食欲
私は不安にかられると満腹感で対抗する。
私が不安に駆られるのは決まって深夜である。
日付の変わったコンビニで不安に打ち勝つために商品を購入する。特にパスタや唐揚げ弁当など炭水化物と油を体が欲している。買い物かごにそれらの商品を入れるだけでも少し不安が軽くなる。しかし、時にはそれらに加えてチョコレートやアイスなど、明らかに一食には多すぎる量の菓子類を購入することもある。
それらの商品を食べることによって直前まで私の行動までを支配していた不安は霧散する。あくまで不安の解消のために食べているのであって、美味しいと感じることはない。むしろ過食による気持ち悪ささえ感じる。そして食べ終わると、不安の代わって自己嫌悪が私の中で首をもたげてくる。
自分は食欲さえまともにコントロールできない下等な人間なのだという思いが頭の中でうずまく。
健康の面から見ても深夜の食事が良いことなど何もないだろう。実際にこの習慣ができてしまってからは、毎年健康診断で引っかかっている。
食べた直後は内臓が活発になるのか寝付けなくなるため、就寝時間はより遅くなってくる。明日も仕事に向かわなければいけないにも関わらず眠れないことへの焦燥感。
自己嫌悪と相まってこの時間帯の私のメンタルは最悪だ。
うまく寝れたとしても睡眠は非常に浅く、翌朝起きると胃の中が気持ち悪い。
気持ち悪さで朝ご飯を食べることはできない。
それでも出社して1時間ほど経つと空腹になってしまう。仕事に身は入らず昨日の自分に対するイライラが募ってくる。仕事でできたストレスは不安の元となり、深夜の私の行動を支配してコンビニへと向かわせる。ここ数年はこの負のスパイラルから抜け出すことができていない。
このまま改善しなければ体を壊すことは分かっている。
しかし私は今日も深夜のコンビニへとむかう。
私は子供の頃、自分で決めたことは自分で実行することができた。
毎日の勉強や部活の自主練など、同年代の少年少女たちよりも自分を律することができていた。それは私の自信でもあった。
それなのに、私はいつからこんな意志薄弱な人間だったのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます