幽霊彼女


 僕の彼女は一ヶ月前、僕の目の前で死にました。

 休日、二人で楽しくデートしていた。彼女が走って信号を渡ろうとした。僕は走って彼女を追いかけた。

 次の瞬間、僕の目の前を車が横切った。

 ドンッと鈍い音が聞こえた同時にキキィーとブレーキの音も聞こえた。

 そう、僕の彼女は僕の目の前で車にひかれた。即死だった。僕は何が起こったのか理解出来なくて、その場に立ち尽くした。


 気づいたら僕は家に居て、事故から一週間が過ぎていた。葬式の時、僕は魂が抜けたみたいだったらしい。

 彼女が戻らないと理解すると僕は泣きじゃくった。一日泣いて、枯れ果てた時、声が聞こえた。彼女の声だ。

『泣いちゃやだよ!』

 僕は辺りを見回した。でも周りには誰も居ない。幻聴だったのか、僕はショックのせいで頭までおかしくなったらしい。

 生きた心地がしない数日を僕は過ごした。



 私の声はどうすれば君に届くだろう?どうすれば私を見てくれるだろう?何回か耳元で叫んでも、急に前に現れても見向きもしない。君に私の姿は見えてない。

 でも、私からは君の声が聞こえるし、見える。君が今どんなに辛いのも悲しいのも全部分かってる。全部私が悪いんだもんね。

 見えなくても、感じなくても私は君の隣に居るよ。君が前を向いて歩いていけるまで....


 夢で彼女にあった。僕が泣いてるからと会いに来てくれたらしい。僕は嬉しくて抱き締めようとしたけどすり抜けてしまった。彼女は幽霊らしい。

『私はまだ君の隣にいるよ』

 微笑んでくれた君は空の上へ消えていった。

 

 僕は首だけ動かして、窓から空を見る。もう日暮れで赤く染まっている。僕はふと横を見ると彼女がスヤスヤ僕の横で寝ている。

「まだ夢を見てるのかな....」

 僕は彼女の横でもう一眠りした。

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