第一章 冒険のはじまり

試練の始まり・2

父さんが待つのは、村の近くにそびえ立つ霊峰リジマッハ頂上。


この霊峰には伝説がある。

世界の始まりに於いて、そのとき赤ん坊だった神々の石積み遊びによって、できあがった山がリジマッハということだ。


この霊峰、見た目は岩が無造作に積み上げられたようで、頂上は広い台地になっている。

まさに石積みで造られた山だ。

ただ・・・その高さは尋常じゃない!


とてつもなく高い山や建物なんかを説明するときに「雲をつくような」というが、この霊峰の頂上は雲の上、文字通りに雲をつく高さである。


もちろん、勇者になるための試練には、伝説の霊峰に登るなんて含まれていない。

だが、父さん曰く「霊峰の頂上ぐらいしか思いっきり戦える所は無い」らしい・・・


「フィク、どうしたの?」

「いや、登るだけで体力を使いそうだから、登りやすそうなルートを探しているんだよ。」

「そうね、本番前に疲れちゃったら、しょうがないよね。」


積み重なった岩は、ひとつひとつが僕の背丈の五倍くらいある。こんなものをよじ登るのだから、山登りというよりロッククライミングだろう。

できるだけ、体力は温存したい。


「よし、あそこらへんの岩は少し小さいよ。そこから登ろう!」

「あ、こら、まて!」


(ビュッ!)


カーリンが大地を蹴ると、その身は風を切って岩の上に飛び乗った!と、そのままの勢いで、次々と岩に飛び移ってゆく。


「あー、せっかちだな・・・でも、よじ登るよりかは疲れないか。・・・よし!」


(ビュッ!)


しょうがない。僕もそうやって岩を飛び移って、頂上を目指すことにした。

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