第2話 いけずな先輩

俺は今全力で走っている、ここ十数年走った事すら無い俺が、しかも道では無い鬱蒼うっそうと草木が生い茂ったジャングルの中を



人間死の恐怖を味わうと普段の数倍の力が出るって言うけど、どうやら本当らしい

後ろからは何だか解らないけどヤバいのが追ってきてるが、何とか捕まらずに済んでいた。



背丈は4メートル位、2本足の所謂ティラノザウルスみたいな奴だ、だが少し違う。

こいつはもっと禍禍まがまがしい、魔物と言うに相応しい感じがする。

どお考えても俺が逃げ切れる相手では無い……

はずんなんだが、、、



『何で俺追いつかれてないんだ?

此これはあれか?異世界転位してチートパワーってやつか?……て事は俺逃げる必要無くね?』



後ろをふりかえって奴を睨み付ける…




「…………やだな先輩~い!俺が闘おうなんて大それた事考える訳無いじゃ無いっすか~」


途端にビビりまくる俺……

「やっべ‼ 距離縮まっちまった‼」


やはりとにかく逃げる、仮にもしチートパワー何てあったとしても奴に敵うとは思えん……


その時だった


人が血を流しながら木に持たれかかっているのを見つけてしまった。

女の子だ、中学生位の、格好を見るからにさっきの戦争に参加していた様な……




そして先輩の意識が俺から逸れ、女の子に……



『これってもしかしたらラッキー?』



この隙に逃げてしまえば俺は助かる……

あの子はどう見ても致命傷だ、俺はまだピンピンしてる、ここはあの子に犠牲に………



『って……俺何考えてんだよ‼ 中学生になるかならない位の子供じゃないか‼情ねー……最悪だぜ、我ながら本当糞だよな』



俺はその子にかけより

「おい!しっかりしろ、ここはやべぇ‼……って言葉通じる訳ねぇか」

抱き抱えてとりあえず走る


軽い、羽毛布団でも持ってるかの様な軽さだ

これなら何とかなるか


全力で走った、でも何故俺にこんな体力がある?

これ本当に俺か?

その時かすかに声が聞こえた



「に……逃げて……くださ、い、、私を…置いて、このまま、、では、、、あなた、ま、で」

弱々しい声だった、何とか聞き取れた程度の。




「はぁ?却下だ却下、状況わかってんのか? 今このまま少しでもお前の事卸す為にスピード落としたら俺まで食われちまうよ」


「投げ、、棄ててもらっても…かまい、、、」


「いいからガキは黙って抱っこされてろ」



そんな会話をしていると、無慈悲な後景が俺の前に現れた、無慈悲と言ってもミサイルが飛んで来た訳ではない



「て……………『やっちまった‼』 嫌だなー前で戦争やってらっしゃるじゃないですか~……なんて、余裕かましてる場合じゃねぇ、どうすんだよオイ‼」


挟まれた、前では戦争やってるし後ろからは先輩がヨダレ垂らしながら追ってきてる

このまま先輩引き連れて乱入するか?

却下だ、俺一人でもあの乱戦の中から逃れる自信何て無いのに、右は崖、左は絶壁


「私を…置いて、」


「ウルセー‼」


「ひっ!」


「今考え中だ‼ちと黙ってろ」


「ご……ごめん、、なさい」


ここは消去法だ、先輩と闘うか戦争に乱入するか、僅かでも生き延びられそうな方を取るしかない!

なら後者だ、どう見てもあの乱戦は広範囲に広がり入り乱れてる、逃げられるとは思えん……

それに比べこいつと闘うとしたら……

そう、、ほんの少しでも構わない、ダメージを与えられれば今の俺の脚力なら、、

「逃げられる‼ さて先輩、ちょっと俺に稽古つけて貰えますか‼」


女の子を再度強く抱きしめ、決意を固める……けど



『いや、これ本当に俺かよ?』

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