狂愛彼女


 

 暗い部屋、風の音も光もない暗闇で僕は拘束され動けない状態だった。

 そんな僕が抱く感情は怖い、恐い、だけだった。

 体と心は恐怖に支配され体温は低くなっていき、僕の目には絶望だけが浮かぶ


 目が覚めて周りを見渡す、周りは暗闇に覆われていて体が動かない。何がどうなっているのか分からない僕は初めは呆然していた。

 色々思い出してきて僕は頭の中で過去を振り返った。この環境は何か?誰がこんなことをしたのか?

 すぐに僕は犯人が分かった。こんなことが出来るのは彼女だけだからだ。

 

『好き~好き好きだ~い好き

○○のことが一番好きだよー

ずっと一緒にいてね?約束だよ?』

  エヘヘ…と、はにかむように笑う可愛い彼女

 あの時から彼女は変わってしまった…

狂ったかのような愛を僕は要求され、そのあげくこの監禁だ。

 僕はもう愛よりも彼女に対する恐怖や恐れが僕の中に大きく広がっていった。

  

 僕は監禁前の彼女の言葉を思い出す。

『あなたの全てが欲しい。体が欲しい、心が欲しい、何もかもすべてワタシのもの。永遠に...』狂ったような顔をして言った彼女を最後に僕は気を失った。

 

 部屋の外から足音が聞こえてくる。

 目の前の扉が少し開き、光が漏れる。

 僕は眩しく目を細目ながら光の方へ目を向ける。隙間から僕をジット見つめる彼女の目と目が合った。


『ねぇ、○○そろそろ時間よ?…フフフ…』



 ピンポーンとインターホンの音がなる

 僕は布団から飛び起きた。

 窓を明け、玄関の方を見ると女の人が立っていた。そうだ、今日はデートの約束だったな。

 「朝からこんな夢見るとかちょっとキツいな」と心の中で思いながら僕は急いで彼女の下へ向かった。

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