真相究明編

第35話 新たなる謎

久美は俺に抱きついて馬車の中で号泣していた、帝やナーナは最初こそ驚いていたが、今は優しく見守っていた。


「健兄さんのバカ、バカ、バカ、バカ、バカ」

久美は連呼しながら俺を殴っている……痛い……


でも俺はそのまま殴られていた、こんなに取り乱している久美は見た事が無かったからだ。


「何であたしの事ちゃんと捕まえておかなかったのよ!あたしの気持ち知ってた癖に、何であの人の所に嫁に出したのよ!

あたし、あたし、健兄さんに対しての腹いせで松本さんと結婚しちゃったんだよ?あの人の事傷つけちゃったんだよ?この世界に来たのだって、最初は健兄さんに心配させてやろうと思って、、、、

でも全然帰れなくて、、、まさかこんな事になるなんて思わなくて、全部、全部、全部健兄さんのせいなんだ、全部兄さんが悪いんだ」


「ああ久美、全部俺が悪い、お前の事考えてるつもりで、お前の事傷つけてたんだな……

俺が全部悪い、すまない、悪かったよ、久美」



「怖かったんだよ、寂しかったんだよ、全然何にもわからない世界で、あたし一人で」



「悪かった、怖い思いさせて、でももうお前に二度とそんな思いさせない、約束するよ。

許してくれとか言わないからさ、俺にお前を守らせてくれ!浩二との約束を守らせてくれ」



「バカ、まだそんな事言ってるの?それであたしの事一人にしたんじゃない、浩二兄さんはもういないんだよ?とっくにいないんだよ?ちゃんとあたしを見てよ‼」



俺はこの久美の言葉で目が覚めた、そうだ、俺は久美をちゃんと見ていなかった、久美の後ろの浩二を見てたんだ。

浩二の墓前で約束した事を引きずって、久美を幸せにするとか言いながら、実は久美を使って浩二との約束から逃げようとしてたんだ。

情けねー奴だぜ俺ってやつは、もうこうなったら……



「解った‼見る、お前の事を見る!もう言い訳しねー。

いいか久美、俺はこの世界でどうしてもやらなきゃいけない事が出来た。

本当は今の今までお前を巻き込まない様にしようと思ってたんだ。

実は今でも巻き込みたくないと思ってる。

でも決めた、お前がもし俺について来てくれるなら、俺は生涯をかけてお前の事を守って行くことをお前に誓う。

ただ、女は他にもいっぱい作る!でも必ずお前が一番だ!どうだ?グゥフォ!」


俺は鳩尾みぞおちを思いっきり殴られた


「最っ低の告白ね!……ここが日本だったら殺してやるとこだけど……私もこの世界に慣れすぎたから、許してあげるわ!

でも必ずあたしが一番ての、忘れてたは通用しないんだからね!健」



「もう呼び捨てかよ、まあ……わかってるよ、久美を幸せにするよ、絶対」



「ねぇ、今はあたしの方が年上って事、忘れてな~い?」


「あっ!」


そうなんだ、この世界では現実世界で過ごした年齢に見合う歳に置き換わり、その後はこの世界の人間と同じ様に歳をとって行く、ここでの生活が100年以上の久美は当然俺より年上になっている。



「久美お姉さんって言って良いのよ?健」



「ウルセー!」



帝が話しを戻して来る


「ではそろそろ私達もお話ししてよろしいですか?」


「あぁ、ごめんなさい、取り乱しちゃって……」


「良いんですよ久美、久しぶりに逢えた愛する人、もう会えないと思ってた人に巡り逢えたんです。それでは改めて、貴方をお待ち申して降りました、健様」



「ああ……俺も陛下に会いたかった、色々な意味で」


「エッチないみで?」



「それも有るけどそうじゃねー、」



「それもあるけど……」



「復唱はいらねーのナーナ……それで陛下、大事な話がしたい」



「今の方がよろしいですか?それとも帝都についてから?」



「今だ、それとここにはこのメンバーだけで、そして馬車の回りは俺の仲間で固めて、御者をアンナと変わって貰いたい」



「理由は聞いてもよろしいですか?」



「俺と貴女の共通の敵、シオンの事だ」



「わかりました!」



そして俺は俺が知る限りの事を帝へ話した


久美が驚きのあまり俺に食ってかかる

「そんな……じゃぁ私がこの世界で得た常識って、作られた物だったの?それ本当の話し?」



「ああ、それだけじゃないぜ、俺達の世界の常識もだ!全て創られた偽りの常識だよ……」



「ジャーリア族にそんな使命が有ったなど、初めて知りました、なんて事を……」

陛下の顔が幾分青く見える、やっぱり何か知ってんだろうな……



「ジャーリア達と私達皇族の接触を避ける為に、ジャーリアを汚物に仕立て上げたのですね……」



「そう言う事さナーナ、奴らは陛下の持つ力を恐れている証拠だな」



「でも、申し訳ございませんが今の私にはそんな力は無いんです、伝承も恐らくは前の時代に捏造されてしまっているでしょうし……」


「大丈夫さ、多分俺はその為にこの時代に運ばれたんだろうな」


「わかりました!私達で出来る限り、この時代で何とかしましょう、私の夢見もこの為だったのですね、だからこそ私は健様とお会いした」



「さてと、久美、ここまで聞いてお前はどうする?俺は強要はしない、本当はお前を関わらせたくはないが、お前の意志がお前の幸せなんだと思う、だからこそお前自身で決めてくれ!どんな決断をしようとも俺の意志は変わらない、俺はお前を幸せにする」



「今更何言ってるのよ、健兄さんの側には私が付いてないと駄目でしょ!」



「いいのか?俺達が戦おうとしている相手ってのは、この世界を簡単に覆せる程強力な相手なんだぞ?」



「何年健兄さんの妹やってたと思ってるのよ、都市伝説とかで健兄さんがよく見てたあれでしょ?知ってるわよ、もし本当にあれらが相手なら、望む所よ!世界を裏で操るとか、気に入らないわ」


「はぁー……やっぱ浩二と俺の妹か…………」



「そうね、二人がそう言うふうにあたしを育てたのよ!」



「今度は私の番ですね、では私の知る伝承をお話ししましょう‼」



「それが聞きたかったんだ!」



「はい、沢山有りますが、一番今のお話しに関係在りそうなお話しから致しましょう。

これは、役5万年程前の帝から代々伝わる伝承で、帝が即位する時に、前帝から口伝のみで伝えられる物です。」



「ちょっ!そんな話ししちゃっていいの?」



「構いませんよ久美、今が口伝内容を実行する時だと私は感じていますから!」



「つまり、奴らを相手に共に闘う天空人が現れたら、計画を実行しろ!みたいな感じか?」



「はい、その通りです」



「随分都合がいい口伝ね、私達が来るのを知ってたみたいな感じ……」



「おおかたジャクソン辺りが関係してんだろ?」



「仰る通りです、ですがマイ○ル様はこのラ.ムーでは重罪人、立ち入る事が許されておりませんでした」



「関係者からって事なの?マ○ケルさんの」



「恐らくはそうなんでしょうね、今の健様のお話しを聞くとそう思えます」



「詮索は後でいい、内容を聞かせてくれ!」



「名をジャネット、コンストラクション様と言います」



「………………相変わらずナメタ名前だな…………」



「……コンストラクション」

久美が妙な顔をしているが、今は伝承が大事だ



「ジャネットコンストラクション様は、役5万年前にシオンで右大臣を勤めたお方です。

当時レムリアで薬学を大変発展させたマイ○ル様と大変ご昵懇じっこんの間柄でした、健様もご存知のハサン公爵とセルマ伯爵がその末裔に当たります。」


「ハサン先生は貴族だって聞いてたけど、セルマさんまで貴族だったのか……」



「でもハサン公爵もセルマ伯爵も、何でコンストラクション姓名乗らないのかしら?外人混ざってそうも無い顔だし」



「この世界だって結婚すれば男の姓を名のってるだろ、てかその名前を真面目に受け取ってんじゃねー‼」


「コンストラクション様は男性ですよ?」

ナーナが割って入って爆弾発言をしてきた。



「はあ?……何処まで人を馬鹿にした奴なんだよ!」



「大変素晴らしい功績を残されたお方ですが……」



「名前でその功績も曇るは!」



「ねっ、ねぇ帝、ちょっとききたいんだけどさぁ?」



「なんでしょう?」



「前にあたしが4色人種の話ししたの覚えてる?」



「はい!勿論 、アトランティス人が天空人様達で言う白人と黒人、レムリア人が青人、ムー人が黄人でしたね?」



「そう、でコンストラクションはそのなかのどれ?」



「黄人ですよ?それが何か?」



「マイ○ルだって日本人なんだから、そりゃジャネットだって…………いや……そう言う事か……」



「あたしの言いたい事解った?」




「ああ……ジャネットは天空人だ!」



「そんな話しは聞いた事有りませんよ?」



「はい、私もです」



「いや、天空人だよ……帝、ナーナ、ジャネットはマイ○ルと仲が良かったんだろ?」



「はい、その様に伝承には残っております。」



「そしてジャネットは男で黄人なのよね?」



「はい、でもそれが何か?」



「マイ○ルもジャネットも俺達の世界にいた有名人であり、黒人だ」



「え!」



「そして私達の世界にいたジャネットの本名は、ジャ○ットジャ○ソン、マイ○ルジャ○ソンの妹であり女よ!」



「では……」



「ああそうだ、そしてルチル達の話ではジャクソンは天空人にそれと解る様に、わざとそんなふざけた名前を名乗っていたらしい、だから恐らくジャネットも天空人だ!」



「そうね、そして恐らくは健兄さん、貴方がいずれ来ることが解っていてその名前をつけたのよ!」



「えーーーー⁉」

「はあ?んなバカな‼」


俺は久美のこの爆弾発言に数秒間固まっていた

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