第9話


学校が休みの日、おれは久しぶりの買い物に出掛けた。おしゃれとか気を使ったことはなかったけど、この髪型をしたら、これまで着ていた服が一気にださくみえた。


初めて入るようなかっこいい男の服の店にも入ってみた。

俺は何着か服を買い、満足して家に帰っていたとき、聞き覚えのある声が俺の後ろを通った。


それはゆうた先輩だった。

隣にはゆなと違う女の人。

しかも、腕を組んでいた。




俺は急に怒りが込み上げてきた。




気がつけばゆうた先輩の肩を持って先輩を睨み付けていた。


「ひろと、なんだよそんな怖い顔して。」

「先輩、ゆなは、遊びだったんですか?」

「は?お前になんか言われる筋合いある?」

「別にないですけど、ゆなの友達なので言わせてもらいます。こんなこと、男として最低ですよ?分かってるんですか?」

「フン、お前に何がわかるんだよ。」

そういうと先輩は俺を蹴飛ばした。

「イタッ…先輩…?」

先輩の顔はいつもの先輩からは想像もつかないくらいに怒りに満ちていた。

先輩は俺の胸ぐらをつかみ

「遊びだったって?そんなの、引っ掛かる女のほうが悪いんだよ。引っ掛かったくせに俺のせいにするとかお前もおかしいんだよ」

といって俺を投げすてた。

「それが悪いことだってわからない先輩のほうがおかしいですよ。」

ボコッ!!ボコッ!


俺は先輩に何発も殴られ、蹴られた。


「これ以上口出しすんな」

そういうと先輩は女の人といなくなった。



おれは動けないまま住宅街の真ん中で倒れこんだ。

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