第14話 フォルム
明け方 謎のジーサンがいきなり俺達のテントに乱入してきた。俺はルチルのパイパイ窒息プレス攻撃により目覚める。
「剣士殿、無理を承知で頼みがある」
「よし!断る」
「まだ何も言っておりませんぞ!」
「分かりやすく説明しよう……俺は今気持ちよく寝ていた。
処がそこにいるルチルのオッパイで顔面を押さえつけられ、俺の息子は完全なる目覚めを果たしてしまった!それ以上はいくらジーサンとは言え、言わなくても解るな?」
「健様……ごめんなさい!」
「お前は謝らんでいい‼」
「そうですか、剣士殿、それではお詫びと言ってはなんだが、そこにいる娘、見たところジャーリア族。
剣士殿は余程そのジャーリアを愛でておられるご様子、もし我が街をお救いくださったあかつきには、当家にもジャーリア族を何匹か飼育しておりましてな……その」
「ジャーリア族?」
「健様、私達は世間ではジャーリア族と呼ばれているんです」
「ほう、剣士殿はジャーリアを知らないと、ご出身はどちらですかな?」
「めっちゃ遠くだ!それよりもジーサンのところで飼育しているジャーリアが何だって?」
「いえ、お救いくださった場合、勿論報酬とは別にお詫びとしてさしあげよう……」
「よし行こう!」
「おぉ!来てくださるか、ではこの先にあるグレムの街に私と一緒に来てくだされ」
「んで?俺は具体的に何をすればいいんだ?」
「はい、実は街に魔物の大群が向かっているとの事、ゆえに私共は街にいる戦えそうな者や、付近にいる彼方のような、剣士殿や魔術師殿に救援を求めております」
「つまりその魔物共を退治するか、追い払えばいいんだな?」
「そうですじゃ、今肉壁共を防ぐ為に街の門外に待機させておりますゆえ、あなたさまも……」
俺は咄嗟にジジイの胸ぐらを掴んでしまっていた
「テメー、まさかジャーリア達を……」
「何をなさる、あなたは他国の方ゆえ知らないのは無理からぬ事ですが、元々ジャーリアとはそう言う……」
「お待ちください健様、私達と人間様はなん万年も前から……」
「ウルセー‼、、んなこたーハサン先生から聞いて解ってんだよ。
おいジジイ! 直ぐにその場所教えろ‼」
「ここからもう見えるところですじゃ、外に出てくだされ」
その街はキャンプしている場所から見えた。
昨日は暗くなってからキャンプを始めたので、目に入らなかったのだろう
「ジジイ、この場で約束しろ!俺が魔物共を退治したら、した分だけジャーリア達を治療しろ!それが俺への報酬だ!」
「そんな報酬で宜しいのか?」
「するのかしねーのかどっちなんだ!」
「お安い御用ですな!」
俺は一瞬で駆け出した
全速で街迄走っている、俺の身体能力は確実にこの世界に来てから数倍に上がっている。
自分では種が羽化したとかアカシックレコードに繋がったとかの実感は全く無い。
簡単に言うと恐らく重力が地球より軽い星に行ったと例えれば良いだろう。
だがそれでも俺は焦っている、こちらに来た時に見た死体が散乱されてた光景、そう、あれはルチル達ジャーリア族の死体が殆どだった。
ハサン先生から聞かされたジャーリアの宿命、ジャーリア族達は人間から忌み嫌われている、当然人間達の町に住む事は出来ない。
どの国も納めているのは人間だ、だがジャーリア達も生きて行かなければならない、基本衣食住には勿論お金が係る。
だが忌むべきジャーリア達を誰が雇うのか、そしてジャーリア達が作った物を誰が買うのか。
そう、ジャーリア達が自分達の生活を円滑にするには自分達の国を造らなければならない。
そんな事をすれば人間達との戦争は避けられないだろう。
だからジャーリア達は人間と取引をした、それは人間達に隷属する事、そして人間に危害が及びそうな時は人間を守る盾となる事。
彼女らは自分の命を軽く考え過ぎる、ジャーリアはルチルも言っていたが、分身を産むことを分列と考えている。
だから全滅さえしなければ、どの個体が生きていようと構わなかった。
でも…………
違う、違うんだよ!それは大きな勘違いなんだ、、、
なん万年も前にジャーリア達と人間との間で取り交わされた不変的な約束……
だがそれがどうした、俺はそんな一方的な約束認めない。
そんなの日本とアメリカで締結した、不平等条約の何倍も酷い条約じゃないか‼
だから俺はせめて自分の目に映るジャーリア達だけでも救いたい。
『街の方から煙が見える、間に合ってくれ、頼むから誰も死んでくれるな!』
たどり着いた、既にジャーリア達と魔物の戦闘が始まっていた。
だがまるでお話しにならない、ジャーリア達は戦闘訓練を受けた訳では無いのだから、一方的に魔物達に蹂躙されている。
「お前達は邪魔だ!下がれ!」
「え?でも私達にはこの町を守る使命が……」
「ウルセー!そんなへっぴり腰で一体何が出来るってんだ、他の傭兵達はどうした!」
「街の門の前に待機されています、私達がここで全滅するまで出来るだけ魔物を減らしてから、残った魔物を倒す手筈に……」
なんだそりゃ?死ぬの前提かよ!
「ざーけんな!テメーラやっぱ邪魔だ!下がれ!」
「でも使命が……」
「「ウルッセーこのおま○こがー、ぐちゃぐちゃいってっと俺の肉棒ぶちこむぞ‼」」
「ひぃぃ!」
「さて、こっからどうするか、、、魔物どもを倒すには、今の俺が出来るのは、先日使ったあの炎の魔方だが、そこいらにやられたジャーリア達がいやがる。
あいつらをまきこんじまう、かといってチマチマ剣で倒してたらまたあいつらが来て死体の山を築くだけだ……
どうする、一体どうすりゃいいんだよ!
おい……アカシックレコード、繋がれよ‼俺にあいつらを守らせろ、時間がねーんだよ早くしろよ!」
そして目の前で何かが大きく弾けた!
そしてあの象形文字の羅列がものすごいスピードで流れる、だが俺にはその文字がまるでスローモーションの様に見える!
言葉を紡ぐ
「パンチャマ、ハー、ブー、タ、ヴァーユ!」
とてつもない竜巻が魔物達だけを襲う、そして魔物達は全て上空に舞い上がり風の檻に閉じ込められる
「バジュラ、マハ、メルト」
風の檻に豪火の塊が襲い掛かる、風の勢いも合わさり差し詰めミニ大陽とも呼べる物が上空に出来上がっていた。
俺は我ながらビビってそれを見つめていた、暫くすると炎も風も消え 、塵一つ残らず跡形もなく魔物達は消えていた。
「け、剣士殿、あなたは魔法も使えたのですか?しかしこの様な大規模な魔法……わしは見たことも聞いた事も……」
いつの間にかジーサンも着いていた様だ。
「んな事はどうでもいい、それより約束は覚えてんだろうな?ジーさん、軽く100匹はいたぞ!
もし違えやがったら今度はあの魔法がお前の家に降り注ぐ事になるんだぞ‼」
「わー!わ、解っておりますとも、直ぐに人と医者を連れてきますじゃ」
「おぉ、行け!」
ジジイはかなりの勢いで駆け出して行った
「天空人様、天空人様なんですよね?」
「……ルチルもそうだったが、なんで魔法を使っただけでお前達ジャーリアには俺が天空人だと解るんだ?この世界の奴等なら魔法を使う奴なんてそこいらじゅうにいるだろ?」
「ルチル、とは?天空人様が飼育していらっしゃるジャーリアですか?」
「あぁ、そうだよ!」
「ではそのルチルさんから何も聞いていらっしゃらないのですね……」
「いや、俺もこの世界に来て間もないし……色々有ってな、まだろくにルチルとは話が出来てないんだよ」
「そうなんですね、では私から……勿論この世界には魔法を使う人間様は大勢いらっしゃいます、でも魔力も無いのに魔法を使うかたは一人もおられませんよ!」
「ハイィィ?」
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