第8話


おれはこの気持ちをさっぱりさせたくて

美容室に行った。


人生初のおしゃれな美容室で

戸惑ったがかっこいい美容師さんが

俺を見て

「髪長いな、これだけあればやりたい放題だわ、やりたい髪型とかある?」

「特にないです。おしゃれにしてほしくて。」

「任せとけ、素材はいいんだから俺がかっこよくしてやるよ。」

そういうと、手際よく俺の髪の毛を切っていく。瞬く間に俺の少し長めの髪はマッシュルームみたいな形になった。

「どう?今流行ってるんだよね、マッシュ」

「ん~…わかりません」

僕は苦笑いをした。

「じゃあ、セットしてみるか!」

そういうと、頭にベタベタしたやつをつけられたりスプレーでなにかを振りかけられたりした。僕は下を向いたままだった。

「ハイ、完成。みてみ?」

僕は顔をあげた

「え?!」

そこには別人がいた。

「すごいだろ?俺のうでのお陰」

そういうとその美容師さんはくしゃっとわらった。

俺も真似てくしゃっとわらった。


おれは次の日、その美容師さんに、教えてもらった髪型をして学校へ向かった。






「え、ひろと?!」

ゆなが一番に食いついてきた。

「見違えた、ほんとにひろと?え、えぇ?!」

「俺だよ俺以外に誰がいるんだよ」

そういって笑うとゆなも、笑った。

心が近づいた気がした。


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