第15話 ラフィーネ

俺には魔力が無い!

このジャーリアは確かにそう言った……


「ちょっ!だって、ね~……ほら、おもいっきり俺魔法を使ってたの、、、ネーチャンも見たっしょ?……いやだなー旦那ー」



「ネーチャン、旦那、…………見ましたよ!だから天空人様だと解ったんです、私はラフィーネ、と申します」



「ものごっつ理解不納なんですけど!」



「ごっつ……天空人様が今使ったのは魔法に見えて実は魔法ではないんです、天空人様が使ったのはフォルム、」




「フォルム?なんぞそれ?」



「なんぞ⁉、、、この様に言えば逆に天空人様の方がお解かりになるのではございませんか?この呼び名はそもそも創造主様が付けた物です」



『あっ!フォルムって確か英語だかイタリア語で形状とかって意味だよな⁉』



(フランス語です)



「確かにフォルムって言葉は俺の世界にはある、俺の住む国の言葉じゃ無いけど、形とか形状って意味だ、それが俺の使う魔法となんの繋がりがあるんだ?」



「正にその意味する物が天空人様がたが使用される魔法ですよ‼」



「それじゃわっかんねっつんだよ!」



「つん⁉……天空人様は不思議な言い回しをされるんですね……」



「気にしないでください」



「詳しくご説明するには多少お時間を必要とします、他の仲間の遺体をかたずけてからで宜しいですか?」



「ちょっと待てってば、今さっきのジーサンが医者と人を連れて来るからってほら来た」



「息のある物は治療せい!重体の物が優先じゃ!」



「おぉジーサン、手早く頼むぞ!1人でも多く生かすんだ!」



「解っておりますよ、街を救って頂いた報酬ですからな」



ゲルタに雇われた男がが呟いた

「こいつはダメだな……」


そこで俺は見てしまった、血だらけのルチルを、いや、ルチルと同じ顔の女の子を……



「おぃテメー……何を諦めてんだよ!医者だろこの野郎!」



「俺は医者じゃねーよ、ゲルタさんに息のあるこいつらを医者の処に運ぶ様に言われただけだ!」



「んじゃチャッチャと運びやがれ!」




「いや、こいつは即死だって……見りゃ解るだろ……」



「なんだとこの野郎!死んでねーよ!医者呼んでこい!直ぐに回復魔法かけさせろ‼」



「おやめください天空人様!この方の言うとおり、この子はもう死んでいます……」


「天空人?あんた天空人なのか‼」




「何でだよ!死んでねーかもしれねーだろ、仮に死んでたとしても……

蘇生魔法とか在るんだろ?ならそれを……」



「天空人さんよ、残念ながら蘇生魔法を使えるのは最高位の司祭様だけだよ、ここにはいねー。

それにそんな司祭様がジャーリアに蘇生魔法なんか絶対かけてくんねーさ、蘇生魔法事態も色々効かせる為には条件があるみてーだしな……」



俺はその場で立ちすくんだ



「じゃー俺は他を見て回るぜ‼」



「はい、私共のような者の為に……本当にありがとうございます」



「礼ならそこにいる天空人のあんちゃんに言いな、そのあんちゃんが魔物を倒す報酬をあんた達の治療にしたんだからな……」




「えっ!?そんな事を、、、天空人様……」




「どうしてだよ!」



「天空人さま?」



「どうしてなんだよ……なんでこいつが死ななきゃなんねーんだよ!」



「それは、私達も生きる為に……」



「それを生きる為って言うのかよ‼……」




「それは……」


悔しかった、力が有るのに救えなかった。

俺はルチルを守れないのか?

守れない日がいつか来るのだろうか?

こんなふうに冷たくしてしまう日が来るのだろうか?

全てを守れるなんて思っちゃいない、でもルチルと同じ顔のこの子の遺体を見て、どうにも不安でしょうがなくなってしまった。



「クッソー、クッソ、クソガー!クソ、クソ、クソ」


俺は暫くそう喚きながら剣を地面に叩きつけていた



回りにはその喚き声を聞いた他のジャーリア達も集まって来ていた。

暫くそうした後俺は座り込み、ルチルと同じ顔の死体を抱きしめて泣いていた



「天空人様……」



先ほど俺と話していたジャーリアも、そして他のジャーリア達も、もらい泣きなのか俺と一緒に泣き出していた、虚しい勝利だ……


「健様、ハァ、ハァ、ハァ、えっ!健様?」



「もしかして、あなたがルチルさんですか?」



「あっ!はい、健様……何故泣いて、皆さんも……」



「どうか暫くそのままに、してあげてください」

そうして俺の抱きしめる遺体を指差す



「あっ!……健様……健様、その方は私の姉妹ではありません、健様の目標はまだ……」


「わかってるよ、、、ルチル、何故ここに来た、お前はまだ傷口が完治してないんだから無理はするなって言っておいた筈だぞ?」




「ごめんなさい!でも私……健様が心配で……健様、どうか気になさらないでください、その子も自分の使命を全うしただけですから……」



「俺はそんな使命納得しねー!……解ってるさ、俺にだってー!

こんなもん単なる俺の偽善だってー!

お前達に解れとも言わねーよ、だけどなー、どーしても納得できねーんだよ‼

この子が死ぬ事も……お前が死にそーになった事も……ここにいるおまえらが魔物相手に人間の盾になる事もー‼

全部引っくるめて納得できねーんだよ‼

祖先がした約束?ふざけんじゃねーよ、今を生きるお前達の命をもてあそんでるだけじゃねーかよ!

解決できねー問題を先送りして、子孫に付け払わしてるだけじゃねーかよ!

冗談じゃねー!」



「天空人様のおっしゃられる事もわかります……」


ラフィーネの子供らしき者が隣に来た、同じ顔、、、分身体だろう


「母さん、何を言うの?」


「リーア、これが間違いだと言う事は貴方も解っている筈よ?

だからこそ創造主様も、あれほど私達の願いを拒んだのよ?ルチルさん、貴方も……解るわね?」


「私は……もう大分記憶が消えてしまっているんです、今ではもう創造主様のお言葉は殆どと言って良いくらい覚えてないんです……」


「それは私達も同じです、ですが、私達が望んだ目的は覚えているでしょう?」



「そ、それは忘れる事など決してありません」



「では、この天空人様にかけてみませんか?」



「そんな!それでは健様も創造主様と同じ末路に……」



「健様……と言うのですね。

ルチルさん、健様が必ずしも創造主様と同じ末路になるとは限りません、いえ、私はならないと思います」



「そんな!どのような根拠が?私は嫌です、私は……健様を……失いたくありません……」



「あなたは……本当に記憶が……」


何の事かは解らない……でもジャーリア達が自分を犠牲にしてまで叶えようとした望み、出来る事なら叶えてやりたい


「話せ‼お前達の望みって奴を……そうすればお前達も糞な運命から解放されるんだろ?」



「いえ、この体は元に戻る事はもう有りません、ですが……少なくとも人々の誤解は解く事は出来ます」



「健様、いいんです、これは私達の問題!健様が関わる事は有りません!」


「ルチル、もうおせー!」


「ンアー!」



俺はルチルのオッパイをそういって揉みしだいた。

やってやろうじゃねーか、ラフィーネは俺にかけてみたいと言った!


「ラフィーネって言ったか、話せよ、お前達の望みって奴を」


「ルチルさんは宜しいのですか?」


「ごちゃごちゃ言うなら鼻の穴に指突っ込んで黙らせる」



「…………わかりました、この子達の火葬が済みましたら私達の小屋に来てください!

天空人様はこれから領主様のお屋敷へ?」



「領主?しらねーよ?そんな奴」



「先程のご老人、ゲルタ子爵様ですけど……」



「うぉ!あのジジイ領主だったのか!しかも貴族‼」



「ジジイ…………知らないでお話しされてたのですか……」



「んまぁ、とりあえずジーサンのとこに少しの間厄介になるかな」



「では火葬が終わりましたらお屋敷にお迎えにあがります」



「いや、ちょっと待ってくれ、、おいじーさん」



「何かな?剣士殿」



「俺は健、松田 健だ!、何人位助かった?」



「20人じゃな、残念ながら5人は助からなんだ……

じゃがあれだけの魔物の大群で犠牲者は5人、そして街は無傷、これは奇跡と言ってもいいじゃろうな」



「ほう……奇跡かー……んでその軌跡の功労者は誰だったかな?」



そういって俺はじーさんと方を組む



「そっ、それは勿論松田殿じゃよ!」




「そうかそうか……んで俺が求めた報酬は何だったかな?」




「それはー……松田殿が退治した魔物一匹に対し、ジャーリア一人の治療……じゃったかの?」


「うんうん、そうだったな~、、、んで?治療してるのは何人だ?」



「それは20人……勿論余った報酬は払うぞ?わしも貴族の端くれ、信義には信義を持って返すわい」



「オォ!流石は子爵様だ、んじゃお言葉に甘えて、亡くなったジャーリアの丁重な埋葬を頼みたい、勿論信義をもって丁重にやってくれるよなー、あぁん?」



「そっ!それは埋葬までは出来るが……墓地に入れるのだけは勘弁してくれ‼」



「天空人様、領主様、そこまでやって頂かなくても……」



「黙ってろ!んじゃぁこうしよう、墓地はいい、名前も厳しいだろう。

ならあそこの小高い丘に慰霊碑を作ってこう刻んでくれ、クレムの街を救った美しきワルキューレ達の碑、、とな!

それくらい出来んだろー?出来るよなー!

なんつったって軌跡の功労者からの願いだもんな~?

俺達これからオオギュスタに行くんだよなー、多分ここでの魔物騒動の事は、エルドアン男爵に色々と土産話に話すだろぉーなー、なぁルチル?」



「あっ!あわっわ〰」

ルチルのビビリが入ってきた



「んでもってゲルタ子爵様はとっても信義に熱く、魔物をことごとく退治した俺をとても手厚くもてなしてくれました、と……言いてぇもんだよな~?ルチル?」



「あっその……あの」



「もっ、勿論慰碑くらいお安いもんじゃよ!」



「オォ!流石は音に聞こえた正義の子爵、勿論碑に刻む文句もいいよな?」



「任せておくが良い、所でワルキューレとは何の事じゃな?」



「あぁ‼大した意味じゃねーよ!気にすんな!

じゃぁちょっとジーサンの家でやすませてくれ、流石にちょっと疲れたからさ!

行くぞルチル、ラフィーネ!」



「おい剣士殿!流石にジャーリアは屋敷に入れんでくれよ?」


「んぁぁぁん?まさか功労者の連れを外で待たすとか信義に反する事しちゃうのかなー?」



「別宅じゃー!!別宅を用意するからそこに……」



「オォ!そうかそうか、んで飯は?こいつらそうとう食うからさ」


「お主に渡すジャーリアに運ばぜる、

そのまま引き取って構わん」



「オォ!じゃぁ頼むは!いやぁ流石はゲルタ子爵!何から何まで素晴らしいねー」



こうして俺はここでの滞在先を手に入れた

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