第4話 ガラケイ

セルマの宿

そこに丁度戦があると言う事で医者の宿泊客がいた。

だがこの腐れ医者はどうも人種差別主義者らしい、俺の鉄拳で性根を叩き直してやりたい処だが……今はまずい。

こいつをやっちまうと女の子の容態を見るやつがいなくなる。



「君はこの子が人間だと言ったな?」


「ああ言ったさ、この腐れ外道の人種差別野郎!テメーみてぇなやつが医者とは世も末だよな‼」


「全く口の悪い子供だ……さて、セルマさん、悪いが部屋を用意して貰えないだろうか?私はこの子供と少し話しがしたい、出来れば人気が少ない方が、場合によっては……」



「解っていますよ先生、そして今私は何も聞いていない、ですね?」



「話しが早くて助かるよ、セルマさん」



「おい!何勝手に話してんだよ!俺はこの子を診てくれるってお前が言うまで何も……」




「その子をセルマさんが用意してくれる部屋迄運んできなさい、助けたいのなら何も言わずに私の指示どうりにするんだ」




「診てくれるのか?」




「それは君次第だ‼」




「先生、此方へどうぞ」





取り敢えず俺と腐れ医者は宿屋の主人が用意した離れの部屋へ女の子を連れて移動する、この宿外からの見てくれと違い、奥行きはかなりある、3階屋で40部屋位在りそうだ。

通りすがりに何人も女中とすれ違う。

しかし不思議だ、建物とは変わり、皆着ている服は洋服でなぜか全員ミニスカ、しかもストッキングを履いている、それとは別に…………

『天空人て何だ?俺はドラ○エの世界にでも迷いこんだのか?』



そして離れの部屋に着くなり俺は……



「どうすりゃ診てくれんだ?」



「まず私の質問に答えて貰おう、その子をそこに寝かせ、掛けなさい」



俺はベッドに女の子を寝かせ、椅子に掛けた。


「まず、君は天空人か?いや、この質問ではダメだな・・・・・・君はこの世界の人間では無い!そうだな?」




「……何故そう思う」




「君の着物、しゃべり方、そしてこの子を人間だと言ったな?君の着ている服はまずこの世界には存在しない材料で出来ている様に思える、そして私にむかいテメーは……と言った、天空人の伝承にその言葉が刻まれている、そしてこの世界にはこの子を人間だと言う人は居ないよ」



「なっ……ちょっと待ってく……」




「質問にだけ簡潔に答えなさい、その子はもう危ない」



「あぁそうだよ、俺はこの世界の住人じゃない……多分……来たばかりでまだよくわかんねーんだよ」



医者はおもむろに上着の内ポケットから見慣れた物を取りだし

「では次の質問だ、これが何だか君は解るか?」



それはどこからどう見ても折り畳みのガラ携だった。

「えっ!ガラ携?」



「解るんだな?ならこれが君に直せるか?」



渡された携帯を開き電源ボタンを長押ししてみる

それは俺と同じキャリアのdoc○moの携帯だ、3型位古い様だが……

「よくわかんねーけどこれ普通に電池切れなだけじゃね?俺もガラ携今持ってるし、充電器もあるから多分動く様になるよ、でも圏外だしそんなもんどおすんの?……」




「直せるんだね?よし!、この子を診ようじゃないか!では君はセルマさんに言ってタライに水ときれいな布地を多目に、そして何か体力のつく流動食を用意してもらっておいてくれ、直ぐに私は回復魔法の準備に入るとしよう」





『やっぱりここってば剣と魔法の世界なのね……』

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