栞少女


 明るい、太陽の光を反射して輝く湖。

 風は心地よく、森は生気が溢れてるみたいだった。

 湖の近くにイスを置き一人少女は本を読んでいる。

 僕は何を読んでるのか、何でここで読んでるのか疑問に思い彼女に向かって歩いていく。

 「君は何でここで読んでるの?」

 彼女は本に集中していたのか近づいてくる僕の気配に気づいていなかったようでとても驚いている。

 「えっと。き、今日は良い天気だし風が気持ちいいから…かな」

 緊張してるのか彼女は少し僕に怯えてるようにも見える。何かごめんなさい

 僕はへぇーと言いながら辺りを見渡す。

 何もない、家も車も自転車も、辺りは森と湖だけで遠くは山が見えるだけだ。

 彼女はどうやってここに来たのだろうか

  

 彼女はまた本を読んでいる。いやよく見ればさっきとは違う。彼女は読んでいるのではなく書いているのだ。

 僕は何を書いてるのか気になって聞いてみる。

 「私の人生の栞を作ってるんです」

 彼女は少し頬を赤くして笑った。

 僕は彼女が何を言ってるのか分からなかった。僕の知る栞とは本とかに挟むもので決して書くものではない。書くのは日記である。

 そんな僕の疑問に気づいたのか彼女は僕に質問してくる。

 「貴方は栞をどんな風に思いますか?」 

 「僕の知ってる栞は読んでる本の途中に挟んでそこから続きを読むって分かるようにするための物だろう?」

 「確かにそうです。じゃあ、私の人生を小説にして今日貴方に会ったことを書きます。それを残せばそれも栞になると思いませんか?」

 「一日の出来事を記録したらそれは人生の栞になるってこと?」

 彼女は首を縦にふった。

 「でも、それはどちらか的にはふせんとかになるんじゃないか?」

 「ふせんも栞もたいして変わりませんよ目印ってだけなんですから」

 彼女はクスリと笑いながらイスから立ち上がり湖の方に行く

 「栞の方が可愛いじゃないですか」

 「そーいうものかな」

 「そーですよ。貴方も読みかけの本とか忘れていろんな本に栞挟んでるでしょ?」

 彼女は知っているかのような口ぶりだった

 「忘れちゃ本がかわいそうです」

 ニッコリ笑った彼女の後ろから強い風が吹いてきた。僕はとっさに目を閉じてしまった。


 目を開けるとそこは湖が見える森でも遠くに山が見えるわけじゃなく僕の自室だった。

 机の上には買うだけかって途中までしか読んでいない本が積んである。

  

 変な夢だったな。。。

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