第13話 真実への扉
日も落ち、俺たちは簡易テントをはり夜食を取っていた、勿論ルチルはまだちゃんとした食事は取れないため、セルマさんの用意したオートミールの様な物を食べさせている。
ルチルは遠慮して少なめに取っている用だが、それでも洗面器1杯は軽く食っていた。
だがそんなもん俺に通用する筈もない、俺はハサン先生から内臓に傷は無いため腹一杯食わして良いと確認を取っている、そのために俺は荷車にいっぱいのルチルの食いもんを貰って来てある。
「おいルチル!」
「はい!健様」
「お前そんなもんじゃ腹一杯にならないだろ?」
「大丈夫です、これだけ頂ければ十分次の食事の時間まで持ちます」
『洗面器一杯食ってそんな事言われてもな……だが俺は喉まで食わせると誓ったばかりだ』
若干焦りつつも再度気を引き締める
「持つか待たないかを聞いてるんじゃない、腹一杯になったかって聞いてるんだ」
「いえ、私食べすぎるんでおなか一杯食べるととんでもない量を」
「ごちゃごちゃウルセー!質問にそのまま答えろ」
「はい!お腹一杯になってません!」
「よし腹一杯になるまで食え!いいか、俺の腹一杯ってのは喉の寸前まで食いもんがあり、ちょっとでも腹を強く押されると噴水の如くゲ○が吹き出る状態を言うんだ」
「えっ!あっ!う……」
「いいか、もし嘘ついたのが解ったら漏斗口にぶちこんで食いもんミルクと一緒に流し込むからな!」
「た!食べます、頂きます!」
その後ルチルは本当に喉まで食った、荷車に大量に積んである食料が一目で解る程減っていた、恐るべしフードファイター、一応少し怯んだ俺は喉まで食えと言ったのは遠慮するだろうと見越して言った事を説明、必ず腹一杯食うことを約束させた、フォアグラ計画は早くも挫折を迎えた。
一応断っておくが、俺はデブ専ではない、純粋に飯を腹一杯食わせたかっただけである。
俺はルチルを先に寝かせ火の番をしていた、ここいらには魔物は殆ど出ないと聞いてはいたが、用心に越した事はない、何せ物取りもいるかもしれない。
ルチルは自分が番をすると言い張ったが一喝して黙らせた、俺は朝方3時間程寝れば問題ない。
だがルチルはなかなか寝付かない、それもそうか……今までずっと気お失ってたとはいえ寝てたんだから……
そこで俺はルチルと長い時間話した、俺がルチルに求める事、勿論性的な事も多少はある、が本命は違う。
俺はルチルに幸せになって貰いたい、こんなのは俺の独善であるのは間違いない、同じ天空人である俺が感じる負い目を俺がルチルを幸せにする事で自己満を得たいだけだ。
偽善者だ、そして俺は全てをルチルに打ち明けた、勿論目標の事も……
処がルチルの反応は驚くべき物だった。
「健様、健様は何か大きな勘違いをなさっています。どうかお願いです、創造主様を悪く言うのを止めてください……」
「何が勘違いだ!糞ジャクソンはお前達の祖先に人体実験を施し外法を使って今なお子孫であるお前達を苦しめているだろ!お前達が納得しても俺は納得しねー!
いいかルチル、お前達が言う創造主ってのはな、遺伝子改造って言う俺達の世界では人に対して行っては絶対にいけない最大の禁忌を犯したんだ。
そしてクローン技術と言うやはり外法を使ったんだよ!同じ天空人として絶対に無視出来る事じゃねーんだよ!」
「解っています、それを解った上でお願いします、どうか創造主様を悪く言わないでください」
ルチルは目に涙を浮かべながら必死に俺に懇願してきた……
「何故だ……何故そこまで……どうしてそこまでジャクソンを庇う……」
「健様……違うんです、創造主様は私達を自らの欲望の為に改造した訳ではないんです。
私達は自ら望んで創造主様に改造して頂いたんです、今私達が受けているあらゆる恥辱は大それた事を望んでしまった天罰なんです……」
「何故そんな事がお前に解る、大方そう言うふうに思い込むようにマインドコントロールでもされたんだろう」
俺は自分が矛盾している事を解りながらもそんなふうに答えていた。
ルチルはクローンとはいえジャクソンには有っていない、マインドコントロールされる訳ない。
これは嫉妬だ、まだ目覚めてから1日と経っていないのに、俺の言うことを嫌な顔一つせず笑顔で聞くルチル、俺の執拗なセクハラ攻撃も笑顔で受け入れるルチル。
そんなこいつが他の男を庇う事に対して、猛烈な嫉妬をしているんだろう……
「違います、健様……私達は……姿形だけではなく記憶も引き継いで産まれて来るんです……」
『……何だって?まさか……成功していたのか……永遠の命、不老不死が……嘘だろ?現代技術だってそこまで行ってない筈だぞ?』
俺はこのルチルの言葉を聞き、凍りついた
「冗談言うなよ 、俺達の世界だってそこまでは進歩していないぞ?」
「本当です、勿論完全に全ての記憶が残っている訳ではありません、分裂していく内に少しずつ古い記憶は失われて行くんです。
創造主様のお言葉では、遺伝子に刻まれて行く記憶には許容量があり、補完する為にはアカシックレコードに接続する必要があると……私達は創造主様の遺伝子を別けて貰い、アカシックレコードと言う物に接続出来る様にして貰いました。
ですが、結局私達では接続するのは不可能だったんです」
『ばかな!嘘だろ?……でも俺は遺伝子操作の事は今ルチルに話したが、アカシックレコードの事なんてこの世界に来て誰にも話していない……アカシックレコードの概念なんて俺の世界でも出来たのはそんなに古くはない筈だ……
いや、今少なくとも1人は現代人がこの世界にいる』
ルチルの言葉を否定したい俺がいる、でも俺はこのルチルの言葉を……
「お前の言うことは解った、全てを信じるにはまだ俺の中では時間が係るが……
一応聞いておく、何故お前達は遺伝子操作を……
いや、もう隠し立てする事もないだろう、永遠の命を望んだ?」
「その前に一つ、健様、私は天空人様である健様を信じてお話しをします、私が今からお話しする事を健様の胸の内だけに留めておいてくださる事を、お約束してください」
「話の内容による、信義に反する様な内容なら、俺はあらゆる手段を使ってでもジャクソンのおこなった行為に歯止めをかける」
「はい!ルチルは健様の様なお方に拾って頂いて幸せです」
『な……何を言ってるんだ?こいつ……』
「ではお話しします、健様!健様は創造主様の事をどの程度までお知りですか?」
俺はルチルにハサン先生から聞いた事を全て話した。
「やはりその程度でしょうね、そして天空人様が聞けば、都合よく誤解するように、巧みにお話しが出来上がっています……」
『なんだ?一体何を言っている』
「健様、創造主様も私達も、永遠の命など望んではおりません、結果この様になってしまった、と言うことなんです。」
「ちょっと待てよ、じゃぁ俺がハサン先生から聞いた事は乗っけから嘘だったって事かよ……」
「残念ながらそうなってしまうかもしれません……健様は何故創造主様が永遠の命を欲したと思われたのですか?」
「そりゃ自分自信を創ろうとしたって聞きゃぁ、遺伝子操作の事を知っていれば誰でもそう思うだろ!」
「天空人様が聞けばそうなってしまう物なんですね……」
「なぁルチル、お前達は遺伝子操作の事をジャクソン本人に聞いたのか?」
「はい!その単語は創造主様から聞かされましたが、其が何なのか、と言うことは知りません、ただこうなってしまった以上、恐らくは人の根幹に関わる重大な物の操作なんだろうと思いました」
「まぁ……大体合ってはいるが、人だけじゃなくて全ての生き物のな……」
「そうなんですか……やはりとんでもない事を私達は望んでしまったのですね……」
俺はこの時ルチルの話しを半ば信じていた、違い過ぎるんだよな……レイラと……
俺はルチルがあまりにも落ち着いているのは、成長していなくても、現代人とは違い年数を生きているからと、普通では耐えられない程の過酷な運命を背負って生きてきたからだと思っていた。
レイラは普通に歳相応のキャピキャピした感じが合った、だがルチルは明らかに成人女性の、いやもっと熟年女性の落着きと風格を感じさせる。
年齢はレイラと変わらないか、下手をすれば下なのかもしれないのに……
そして俺はルチルから話を聞いている内に、明け方近くになっている事に気がつき、一端話を打ち切り
就寝した。
だが2時間もしない内に、いきなりジーサンが大慌てで乱入してきた。
「旅の剣士殿、突然失礼いたします。」
俺は爆睡中だったが、なんとなくジーサンとルチルがギャーギャー喚いてるのがうっすらと聴こえていた、が、あまりの眠さに覚醒には至らなかった
「困ります、ご主人様は火の番をしていて先程寝たばかり何です!」
「えーい今はそんな事言ってる場合ではないわ!街一つ潰れるか潰れないかの瀬戸際なんじゃ‼」
「で、でも」
「剣士殿ー!無理を承知でお頼み申す」
「乱暴にしないでください、私が起こしますから!」
俺はジーサンにガクガク揺らされていたが、見かねたルチルが覆い被さってきた。
そうなると俺の完全覚醒には十分な材料が揃う。
幼い顔と、身体とはアンバランスな爆乳が、俺の顔をおおいつくす。
俺はオッパイをどけるふりをしながら、激しく右手で揉みし抱き、何故か左手は股間を激しくまさぐった。
幼い顔とはギャップのある、色っぽい声で海老反りするルチル
「アーン‼」
「ルチル、無理をするな!お前はまだ傷口が完全に塞がってる訳じゃないんだ!」
「はい!ごめんなさい!健様……」
今のルチルの声で半分おっきの俺のキャノンは凛々しく立ち上がってしまった……
溜まりに溜まった俺のキャノン、どうしてくれるジーサン……
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