色々な色 ⑥あざとイエロー♪

 色の雑学を紹介してきた今回のシリーズ。

 前々回、そして前回は、高貴な色と言われる紫を取り上げました。


 今回のサブタイになった黄色も、歴史上、権威の象徴とされてきた色です。


 とは言え、日本人の我々には、しっくり来ない話かも知れません。

 どちらかと言えば、黄色は可愛らしさや子供っぽさを感じさせる色です。


 女の子向けの雑貨や服には、水色やピンクと並んで黄色が採用されています。プーさんにピカチュウ、近年ではふなっしーと、黄色いキャラは長年ちびっ子たちに愛されてきました。


 卵黄らんおうやハチミツが使われる関係上、甘いスイーツには黄色いものが少なくありません。またバナナやグレープフルーツ、パイナップルと言ったフルーツは、子供たちを魅了しています。ハロウィンでお馴染なじみのカボチャや、お祭りでバカ売れするトウモロコシも、黄色い野菜です。


 戦隊シリーズでも、黄色は女性メンバーに割り振られることが多い色です。ただしニンニン、ジュウオウ、キュウレンジャーと、ここ数年は連続して男性が担当しています。


 同じくニチアサで放映しているプリキュアでも、黄色にはロリであざといメンバーが揃っています。作者がこよなく愛するミューズも、「あざとイエロー」なプリキュアです。いい歳してS.H.Figuarts買っちゃったもの。


 キュアミューズはシリーズ第8作「スイートプリキュア♪」に登場したプリキュアで、本名を調辺しらべアコと言います。年齢は9歳! で、キュアエースと並ぶ「小学生」プリキュアの一人です。「小学生」プリキュアの一人です。大事なことなので、二回言いました。


 決めゼリフは「爪弾つまびくは女神の調しらべ」で、変身にはフェアリートーンのドドリーを使用します。当初は黒い仮面とスーツで正体を隠していましたが、第35話「ジャキーン! 遂にミューズが仮面をとったニャ!」で真の姿を披露しました。


 渾身の悪ふざけはここまでにして、本題に戻ります。


 キュアミューズの代名詞である黄色にはまた、花の色と言う側面もあります。

 ヒマワリ、キク、タンポポと、街には黄色い花が溢れかえっています。黄色に女の子っぽいイメージがあるのも、花々に多用されているからかも知れません。


 以前紹介した薔薇にも、黄色い品種が多数存在します。今でこそ普通に見掛ける黄色い薔薇ですが、誕生までには多くの苦労があったと言います。


 以前紹介したように、薔薇には「オールドローズ」と「モダンローズ」があります。


 薔薇には複数の品種があり、それぞれ「ハイブリッド・ティー」、「フロリバンダ」と言った系統に分類されています。


 モダンローズとは1867年以降に誕生した系統のことで、今日こんにち栽培されている薔薇の大半を含みます。一方、オールドローズとは、それ以前に栽培されていた系統を指す言葉です。


 ではなぜ、1867年がターニングポイントになっているのでしょうか。


 残念ながら今回はミューズに尺をいてしまったため、語ることが出来ません。詳しくは『亡霊葬稿ゴーストライターシュネヴィ』の番外編(『薔薇の名前』シリーズ)をご覧下さい。(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881358290/episodes/1177354054881814680


 モダンローズの中で一番最初に誕生した系統は、先に名前を出したハイブリッド・ティーです。しかし当初、この系統には黄色い薔薇が存在しませんでした。


 現代の薔薇に黄色い色をもたらしたのは、フランスの育種いくしゅ(品種改良を行う専門家)ペルネ・デュシェです。


 彼は「ロサ・フォエティダ」とオールドローズの「アントワーヌ・デュシェ」を掛け合わせ、黄色い薔薇を作ることに着手します。ロサ・フォエティダは西アジアに生える野生の薔薇で、黄色い花を咲かせる特徴がありました。


 ロサ・フォエティダは種を作る能力が低く、品種改良には十数年の歳月を要したと言います。

 しかし1900年、デュシェはついに新しい品種を完成させます。

 苦心の末に誕生した薔薇は、「ソレイユ・ドール」と名付けられました。


「ソレイユ・ドール」とは、フランス語で「黄金の太陽」を意味します。

 ただし、ソレイユ・ドールの花は、黄色ではなくオレンジ色です。また1900年に誕生した薔薇ですが、分類上はオールドローズに含まれます。


 ソレイユ・ドールの親は、オールドローズと野生の薔薇です。


 1867年以降に作られた品種でも、モダンローズの使われていない薔薇はオールドローズに分類されます。仮に現在、二つのオールドローズから新しい品種を作っても、モダンローズとは呼ばれないのです。


 とは言え、デュシェの偉大さに変わりはありません。


 1900年以降、ソレイユ・ドールは様々な品種と掛け合わされました。現在栽培されている黄色いモダンローズは、例外なくソレイユ・ドールの子孫です。


 長くなったので、今回はここまで。

 黄色が権威の象徴である理由は、最終回をお待ち下さい。


 参考資料:別冊NHK趣味の園芸 

      バラ大百科 選ぶ、育てる、咲かせる

           上田善弘、河合伸志監修 日本放送出版協会刊

       色彩心理のすべてがわかる本

           山脇恵子著 ナツメ社刊

      色の知識 ――名画の色・歴史の色・国の色――

           城一夫著 青幻舎刊

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