惑星マーズの誕生

  さてここでは、イスレアの住む神の国やダーク帝国の存在する惑星マーズのことについて少し触れてみることにしましょう。

 太陽系に最も近い恒星(別の太陽系)に地球によく似た惑星がある。惑星は岩石で出来ており水があり海が存在した。

 この惑星を「マーズ」と呼ぶ。


 水が存在すればいずれは生命体も誕生する、マーズが誕生して6億年程が経った頃(三十数億年前の)海の底で原始の生命が誕生した。

「現在の地球でも海洋底中央海嶺にある黒い煙のような熱水を噴出する環境では硫化水素を還元してエネルギーを得ている原始的なバクテリヤが存在しており、暗黒世界に小さな生命圏を形成している。」


 24億年前位になると、惑星マーズに大きな変化が起きた鉄やニッケルで出来たマーズの核がゆるやかに流動し磁気を作り出すようになりマーズは磁場をもった。

 これにより太陽風として吹き荒れる生命に有害な電子や陽子を磁気圏の磁気バリヤにより遮断出来るようになった。ただまだ致命的な紫外線は地表に到達していたが紫外線が届かない海面近くの環境では生命が存在できるようになった。

 生命の存在領域は今までの深海の火口付近のみから広大に広がる海辺まで格段に広がったのである。

 それから数億年もの間は、生命はさしたる進化もせずゆっくり進化の道を歩んでいたのであるが、海中に放出された酸素が増加し濃度が上昇しだすと生物の世界にも大きな転機をもたらした。

 酸素は物質を酸化するため、それまでの生物にとっては猛毒の物質だったが一部の細菌類の中には酸素を利用して大きなエネルギーを作り出すものが現れた。


 そして約5.5億年前位、生命の進化史上最も重要な出来事がおこった。

それまで生命種は数十数種しかなかったが突然、500万年という極めて短期間のうちに数万種にまで爆発的に増加した、「生命種の拡大期」である、この生命種の拡大期を経て生物の進化は一気に加速した。

 その後は、地球の生命の進化と同様に原始の海での魚類の繁栄、地上でのシダ類繁栄、海から陸上への第一歩、恐竜、被子植物の繁栄、巨大隕石の衝突、恐竜の絶滅、哺乳類の繁栄、そして二足歩行の人型生命体の出現に至り、火と言語を獲得した彼らは惑星マーズの大陸のあらゆる場所に進出しだし、非常な勢いでその生息域を拡大させたのである、これからはその人型生命体を「台地の民」人族と呼ぶことにする。


 惑星マーズも地球同様いくつかの大陸が存在している。

その大陸の中でも最も広大な大陸が「ゴンドアナ大陸」である、地球でいうところの「ユーラシア大陸」とほぼ同程度の広さを持ちさらにこのゴンドアナ大陸の東側部分、地球的に言えばヨーロッパ大陸とアジア大陸に分けられた所のアジア大陸部分あたりである。


 年代も地球的に論ずれば

ヨーロッパの中世(500年~1600年)にあたるころである。

このアジア大陸部分あたりを(アジア台地)と呼ぶことにする。

アジア台地の 中世初期(500~1000年)ごろ


 「アジア台地」は大きく北、南、西、東部に分かれ北部は山脈と崖が織りなす精霊の地であり、歴代女王が国を治める長寿と精霊の国と呼ばれる「北の国」が、南部には南西部に広大な湿地高原地帯で水と草花と木々の織り成す別天地のような美しさもった「水の国」が、また南東部の広大な砂漠の果てには文明が発達し他国とは一線を画す「文明の国」が、東部にはこの台地最大の勢力を持つ「東の国」が大河の流域沿いに、西部の山側には猟と農業を生業とした「山の国」と海側に魚業と農業を生業とした「海の国」の6つの大国があった。


 地形は台地の東側寄りには北から南にかけ2~3千m級の気高い峰々がそびえ立つ山脈地溝帯が走り、野獣しか住まないので「野獣の王国」と呼ばれた。

 またこの山脈に沿った南東部の一部には広大な乾燥地帯がひろがり延々と砂の山が続く砂漠となっていた。

 台地中央には蛮人(進化の遅れた原人)が住む広大な原生林の高地が西から東にかけてあり、この原生林の中にはほぼ垂直に切り立った崖に囲まれたテーブルマウンテン(標高400~500m)の丘陸地が幾つもあった。原生林の高地自体は南南西よりの海側の湿った気流がこの高地に直接ぶつかる為大変な降雨地帯である。

 その原生林の高地を源とした数本の大河川が南の海岸線に向けて流れ出て、その大河川よりは小河川が網の目のように枝分かれし台地の南端海岸へと曲がりくねって流れている、その最南端には突き出た半島があり「南の島」と呼ばれている。

 この原生林の高地と南の島の間は、起伏の激しい丘陸地では熱帯雨林となり、平坦な陸地では広大な平原となりまたいくつかの湿原地帯も形成していた。

 この地帯は蛮人よりは少し進化した程度の未開の小部族が沢山住んでおりお互いに特段の交流を持つこともなく生活していた。

 また台地の北西部奥には深い山々があり、その山々の湧き水より端を発した大河が大きく蛇行しながら東の海岸線まで伸びていた台地最大の大河(オウガ)である、総流域6000キロ、川幅は中流域でも最大で10キロにも及ぶ。

この大河の流域地帯はアジア台地最大の穀倉地帯でもある。

 「アジア台地」には、6つの大国以外にも文化、言語も違ういくつもの小部族が乱立し闘争を繰り返していた。だが東の国の国王が絶対王政による強大な中央集権国家を作り上げると強力な軍事力を背景に各所の小部族をまとめ上げ、また他の5大大国ともゆるやかな同盟関係を結んで同盟国の連邦政府を東の国において、アジア台地全体に統治権の及ぶ東国連邦国家とうごくれんぽうこっかをつくりあげたのである。

 連邦国家はアジア台地全体に広がる諸民族の交流や物資の往来を容易にし同時に文化の交流や言語の統一化をも成し遂げ、数百年以上にも及ぶ長期的な栄光と繁栄の礎を築いたのであった。





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