第6話川を求めて馬走る 悪魔降臨 慧覚醒

あれから2ヶ月、山とホームを行き来して素材を発掘し続けた。

 採取活動は地道な作業だが、これが全て自分の利益であり未来への架け橋だと思うと、何をやってもウキウキが止まらないのだ。


【黄金の林檎アムブロシアー劣】は取れなかったが、林檎の木自体がかなりの速度で成長している。既に10メートルを超えてグングンと背を伸ばしている。

 不思議な事にホームの規模が木に合わせて拡張されていくので、ホームを囲っていた柵が広がっている....ホームを中心に土地が広がっているが正しいのだろうか?


 柵が広がって、ホームも拡大しているのに、畑との距離が広がっているというのはきっとそういう事なんだろう....不思議である。

 

 野菜類が取れるようになり、ラビットの肉も確保出来るようになったので、料理にも手を出し始めた。

 調理スキルを覚えてからがとても楽しかった。頭の中にレシピが浮かび、何をどうすればいいのかナビが出るのだ。


 調理スキルに組み込まれている、調味料作成を使って塩・醤油・味噌・胡椒等を作成する。

 肉を漬け込み、野菜を切り、鍋を火に掛けて味噌を溶かす....懐かしい匂いがするとホッとした。

 やはり、日本人は味噌汁と米がなければいけない!変異を繰り返すうちに米が生まれた時は歓喜したが、品種改良を重ねて生み出された極上の国産米には及ばなかった。


 漬け込んだラビット肉を炒めて塩胡椒でシンプルな味付けをする。ジュワーっと肉が焼ける音を聞いていると食欲が刺激されて涎が口の中に溜まってきた。

 

 一つ目標が達成出来てしまうと、次の美味しさを追求しようとしてしまう。

 日本人の食へのこだわりが凄まじい物だという事が、改めて理解できる出来事だった。


 ご飯に味噌汁、サラダと兎肉の炒め物という簡単な献立だったが、自分で作った物程美味しく感じる物は無い....空しい自己満足の結晶だ。


 

 八神 慧 (??) LV55 ジョブ 無し 

 

 スキル ステータス Master アイテムボックス Master 鑑定 LV39 採取LV33 農業LV36 狩猟LV15 鍛冶LV14 料理LV6 格闘LV12 武具習熟LV8 兵器習熟LV8 敏捷強化LV11 テイムLV8 騎乗LV7 木工LV3


 HP 0/0 MP 95/96


 つるはしやナイフを使っていたら、武具習熟スキル、兵器習熟スキルを覚えた。このスキルは武器全般、兵器全般の扱い方についての、知識や技術を高める事が出来るスキルだった。

 素人技で振り回したり、投げたりしていたナイフが、熟練の傭兵にでもなったかのように扱えるのは不思議な感覚だった。

 

 川を求めて、リンキに跨り草原を駆け抜ける。

 林檎を寄越せと煩いので、棒の先に林檎を吊るして鼻先に置くと、面白いように走り出した。

 目的を達成すればちゃんとご褒美をあげるから、頑張って走るのだ!


 走っていると川が見えてきた...広すぎて海に見えるけど川だ。狩猟スキルで索敵するが、特に害意を持った生き物はいない。川魚を感知するだけだ。

 ジャジャーン!林檎の枝で作った釣竿があるのだ!釣りをするぞぉー!!


【釣竿(アムブロシアーの若木)】「レアリティ SR」

 神気を宿す木材で作られた釣竿。とても丈夫で使いやすい、釣り人の技術を補助してくれる優れた釣竿である。 釣りスキルLV+5の補正を得る。


 俺のような初心者でも釣りが楽しめるはずだ!糸は髪の毛をつなぎ合わせて作った。

 この箱庭世界の中でのみ、不死身である俺が自らの髪の毛で作った糸は伸縮性抜群で切れる事が無いのが素晴らしい。


 釣りを始めると、直ぐに当たりが来た。ピクピクッっと目印に付けたラビットの毛玉が沈んだ....よし!魚の動きに合わせて釣竿を動かすと、強い抵抗を感じた。

 昔、シーバスフィッシングに出かけた時、強い引きを感じた事があるが、その時に感じたような強い引きが来たので、大物の予感に興奮が高まっていく。


 だが、冷静になって考えてみたのだが、餌もルアー代わりになるような物も付けていないのだ。

 糸の先には鍛冶スキルで作成した、返し付きの針だけしかついていないのだが、何がかかったのだろう?

 ぬぬぬぬ....ふ..ん...おりゃあぁあああ!!!! ざっぱーん!...ドサッ!


 「うわ~~ん!もーう!痛いなぁ!何するのよ!」

 青い髪の少女が糸の先にくっ付いている...どうしてこうなった!?

 【レヴィアたん】LV29000

 すっご~く強くて、可愛い海の悪魔?らしい(本人談)


 えーーーーーー!おにゃのこが釣れたんだが、俺はどうすればいいんだろう?

 1.食べる 2.お持ち帰り 3.キャッチ&リリ-ス.....3で!

 俺は即座に釣竿を握り締めると、全力で川に向かってリリーs「こら!何しようとしてんの!」

 出来なかったよ....。


 「君は一体何者なんだい?どうして餌も付いていない釣竿に掛かったの?馬鹿なの?」

 「ば...ばっ...馬鹿じゃないわよ!ちょっとキラッってしたからパクッってしちゃっただけなんだからね!」

 「それを馬鹿っていうんじゃね?」「うっさい!馬鹿!馬鹿って言った方が馬鹿なんだから!」


 話が進まないから、ここは俺が大人になって話を進めよう。

 「アレじゃん?ここってば箱庭だよね?君の出番とか無いよね?おかしいよね?」

 「愚問ね!水がある所は全て私の領域よ!誰も私の邪魔は出来ないんだから!」

 「素人に釣り上げられたけどね?邪魔してごめんね?」「うっさい!馬鹿!馬鹿!」


 なんだろう。こう...母性を刺激されるというか、庇護欲を掻き立てられるというか。

 「少し教育した方が良さそうね?」

 ジュゴゴゴゴと川に巨大な渦が発生して、竜巻が発生した。


 コレは.....ヤヴァクナイ?吹き飛ばされちゃう...よ?

 物凄い速度で接近する竜巻を、LV55の俺が避けるなんて無理に決まっているのだ....案の定洗濯機にぶち込まれたように攪拌された俺は意識を....失う事が出来なかった。

 ナンデ?ドウシテ?イタイイタイ!!!!!悪夢の時間は....1年間にも及んだのだった。

 死ぬ事が出来ないだけであって、無敵でもなければ、痛みを感じない分けても、空腹を感じないわけでもないのだ。


 竜巻の消失と共に上空に打ち上げられた俺は、急降下するとベシャ!っとボロ雑巾のように地面に叩きつけられた。

 「どう?私の偉大さを身を持って感じたでしょう?ひれ伏して崇めてもいいのよ?」



 八神 慧 (??) LV30055 ジョブ 無し 

 

 スキル ステータス Master アイテムボックス Master 鑑定 LV39 採取LV33 農業LV36 狩猟LV15 鍛冶LV14 料理LV6 格闘LV12 武具習熟LV8 兵器習熟LV8 敏捷強化LV11 テイムLV8 乗馬LV7 木工LV3 水泳 Master 水耐性 Master 風耐性 Master 苦痛耐性 Master 出血耐性 Master 混乱耐性 Master 衝撃耐性 Master 重力耐性 Master 窒息耐性 Master 恐怖耐性 Master 飢餓耐性 Master 睡眠耐性 Master 気絶耐性 Master 体内制御 Master 肉体強化 Master 生命力強化 Master 自己治癒 Master 精神強化 Master 精神統一 Master 瞑想 Master 明鏡止水 Master 無呼吸 Master 不眠不休 Master 方向感覚 Master 空間認識 Master 水流制御 Master 思考制御 Master 殺意 Master 威圧 Master 激怒 Master 鬼神化 Master 怪力 Master 剛力 Master 豪力 Master 水魔法 Master 風魔法 Master 重力魔法 Master 回復魔法 Master 多重詠唱 Master 無詠唱 Master 並列思考 Master 思考加速 Master 魔力制御 Master 魔力支配 Master 魔纏 Master 見切り Master 光合成 Master 空歩 Master 天駆 Master 瞬動術 Master


 HP 0/0 MP 60095/60096

 

 長かった。まさか一年もハリケーンミキサーに掛けられるとは思っても見なかったよ。

 死ぬ事が出来ないっていうのが、ここまで辛い物だとは思わなかった。

 無敵?我ながら調子に乗って馬鹿な事を考えていた物だ。過去の自分の愚かさに吐き気がする。


 「ちょっと!聞いてるの?少しは反省したかしら?」

 「そうだな。まずはお前を反省させてやろうか?」「....へ?」


 鬼神化した俺は、レヴィアたんを上空へ蹴り上げると同時に、無詠唱・並列思考・多重詠唱で螺旋回転する水槍を100本作り上げて投射。

 串刺しになったレヴィアたんを上下左右に蹴り飛ばし、飛んだ先に瞬動術による縮地で先回りして蹴り飛ばし、サンドバッグ状態にする。

 声を発する事も出来ず、抵抗する事も出来ずボロボロにされるレヴィアたんを、地上に叩き落して、首を掴み吊るし上げる。


 ニコリと笑った俺はこう言った。 「反省したかな?」

 ボロ雑巾になったレヴィアたんは土下座して 「すいませんでした。反省しました。何でもするので殺さないでください。」と壊れた機械のように繰り返し続けた。


 どうやらトラウマを植えつけてしまったようだ。

 回復魔法を掛けて許す事を告げると、レヴィアたんはワンワンと泣き出してしまった 


 八神 慧 はレヴィアたんのテイムに成功した。テイム Master

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