第4話地道な準備、丁寧な仕事、試行錯誤

 凄い!この林檎...超美味い!何これ?

 【林檎?】

 美味しい林檎。 


 鑑定出来ない、今の俺では林檎が何なのかすら確認する事が出来ないらしい。


【ステータス】


 八神 慧 (??) LV1 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定LV0(1/5) ステータス Master 採取LV0(1/5) アイテムボックス Master


 HP 0/0 MP 0/10


 転生前の魂、全ての命が、無限の可能性を持つ世界「クォーツ」へ転生が決まっている。

 この箱庭においては、【無限の可能性】を所持した状態で活動可能。得た物は全て転生先の世界へ持ち越し可能である。


 【ステータス】を開くとMP1消費か、【鑑定】もMP消費1だな


 時間は無限に有るのだ。

 出来る事は全部やり切る、満足するまでどこまでも成長してやる


 【林檎?】

 美味しい林檎。

 【林檎?】

 美味しい林檎。

 【林檎?】

 美味しい林檎。

 【林檎?】

 美味しい林檎。


 【林檎?】

 美味しい林檎。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。



 経験値が一定に達した為、LVが上昇しました。

 LV1→LV2


 【林檎?】

 美味しい林檎。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。

 【林檎?】

 美味しい林檎。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。

 【林檎?】

 美味しい林檎。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。

 【林檎?】

 美味しい林檎。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。


 MPが0になりました。 

 

 目の前が真っ暗になって俺は意識が途絶えた。





 ...?.....ん?そうか!MPが0になって意識が落ちたのか。


 【ステータス】


 八神 慧 (??) LV2 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定LV1(5/10) ステータス Master 採取LV0(2/5) アイテムボックス Master


 HP 0/0 MP 11/12


 ちょっとだけだけど、強くなっている。

 ニヤニヤが止まらない。努力の成果が形として見えるのだ。

 努力が確実に、俺の血となり肉となっている


 当たり前の事なのに、涙が出そうなくらい嬉しい。

 この感情は久しく感じる事が無かった物だ。

 やれる、俺は今度こそやれるはずだ。



 ひたすらに鑑定を繰り返した俺は鑑定スキルを極めるに至った。

 時間は無限に有るのだ。MPが有る限り繰り返して、気絶の繰り返しで良い。


 【ステータス】


 八神 慧 (??) LV10 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定 LV12 ステータス Master 採取LV0(3/5) アイテムボックス Master


 HP 0/0 MP 29/30



 【原初の林檎】「レアリティ SR」

 全ての林檎の始祖。食べると【全ての素質】がほんの僅かだけ上昇する。

 神々が食す、黄金の林檎へと繋がる可能性を持つ、唯一の可能性を秘めた林檎の木に生った、希少な林檎の果実。


 【百科事典】ウィキペディア

 レアリティとは?

『解』[C] コモン [UC] アンコモン [R] レア [HR] ハイレア [SR] スーパーレア [LG] レジェンド [SLG] スーパーレジェンド [MY] ミソロジー [G] ゴッド の段階で存在します。

 

 『補足』転生先【クォーツ】ではSR等級を国宝にする国が殆どであり、LG等級のアイテムが発見されると、所有権を争い戦争が起きる程です。

 

 なるほど、あの木一面に国宝が実っているという事だね?

 それは素晴らしい、これは圧倒的なアドバンテージになる。

 なんせ、他の転生者は、木に生っている林檎しか手に入れられない。

 それに、林檎の存在に全員が気付くだろうか?


 俺は違う、時間が無限に有るのだ、次の実が生るまで幾らでも待つ時間がある

 林檎の木を育てて、黄金の林檎が生る木だって夢じゃない!


 ヒョイヒョイ回収して【アイテムボックス】に収納していく。

 木に生っていた果実を全て回収すると、全部で97個あった。

 全部で100個生っていたという事か。これは作為的な物を感じるが、そんな事はどうでも良い。



 まずは、物資の確保からだ。

 家の周辺を探索する。すると、見つかったのは色々な種類の草だった。


 【薬草】【解毒草】【毒草】【魔力草】【雑草】【眠り草】【痺れ草】【香草】【出血草】


 経験値が一定に達した為、LVが上昇しました。

 LV10→LV14


  【ステータス】


 八神 慧 (??) LV14 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定 LV13 ステータス Master 採取LV5 アイテムボックス Master

 

  HP 0/0 MP 37/38


    

 採取スキルのLVを上げたら、作物関係を【種】に戻す事が出来るようになった。

 生産の始まりだと言えよう、ここから見渡す限りの草原・林を、道以外は全部を開墾して畑にしてしまおう。

 なに、時間はたっぷりあるのだ。虐めのような、謎の無限穴掘りバイトで鍛えたリアルスキルを舐めるなよ!あっという間に畑にしてやる。



 朝も昼も夜もひたすら開墾に精を出した。

 腹が減れば林檎を食べる。出来る限りは林檎を食べ続けて、素質の底上げを図りたい。

 美味いものも食べ過ぎれば飽きるというが、充実している今この時というスパイスがあれば、泥水だろうが、土塊だろうが俺にはご馳走だ。何だって耐えれる。



 経験値が一定に達した為、LVが上昇しました。

 LV14→LV17



 八神 慧 (??) LV17 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定 LV14 ステータス Master 採取LV6 アイテムボックス Master 農業LV8


 HP 0/0 MP 43/44


 辺り一面を畑に変えた俺は、今度はひたすら種を作成して、畝に3.4粒づつ埋めては土を被せていく。【肥料作成】コマンドがあったが、素材をどうしようか考えていたら、食べ終わった林檎の芯が反応して輝いていたので、選択してみると....おお!


 【肥料(極上)】「レアリティ HR」

 SR以上の素材を原料に作られた肥料。作物の生育を助け、成長速度・作物品質・変異確率を2ランク上昇させる。


 畑に使用すると、開墾した畑全体が薄く輝いた。

 これはもしやと思い、林檎の木にも使用してみたらビンゴだった。5メートル程だった木がニョキニョキと生長していき、7メートル程にまで成長した。



 うむ、生産生活も順調にいきそうだな。

 家の横に設置されていた井戸から水を汲み上げて、置かれていた如雨露に水を入れて畑に出かける。林檎を齧りながら、畑に水を撒いていたらあっという間に日が暮れた。


 よし、今日はゆっくり風呂に入って寝ようかな!

 アイテムを作成するにも、まずは材料がなければ始まらない。

 失敗をいちいち気にしなくて良いだけの圧倒的物量を作り上げるのだ。


 この生産活動を2ヶ月程続ける事にした。

 変異で薬草類以外にも根菜が生まれ、根菜から葉野菜が生まれと、作物の種類にもバリーションが出てきた。

 リアルの世界であるような野菜は、ほぼすべてが収穫可能になった。


 精根込めて育てた作物達はまるで我が子の様に愛着がわくものだ。

 しかし、幾ら俺でもベジタリアンな生活だけでは物足りなくなってきた。


 肉や魚を手に入れよう!遠征して、新たな資源を手に入れるのだ! 

 よく見れば、遠くに川の様な物もあるし、きっと他の動物なんかもあるんじゃないだろうか?ここは箱庭、俺の予想が正しければ、生活に必要な物はほとんどが存在する世界であるはずだ。


 草原には兎が生息していた。


 【ラビット】LV1

 HP5 MP3

 草原に生息する兎、食用に適している。突撃や噛み付きに注意。


  八神 慧 (??) LV29 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定 LV26 ステータス Master 採取LV20 アイテムボックス Master 農業LV18


 HP 0/0 MP 67/68


 俺ってばHP0なんだけど大丈夫なんだろうか?

 痛ってーーーー!!!!考え事している間に噛み付かれている。

 が、痛いだけでHPの表示には変化が無いし、怪我も無い。


 どうやら本当にこの箱庭は、俺が準備する為の場所らしい。

 ラビットの耳を掴んで持ち上げると胴体を掴み、左右逆に回転を加える

 「ギュ.....」 悪いが俺の糧になってくれ。


 アイテムボックスに放り込むと、次の獲物を探す。

 草原に点在する巣穴から出てくるラビットや、草原を移動しているラビットを次々と仕留めて、アイテムボックスに放り込む。


 30匹程ラビットを仕留めた時に、体が軽くなっている気がしたので、ステータスを表示してみると変化があった。


  八神 慧 (??) LV30 ジョブ 無し 

 

 スキル 鑑定 LV27 ステータス Master 採取LV20 アイテムボックス Master 農業LV18 格闘LV2 敏捷強化LV1 狩猟LV3


 HP 0/0 MP 45/46



 微妙に強くなっている。ニヤニヤがまた止まらなくなった。

 1月で駄目なら半年、半年で駄目なら1年、1年で駄目なら2年と時間は幾らでもつぎ込んでやる。全てを極めていこう。


 生産、狩猟をメインに2月経った頃、新たな変化が訪れた。

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