3-3
【S・O・S】
日本のアイドルグループ『ピンクレディー』の楽曲。レコードの冒頭にモールス符号によるSOSが使われているとのこと。法律などの関係でラジオ放送では冒頭がカットされたらしい。
―――――
翌日、私はカヨラを同好会のメンバーに引き合わせた。結城秀康はカヨラを睨みつけ、カヨラは結城秀康を睨みつけ、バチバチと火花が飛びながらも、彼女はメンバーとして了承された。
それにしても、男一人に対して女四人はバランスが悪いんじゃないだろうか? 強引に誰か引っ張ってこようかな? そんなことをほのめかしてみると、
「私は男の体になることも出来る。あなたにその気があるのなら雪村恵美を転校させ、別の人間としてやって来る。どうする?」
と、恵美が言った。なんだか面白そうだけど、ややこしくなるからやめた。もしも私が望んでいるのなら、誰か現れるだろうし。
そのまま親睦を深める目的でカードゲームなんかで遊んでいた。上の部室でね。そのまま下校時刻になって帰ろうとした時だ。
「それで、どれくらい計測できたの?」
と、カヨラが恵美に問いかけた。すると、
「およそ、34回」
と、恵美が答えた。
「何の事?」
「あなたが足でモールス信号を打った回数。ある種のね」
「ある種って?」
「SOSよ」
カヨラが言うには、私は足でモールス信号を打っている気配があったので、それを計測したかったらしい。ちょうど恵美が適した能力を持っていたので、カヨラを部室に紹介した時点から計測を開始したという。一時間半くらいの間に34回打っていた。その信号とは
トン・トン・トン、ツー・ツー・ツー、トン・トン・トン、のようだ。
「これだけじゃ、決定打とは言えないわね。やはり違ったのか……?」
「何を探っているの?」
「恵美とそこの結城がこの世界に存在するための特殊因子よ。もしかしたら、あなたのその癖が何かを呼び寄せたんじゃないかと思ったの。でも、違ったかもしれない」
「なるほど」
そんなことに気付くなんてすごいな。どうやらレインもそう感じたようだ。身を乗り出して聞いていた。レインは私が元気を取り戻したことを喜ぶとともに、カヨラを大歓迎した。
「ねえ!」と、レイン
「何?」
「名前はどうするの? この同好会の名前。とりあえず申請するにも名前がいるでしょ? どんなのにするの?」
名前は考えてあった。でも、発表するのは勇気がいる。でも、今が丁度いいんだろう。私は言った。
「名前は、『涼宮ハルヒと射手座の騎士見習い団』にします!」
部屋の空気が固まったようだ。だが、これもいい。ハルヒがSOS団を宣言した時と同じだ。私は説明を続ける。
「えー、『射手座』というのは劇中に出て来たあるものから貰いました。『団』もです」
「騎士見習いっていうのは?」
「はい、良い質問です。レインさん。騎士見習いというのは"Page"だからです」
「えーと、わかりません」
妙なやりとりになってしまった。だけど、私も感覚でこれを選んだから大して意味は無い。そのことをぼかしながら説明していった。
ちなみに英語バージョンもある。それは、
"Sunshine of Your Love and Sagittarius' Pages"
である。
こういうわけのわからないのが好きになってきたんだ。レインも少し笑ってる。もしかして、もう役目は果たせたんじゃないか? 私の呪いは解けたんじゃないだろうか?
「そう思うのか? よく見ろ。まだ終わってないぞ」
窓の外から声がした。そう。そうなんだね。だったら。
「えーと、私達の目的は涼宮ハルヒの意志をこの世界に現わすことです。なので、物語を辿りつつ、私達にしか出来ないことをしつつ、あの世界の謎を解き明かしつつ、みんなで笑って、遊んで、楽しく暮らします」
また、ちょっとしたあきれた笑い。でも、カヨラの視線はキツいものだ。嫌いな感じじゃなくて『お前の先を行ってやる』という強い力を感じる。
私は、レインと一緒に過ごしながらあの四人を助ける道を探る。それがきっと、涼宮ハルヒの……
「涼宮ハルヒの力についてなら、私は解明できた」
と、恵美から爆弾発言。
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