第12話
夕食を終えた俺は自分の部屋に帰ってきた。
「っだぁぁ……疲れた……」
外を走り回ったせいなのかかなり疲れが溜まっており、すぐにベッドに横になってスマホを取り出す。
スマホにはシズキとトモキからメッセージが届いており、とりあえずシズキの方から返事を返すことにした。
『しばらく休んだら一緒にデートしようね♡ あっ女装はしたらダメだよ(・ε・´ )ダメ-ッ!!』
可愛いなぁシズキは。
『じゃあ明日1日ゆっくり休んで明後日にでも一緒に行こうな』
そう送って今度はトモキから送られてきたメッセージを読む事にした。
『今度女装道具を持って俺の家に来て』
……これは……どういう事なのだろうか。
『なんで?』
と返信するとすぐに既読が付いた。急にどうしたのだろうか。
『マコと俺の2人きりで話したい。女装したらマコになるんだろ? 俺の家で話をさせてくれ』
話をしたいと言われても……また急に外に出て走り出したりしそうだしな。というか女装道具を見るのも躊躇うというか、シズキと女装はもうしないって約束したし。
いや、でもまぁ……趣味だった女装をこれを機に最後のお別れにするのも悪くないか。
『分かった 明後日は無理だけどいつなら大丈夫だ?』
『明日来れるか?』
『別に構わんけど急いでるのか?』
『とにかく明日よろしくな』
どうしたのだろう。トモキの家の場所は知っているが……まあいいか。シズキには悪いが、明日で本当の本当に終わらせる。
不良な俺の女装趣味を、確実に終わらせる。
翌日、朝から緊張しながら女装道具をバッグの中に入れて父さんに話をしにいった。
「父さん、マコトって呼んでくれ」
「……? マコト」
「……ありがとう。ちょっと出掛けてくる」
少し頭がぼんやりしていたが、父さんに名前を呼ばれて意識がはっきりしてくる。
「大丈夫か? 父さんも行くぞ?」
「大丈夫だって。もう勝手に遠くに行ったりはしねぇよ」
今日で俺の女装趣味を終わらせるんだ。これから誰にも迷惑をかけないようにする為にも、俺は俺として生きる為にも。最後の女装をしなければならない。
「じゃあ行ってくる」
「日が暮れる前には帰ってこいよ」
「ああ。大丈夫だ」
そうして俺は家を出た。
「わざわざ来てくれて悪いな」
「いや気にすんな。それで、なんでトモキん家でマコと話したいんだ?」
「別に良いじゃないか。着替えてくれ、外で待ってる」
トモキは特に俺に話したい事はないらしく、すぐに部屋から出ていってしまった。
俺がマコになるとおかしくなる事は少しだけ自覚している。その為、なるべく無心になって女装する事にした。
メイクをして、着替えて、ウィッグを被って。
「ふぅ〜〜…………」
なるべく時間をかけないように女装をしたのだが、思った以上にかかってしまった。
「…………トモキ君……?」
──ガチャッ
「やぁ、マコ」
部屋にトモキが入ってきた。
「話って何……? なんで部屋の鍵を閉めるの? 私はこんな所に居る場合じゃないのに……ねぇ、早くして」
「落ち着いてくれマコちゃん。とりあえず座ってくれるか?」
トモキに肩を抑えられて座らさせられる。力が強い。
「ほら、お茶でも飲んで」
「何? 早くしてよ。……トモキ君なら知ってるかな。おじちゃん、無事?」
「おじちゃんなら刑務所で8年の懲役だってさ」
「……嘘でしょ…………おじちゃんは何も悪くないよっ!?」
8年の懲役と聞いた瞬間、酷く混乱して思わず立ち上がった。
──フラッ
「あっ……れ……?」
その時、全身の力が抜けてそのまま横に倒れてしまう。
「ごめんな、マコ。こうでもしないと暴れると思ってさ」
「何を……したの? 身体が動かせないよ? ねぇ、おじちゃんを早く助けに行かないといけないの! なんで動かせないのっ!?」
「薬だよ。もう少ししたら喋れなくなるよ」
そう言われると、段々と喉元や顎の感覚が薄くなってきた。
動かせない。このままじゃおじちゃんに会いに行けない。こんな事をしている場合じゃないのに、なんでトモキ君はこんな事をするの?
「俺はさ、マコちゃんが好きなんだよ」
「…………」
喋りながら近づいてくるトモキ君を、目で追いかける。
おじちゃんに会いに行きたいのに……トモキ君のせいで会いに行けない。それが辛くて辛くて、苦しくて涙が溢れてくる。
「俺にもマコちゃんが必要なんだ。マコちゃんに助けてほしい。マコちゃんを必要としているのはおじちゃんだけじゃない」
おじちゃんだけじゃ……ない?
「マコちゃんは信じてくれるよね……俺、マコちゃんが欲しいんだ。だから少しだけ乱暴するね。ほら、俺ってヤンキーだから」
そういって俺の服を脱がせてきた。
動けない俺の手足を器用に動かしながら、気づいたら俺は全裸にされていた。
そのまま抱き抱えられてベッドにうつ伏せに寝かせられる。
何をするの……顔が動かせないから後ろで何をしているのか分からない。
カチャカチャと音がする。布が擦れる音がする。
その時、腰を掴まれてグッと上に持ち上げられた。
「マコちゃん。最初は痛いけど、俺がマコちゃんを必要だって思ってる気持ち、受け止めてね」
お尻に何かが触れる。
グッと押し付けられて、大きな何かが入り込んでくる。
「ぁ゛っ…………ぁっ……」
それから俺は身動きの取れない身体を乱暴に弄ばれ、トモキ君から一方的に攻められ続けた。
仰向けになって大きく股を開かれ、恥ずかしいポーズのままで攻められたり。そんなに無理矢理責められ続けているのに、トモキ君が必死な顔をしているのを見て嬉しくなった。
こんな事をしてまで私が欲しかったんだね。
私はただ、初めての感覚と何度も訪れる大きな快楽に喘ぎながら必要とされる嬉しさを噛み締めた。
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