幼馴染み
長い長い夏休みが終わっても夏の暑さは終わらない。太陽の光が暑く地面に降り注ぐ。
今日から新学期です。
私はいつも通り家の外でアイツが出てくるののんびり待っていた。いや、長いもう10分は待ってるはずなんだけどな。
「はぁ、」私は深くため息をついた。
「フハハハ、待たせたな」
高笑いをしながら来たアイツは謝る気も無く私を見下している。
「長い間、私を待たせて謝りも無いの?」
私はじろりとアイツを睨み怒っている口調で言った。
「ハ!誰も待てなど言って無いぞ。貴様が勝手に待っていただけだろう。しかも我はさっきまで闘いに明け暮れ勝利を勝ち取り急いで来たのだから感謝されたいくらいだ。まだ我には……… 」
謝る気配も無く自分の非を認めないコイツの話を聞いていた私はだんだん呆れ顔になり、しまいにため息をついてアイツを無視して歩き出した。
それに気づいたのかアイツは我に戻り私を追いかけてきた。
「えっと、悪かったよ。目覚ましが鳴らなくてつい二度寝しちゃって…それで準備にてまどって…」
アイツが話しかけてくるが私は無視して歩く。するとアイツが私の前に来て頭を下げた。
「ほんと、遅れてごめんなさい」
深々と頭を下げるアイツに私はクスッと笑い、アイツの頭に手を置いて言った。
「初めから謝りなさい」
頭を上げたアイツと私は肩を並べて学校に向かって通学路を歩き出す。
俺と彼女は小・中と続いて高校も同じだ。さすがにクラスまでは違うが朝は一緒に学校へ行く。いわゆる幼馴染みと言うやつだ。
朝に弱い俺は毎回、彼女に怒られていた。
「遅かったら先に行ってくれ」と言ってみたが彼女の返答は「まぁ、○○が早く来ればいいだけなのにね」と笑ってはぐらかされた。
別段、仲が良いわけでも親密な関係でもない。ただの友達だ。実際彼女には彼氏がいる、俺はクラスでも閉じ籠ってるから居たことないけど……そのせいか下校の時は別々だ。彼女は彼氏と俺は一人で下校する。
「そういえば、最近どうなんだよ?」
俺は静かに歩くのが嫌でむりやり話題を送る。まぁ、気にならないことも無いからちょうど良かった。彼女はうーんと言いながら何か悩んでいるようだ。
「あの人とはつい最近別れたんだよね」
俺は驚きのあまり言葉が出なかった。
「やだなぁ、そんな驚かなくても」
彼女は笑いながら俺の肩をポンポンと叩くそれで我に返った俺は彼女に聞いた。
「何で?!」
「何でって…」
彼女は驚いた顔をして言った。
「色々あって私がフッたんだよね」
俺は理由を聞けないままこの話は終わった。
ー月日は流れて今日は卒業式ー
俺と彼女の登校は今日が最後だ。大学は別々だしもう会うことも減るんだと思いながら歩いていた。
「今日で一緒に登校するのは終わりか~」
彼女からその話を振りだした。
「そうだな。お前と隣に並んで歩けるのも今日で終わりか」
「もし…だよ。もし○○が良いならこれからも隣を歩いてあげられるよ?」
俺は彼女が何を言ってるのか分からなく聞き返した。
「どういう意味だよ」
俺は彼女の方を見ると彼女俺と逆の方向を向いている。顔は見えないが耳まで真っ赤になってるのが分かる。俺は目を見開いた。彼女がこんなに真っ赤になっているのを見たことがなかったからだ。
「わ、分からないなら帰りにもう一回言うから待ってて!」
彼女はそう言うと早歩きで歩いていく。
俺は「お、おう?」と返して彼女を追いかけた。
ーそれから5年後ー
彼女はまだ俺の隣を並んで歩いていた。
横で歩く彼女の左手の薬指には指輪がはめられている。帰り道は一緒で帰る場所も一緒な彼女は俺の幼馴染みから大切な人へ変わったようです。
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