第13話 終了
ごく短い話だ。
彼の叔父が大家をしているアパートで異臭騒ぎがあった。
独居老人。夏場。異臭。
これはということで部屋の鍵を開ける。
老人は死臭にまみれて亡くなっていた。
すでに腐敗が始まっている。部屋に入る前に警察に連絡した。自然死であろうがこういう場合では変死体と見られ現場が確認されるが、警官たちはちょっと顔を見合わせた。
「最近、誰か来ましたか」
叔父は軽く眉をひそめた。この老人は人付き合いもなく、来客もない。強盗か、殺人か?
いや、死体が不審なものだった。
死んだ老人の顔に紙が貼ってある。
「おしまい」
と書いてある。
枕元には食べかけの刺し身が生乾きで置かれている。スープだけになったカップヌードルがある。プッチンプリンのからが三つ。哺乳瓶が転がっている。中身はウィスキーだったそうだ。
隣の住人は言う。
「だれか来たと思います。昨日、酒盛りがあったみたいで、なんかうるさかったし」
鍵をこじ開けた形跡はない。
招き入れたかピッキングしたか、いや、合鍵だろう。大家が来るまで鍵は掛かっていた。
……で、話はそれきりだ。
誰かが死体に悪戯をした、死体の前で酒盛りを開いた。どうやって入ってどうやって出ていったかわからない。痕跡も見つからない。犯人もいまだに見つかっていない。
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