアグディスティスだけは敵に回したく無いからね……」
「エレキシュガルお姉様、お久しぶりです、要約お目覚めですね?」
「イシュタル、とても大きくなって、力も随分と上がってるわね」
「積もる話も有ろうが、今はあそこの人間にこの報いを受けて貰わねばならん」
「そうだな、アイオロス、そうじゃなきゃ俺の気も収まらねえ」
俺たちはティワナクの城へと足を進めた、当然この核爆弾の責任を取らせる為だ。
当然被害は無しとは言えなかった。
アトランティス軍もレムリア軍も、ムー軍も、少ないとは言え無傷では無かった。
そして何よりも…………
俺の女を死に至らしめた礼はキッチリと付けねば気が済まない。
「会長、この城の主人は俺の兄レムナンドと言う、何故あの臆病な兄がこんな大それた真似をしでかしたのか皆目見当が着かないんだ…………」
「ワリーがナルメル、いくらお前の兄でも許せる範囲を遥かに越えて居る」
「いや勘違いしないでくれ会長、俺の大切な部下も何人も死んでるんだ、その報いは命で償って貰うが、俺が言いたいのはそうじゃなくて…………」
「君の兄は利用されていたんだよ、ハデスにね!」
「ハデスだって⁉ イナンナ! どう言うことだ!」
「落ち着きたまえ、アイオロス、ポセイドーンも薄々感ずいて居るんじゃないかい? 隠れていないで出てきたらどうだい?」
「気付いておったか……確証は無かったが、先程の竜で得心が行った、ハデスはオリュンポスを裏切っておるな」
「海王様!」
「アイオロスよ、済まぬな、我はハデスの裏切りの確証をどうしても得たかった、お前を騙すつもりは無かった」
「いえ! ですがハデスが裏切っているとは?」
「あの竜はアンカラゴン、冥界竜のハデスの飼い犬よ!」
「やはり気付いていたんだね? アグディスティス」
「あの竜を見るまではまさかあの小僧が裏で糸を引いているとは思わなかったわ おかげで大切な嫁を一人失った、私に喧嘩を売るとはいい度胸をしているわね、小わっぱが!」
もう慣れた、と言いたいが、恐いものは恐い…………
親への恐怖等現代に居るときは全く感じた事は無かったが、、、何故この時代に感じなければならん!
「だがアグディスティスよ、誰が何処まで関わっているか解らぬ、もしかしてゼウスが関わっているやも知れんのだ」
「どういう事? ポセイドーン」
「奴は少なくなった同族を殺したんだ、我が孫娘しかり、ティターン族しかり、正気の沙汰とは思えん、この宇宙の柱を減らせば宇宙の歪みが生じる、それが解らぬ男では無いのだが…………」
「案外それが狙いだったりね?」
「イナンナ⁉ ゼウスはこの宇宙の崩壊を望んでいるとでも?」
「いや? アグディスティス、そうじゃない、詳しい話はほら! 調度来たようだ、僕たちの親に聞くとしよう」
浮舟から調度降りて来た朔と桜に皆の目が集まった
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