02.新人の考察
こんにちは。尋問官ナアト様の補助を務めております。
ここの空気には慣れましたが、まだまだ尋問は甘い新人でございます。
甘いと言えば、今回のナアト様は随分と手ぬるかったような……。
曖昧な情報だけ聞いて、そのまま解放するとは。
さて、使った器具の名前も紹介しておりませんでしたので、不慣れながらご説明させていただきます。
情報屋を名乗るクソッタレな男の首に掛けましたのは、「鉄釘の首輪」というものでございます。
内側に20センチほどの釘が、ぎりぎり頭が通るように並んで生えております。
一般的なものはこれに長い棒がついており、簡単な拘束具としても人気です。
ナアト様はこの首輪の釘の長さを少しだけ長くし、輪の半円状に切り
さらに、壁に固定できるよう蝶番を付けた反対側に穴をあけ、突き出たL字の杭に通すのです。
たったこれだけで、少し動けば首に釘がささり、頭が抜けず立ちっぱなしの姿勢を強制することができます。さらにさらに!眠らせないという拷問が!簡単に出来てしまうのです!!
なんと素晴らしい!
ですが、少し不満でもあります。
結局、あの男が眠らなかったのは、たった三日もなかったのですから……。
「バカを言うな。自国民だぞ。あまり手酷い事をすると、後から面倒だろう。」
ナアト様……。馬鹿はひどいです……。
「それにだ。人間に睡眠は必要不可欠なもの。三日眠らないだけで死に至る場合もあると言った者もいるくらいだ。」
え?では実はあの男、もしかして生きるか死ぬかの瀬戸際だったと言う事ですか??
「いや、実際はそんなことはない。一週間くらいならば起き続けることは可能だ。」
ではやはり今回はかなり甘く……?
「四日目までくると、会話が成立しないほど脳が疲れてしまう。よって無意味だ。それに気が狂うらしく、手足が痺れてきたり幻覚を見たり凶暴になったりと、面倒臭い。」
な、なるほど。あくまでもスマートに情報を吐き出すためだったのですね。
「それに、見た目からして口が軽いクズだったろう?始めに硬貨を一枚差し出して、話せばやる。と言えば、全て話しただろうな。」
それでは尋問の意味がないのでは?
「追い詰めた時に吐いた情報の方が、信憑性があるだろう?」
う、確かに……。
ナアト様はこの拷問は楽だが手間がかかる、とか、人によって差があるから調節が曖昧だ、とか、やはりスパイを捉えて実験するのが一番、だとか色々呟いておりました。
「新人。次は女にしよう。」
え?どちらのですか?
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