第8話 衛兵さんとお話しします?
さてさて、私たちは現在、衛兵さんに連れられて詰め所に来ております。ドナドナ~。
「こちらへどうぞ。」
応接間みたいな部屋に通されましたよ。狭い部屋に机と椅子と電気スタンドでカツ丼だと思っていたのですが、異世界にはそもそも電気スタンドは無いみたいだしカツ丼は素朴で美味しいクッキーになりました。サクサクで美味しい。欲を言うならもう少し甘味があれば………なんでもないです。
……私のお腹回りに注目しちゃだめですよ。
「急に連れてきて悪かったね。私はセノア衛兵団西門所属のクリスだ。少し話が聞きたくてね。いいかな?」
「はいっもちろんっ。」
衛兵さんオーラに圧倒されちゃいますね。普通にイケメンの衛兵さんです。初めての異世界人でこのクオリティですよ。
なんなんでしょうか。凡人に喧嘩売ってるんでしょうかね。
「君たちは二人でここまで来たようだけど、姉弟なのかな?」
えっと、これはどんな風に答えるべきなのかな。多分姉弟って答えたら逆に凄く疑われると思うけど、正直に契約してますって答えると今度はヒョウガが何なのかって凄く疑われると思うんですよね。そもそも契約って普通のことなんでしょうかね………うぅ、正解がわからない……。
ピコン
『お兄ちゃんからのヘルプ:彼は衛兵という事で嘘を見抜くようなものを持っていてもおかしくない。しかし、だからといって本当の事を言うのも得策ではない。お兄ちゃん的には、「途中で出会って二人で(ある意味)協力してこの町まで来た。助けてくれる親や親戚は(この世界には)いない。お金は(クエストで)頑張って手に入れたものが少しだけある。」などと言うといいと思うぞ。あとはシノの演技力だが、この衛兵は根はイイ人そうだし大丈夫だろう。気楽にするといいさ。』
おお、お兄ちゃん。頼りになる!ありがとう、大好き!
ピコン
『お兄ちゃんからのヘルプ:ヒョウガを抱き締めながら言うと更に効果的。さぁもう一度、シノはお兄ちゃんのこと?』
えっと、大好き?
ピコン
『お兄ちゃんからのヘルプ:お兄ちゃんもシノこと愛してるぞ!!』
もはやヘルプでも何でもないっ。というか、愛してるとは言ってないから。それはただの捏造だから。
「どうかしたのかな?」
お兄ちゃんのせいでクリスさんのこと忘れてたよっ。変な間があいたせいで変な空気になってるし……。隣でヒョウガも不安気に見つめてくるし、可愛いなぁもう。抱き締めちゃうぞ。
………欲望じゃないよ。お兄ちゃんに言われたからだよ。ヒョウガもふもふ。うん、癒された。
「えっと、姉弟ではないんですけど、ここに来る途中に出会って。一人じゃ嫌だから二人で一緒に。親や親戚はいなくて。お金は少しなら持ってます。ちゃんと自分で稼いだお金です。……あの、私たちは町に入れないんでしょうか?」
(シノは無意識にに上目遣いからの不安気な涙目を発動した!シノに抱き締められてるヒョウガもショタを全力で発揮している!クリスの良心にクリティカルヒット!クリスは二人に同情的になった!)
「ごめんね。大丈夫。二人は町に入れるからね。何も問題はないよ。」
衛兵さんが優しい。お兄ちゃんが言ったとおり良い人だ。
「さぁ、門まで送ろう。仕事を探すなら冒険者ギルドへ行くといいよ。宿も紹介してくれるからね。困ったことがあったらいつでもここにおいで。力になるからね」
すごく良い人だ!ヒョウガの尻尾も揺れてますよ。
「それじゃあ、改めて。ようこそセノアへ。この町を気に入って好きになってくれると嬉しい。町の大通りまで案内するよ。」
大通りまで送ってくれたし、クッキーの残りもくれたし。本当にすごく良い人だっ。
(シノっ、お兄ちゃんの方が凄いんだからなっ!)
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