パワーストーンで気になるア・イ・ツの♡をゲット! ①御徒町の「御徒」ってなに?

亡霊葬稿ゴーストライターマスタード』で説明した通り、〈死外アウトデッド〉たちは人間離れした力を持っています。そして彼等はその力をおさえるために、各自違う鉱物で出来た数珠じゅずを身に着けています。


 古来より、人類は鉱物に特別な力を感じてきました。


 以前紹介しましたが、アメジストにはわるいを防ぐ効果があると信じられていました。わるいを防ぐ薬として、粉末状にしたアメジストを服用することもあったそうです。


 事実、「アメジスト」と言う名前は、古代ギリシア語の「amethustosアメタストス」に由来します。「amethustosアメタストス」とは「お酒に酔わない」と言う意味で、当時の人々がアメジストに神秘的なパワーを感じていたことを裏付けています。


 古代インドでは、エメラルドに毒を消す力があると考えていました。また十字軍の兵士は、ガーネットに血を止める効果があると信じていたそうです。


 鉱石に関しては、『亡霊葬稿ゴーストライターシュネヴィ』の番外編(『ダイヤモンドは砕けモース』)シリーズで詳しく語っています。興味がありましたら、是非ご覧下さい。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881358290/episodes/1177354054881818508


 今でもアメ横のある御徒おかちまちには、パワーストーンを扱う店がのきを連ねています。店と言う店に色とりどりの石が並べられた様子は、現代の鉱山と言ってもいいでしょう。


 ちなみに御徒おかちまちと言う名は、江戸時代の御徒士おかちぐみに由来します。


 徒士かちとは身分が低く、馬に乗ることを許されない武士を指す言葉です。その徒士かちを集めたのが御徒士おかちぐみで、主に将軍の身辺警護を務めていました。


 江戸時代、現在の御徒おかちまちには徒士かちが多く住んでいました。このことから「徒士かちの街」、「御徒おかちまち」と呼ばれるようになったそうです。


 とは言え、現在「御徒おかちまち」と言う名前は、駅にしか使われていません。1964年までは正式な町名でしたが、現在は「上野うえの」や「ひがし上野うえの」に変更されています。


 話が脇道にれてしまったので、本題に戻しましょう。


 色鮮やかなパワーストーンは、アクセサリーとしても重宝されています。オーソドックスな数珠じゅず勿論もちろん、ネックレスにブローチと、カラフルな石を身に着けている方は珍しくありません。


 パワーストーンの世界に興味のない方でも、「タイガーアイ」や「ラピスラズリ」と言う名は聞いたことがあるはずです。反面、それぞれの石がどういった鉱物なのかは、意外と知られていないのではないでしょうか。


 と言うわけで今回は、知っているようで知らないパワーストーンに焦点を当てたいと思います。皆さんの手首を飾る石には、意外と凄い歴史が隠れているかも知れませんよ?


 沼津ぬまづ半平はんぺいの使っている「タイガーアイ」は、パワーストーンの中でもポピュラーな石です。価格も安く、500円以下から手にすることが出来ます。


 外見は金色、あるいは暗い黄色で、トラの目のように黒い筋が入っています。

 ことパワーストーンの中で、タイガーアイほど名は体を表しているものはないかも知れません。日本語でも「虎目とらめいし」と呼ばれ、主に南アフリカやアメリカなどから産出されます。


 鉱物としては石英せきえいとクロシドライトが混じったもので、モース硬度こうどは「7」とされています。


 モース硬度こうどとは鉱物の硬さを示す指標で、傷の付きにくさを表しています。全部で10段階に分けられており、数字が大きいほど傷が付きにくくなります。詳しくは『亡霊葬稿ゴーストライターシュネヴィ』の番外編(『ダイヤモンドは砕けモース』シリーズ)をご覧下さい。


 タイガーアイを形作る石英せきえいは、モース硬度「7」の基準に使われる鉱物です。無色透明な石は「水晶」と呼ばれ、多くの人に親しまれています。


 一方、クロシドライトは角閃石かくせんせきと呼ばれる鉱物の仲間です。繊維状の構造を持つ鉱物で、「青石せいせき綿めん」の異名を持ちます。


 パワーストーンとしてのタイガーアイには、決断力を高める働きがあると言います。更に、金運をアップさせる石としても有名です。作者もタイガーアイの数珠じゅずを持っていますが、2017年の宝くじは300円しか当たりませんでした(怒)


 タイガーアイはまた、カラーバリエーションが豊富な石としても知られています。青い石はホークスアイ、赤い石はレッドタイガーアイと呼ばれ、それぞれ違う効果を発揮するそうです。


 一方、ハイネ・ローゼンクロイツの着けている「インカローズ」は、タイガーアイに比べて知名度の低い石です。


「インカローズ」は桜色、あるいは薔薇色の石で、「ロードクロサイト」とも呼ばれます。パワーストーンの世界では恋愛に効果があると考えられており、持ち主の魅力を高める働きもあるそうです。


 ぜひ×2幼気いたいけなJSやJCにオススメしたいのですが、インカローズには一つ難点があります。恋するオ・ト・メに立ち塞がるもの、それは値段です。


 インカローズは、パワーストーンの中でも高価な部類に入る石です。

 大粒の石になると、一個2000円、3000円することも珍しくありません。


 通販サイトをチェックしてみると、数珠じゅずには1万円以上の値が付いています。パワーストーンと言うより、少し安い宝石と考えたほうがいいのかも知れません。


 その名の通り、インカローズはかつてインカ帝国が支配していた地域から産出されます。

 具体的にはペルーやアルゼンチンと言った場所で、実際にインカ帝国の掘った鉱山からも発見されています。インカ帝国の人々は銀や銅を掘り出していたようですが、インカローズを装飾に使うこともあったかも知れません。


 またインカローズは、アメリカや南アフリカでも発見されます。特にコロラド州のスイート・ホーム鉱山で採掘される石は美しく、最上級の品に位置付けられています。


 美しい色合いの通り、インカローズはデリケートなパワーストーンです。

 湿気の多い場所に置いておくと、黒く変色してしまいます。また10円玉で引っ掻いた程度で傷が付くため、取り扱いには注意が必要です。


 そんな弱々しいインカローズですが、鉱物としての名前は「りょうマンガンこう」と言います。薔薇色の石にしては、なかなか無骨な名前です。


 りょうマンガンこう方解石ほうかいせきと呼ばれる鉱物の仲間で、モース硬度は「3.5」から「4」の間とされています。「ひし」と言う名前の通り、ひし形の結晶を作るのが特徴です。また粒状の結晶や、牙のような形の石が発見されることもあります。


 方解石ほうかいせき石灰岩せっかいがんの主成分となる鉱物で、モース硬度「3」の基準にも使われています。こちらも『亡霊葬稿ゴーストライターシュネヴィ』の番外編で詳しく紹介していますので、宜しければご覧下さい。


 名前からも判る通り、りょうマンガンこうは電池に使われる「マンガン」を含んでいます。そのため、工業の世界では、マンガンを得る目的で使われています。


 長くなったので、今回はここまで。

 次回は『亡霊葬稿ゴーストライターダイホーン』に登場した、チャラ男のパワーストーンを紹介します。


 参考資料:一番くわしいパワーストーンの教科書

        天晶札乃 須田布由香 著 (株)ナツメ社刊

      パワーストーンBOOK

        マダム・マーシ著 (株)主婦の友社刊

      目的で選ぶ パワーストーン完全ガイド

        二瓶誠子著 (株)グラフ社刊

      鉱物の不思議がわかる本

        松原聰監修 成美堂出版刊

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