ジオラマジカル少女

小さいときから細かいことが好きだった。おじいちゃんが撮ってきた写真を見ながらおばあちゃんが箱庭を作る。小さな箱に溢れる田舎の空気。茅葺きの家や切り株、柿の木もおばあちゃんは作る。


魔法みたいだった。


「ボンドつけすぎたらあかんよ。そこは優しくそっとおいてみんさい」


おばあちゃんの言葉は優しくて一緒に作ると楽しかった。箱に世界を作り出す魔法の手。


俺はすっかりジオラマの虜だった。ジオラマの展示会にも出してもらったり。それなりに評価はされていた。


「おっすー平河ー!!今日のジオラマはなに作るよ?」


「今日は鉄道かな。錆びの付け方を綺麗にしたい」


「はは、錆びを綺麗にって」


こいつは北條崇仁。高校から知り合ったアニメオタクでジオラマ好きの仲間。名前もだけど背も高いし見た目も格好いい。合コンにも誘われるけどこいつはアニメの世界をジオラマで作るのが好きだから合コンでは話が合わない。


北條は聖地巡礼に行く金がないからジオラマを覚えたとか。


「俺は今日は魔法少女マナカの妖精の森にしようかなー」


「ははっ本当魔法少女好きだよなー」


「マナカ可愛いからな?超可愛い!!」


そんな俺たちの毎日に変化は突然現れた。






「ふふ、中々いい感じに錆びをつけることが出来たぞ……」


大学が終わったあと部屋で没頭していて、出来上がったジオラマに満足して眺めていたら窓が光った。これは北條から聞いたことがある。この展開は魔法少女が来ると。いやいや、アニメじゃあるまいし。


「見つけたわ!!あなたが私たちを助けてくれる神様ね!!」


あれー?黄緑ツインテ貧乳美少女がいる。どこから来たんだ?あ、換気で窓開けてたから?


「お願い、あなたの作った庭で私たちを助けて!!」


「いってる意味がわからない」


「だから、魔法少女は人間界を壊すわけにいかないでしょ?そこで神様の庭を借りるのよ!!それがあなたなの!!」


「戦わなければいいんでは?」


「戦わなきゃいけないの!!あいつが来るから!!あいつを倒して結晶にしなきゃいけないの!」


「あいつ?ていうか結晶って怖いな」


「結晶は私たちの世界で元に戻せるわ。だから大丈夫よ」


「そう、だから結晶にしても安心なんだよ。姫?あなたを探していたんだよ。さぁ私の結晶になってくれるかい?」


青ショート巨乳の美人が貧乳に詰め寄り顎に手をかけた。顔を近づけると貧乳は睨み付ける。


「誰があなたの結晶になるもんですか!!神様、見てて!あなたの庭で闘うから!!」


貧乳が杖を取り出すとクルクル回した。


「リリックユメリアミストラージュ!!」


杖から光が広がると二人が消えた。そして俺が作ったジオラマにドームみたいな半透明の壁が出てくる。その中に二人がいた。


「さぁ、姫?今度こそ君を私のものにするよ。その可愛い顔も体も全て私のにね」


ドームの壁に台詞が浮かんでいる!!二人が何をしゃべっているかよくわかるけど…。


「キャッ!いやっはなして!!あっ」


「ほら?ここが赤く腫れてるよ?いいのかな?」


「やめて……!あ…!」


くっ文字だけだと………!







終わる


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最初の一ページ集 長島東子田川 @toukonagasima

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