(一話読み切り)混血の奉公人ヨハネの日常

作者 芝原岳彦

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★★ Very Good!!

これから私は読むのですが、「ガレオン船と茶色い奴隷」の登場人物の一人が本作品の主人公です。
本編を未読なままで断言はできませんが、本作品は本編の雰囲気を能く醸しているのだろう、と感じます。
タイトルにも有る通り、"日常"的な出来事を語った掌編集です。
本作品の主人公は、対峙(not対立)する2グループを挟んで、どっち付かずのキャラ設定を施されており、だからこそ、小説の世界観を浮き彫りにするに相応しい位置付けに立っています。

このレビューの星が少ない理由は、短編にはMAX2つが信条だからです。
本編を読了後にシッカリとレビューを書きます。

★★★ Excellent!!!

同著者の『ガレオン船と茶色い奴隷』のスピンオフとでもいうべき作品。とはいえ、本編を読んでいないとわからないような作品ではなく、むしろ、短く親しみ易い形で長編『ガレオン船』へと読者を誘う入門編のような趣もある。
一話完結の短編集となってはいるものの、この作品の魅力はすべての短編を読み終えた時に発揮される。人種や差別、暴力といった『ガレオン船』でのテーマがくっきりと浮かび上がってくるからだ。

ちなみに、扱うテーマは重いが、全編を通じて清冽なリリシズムが漂っていることは指摘しておきたい。その一端を感じてもらうには下に引用する少女の言葉だけで十分だろう。

「お父さんと同じ匂いの人はみなおじさんよ。おかあさんはお粥のにおいがするの。お隣の犬はひなたぼっこのにおいがするのよ。しってた?」


決して派手な作品ではない。むしろ地味だ。淡々と日常が描かれていく。しかし、テーマと合わせて考える時、おそらくこれが正解なのだろうと思わせる。しっかりした歴史小説を短編で読みたい方に。