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【ジェノバ細胞】

テレビゲーム『ファイナルファンタジー7』に登場するもの。この細胞の機能は二つ。

1.埋め込まれた者に、他人の記憶を読み取り、その通りに擬態する能力を与える。

2.すべての細胞はリユニオン(再結合)しようと集まっていく。そのため埋め込まれた者達も一か所に集まることになる。

―――――


 私は固まったまま恵美を見つめている。すると彼女は少し声を小さくして続けた。


「ちょっと誤解があるかもしれない。少し長くなるかもしれないけど、説明をしてもいい?」


 私は頷いた。


 彼女の説明はこんな感じだった。


 娯楽のための創作の話、それをあれやこれやと本気になって論じるのは不毛だと思う。ハンニバル・レクターの精神状態を現実のFBI捜査官が論じた事もあったようだが、それが現実に生きる私にどんな作用を持つのかわからなかった。もしかしたら、映画会社などの宣伝に利用されたのではないか、と疑ってしまう。


 とにかく、私が論じるとなると、現在のこの世界において八生渡良瀬風佐海の周囲で発生している状況が『涼宮ハルヒの憂鬱』との類似性を持っていることを、現在のこの世界での素材を使って仮説を立ててみる。もしくは証明してみる。ということだろう。


 私が見るところ、あなた、八生渡良瀬風佐海は『マックスウェルの悪魔』としての技を体得してしまった。



【マックスウェルの悪魔】

熱力学の第二法則。別名エントロピーの増大則。熱は高い側から低い側へ移っていく。そして、その逆は無い。エントロピーとは熱が移った際に増加する値。エントロピーが示すものを例えてみると「ある空間の中で、モノがどれだけ乱れているか」というようなものになる。では、もしも、これを整理するような存在があったとするとどうだろう? ということを考えていたら出て来たものらしい。

―――――


 大邑崎香代螺にもその力は宿っている。だが、八生渡良瀬風佐海とはやや性質を異にする。


 この世界でも『マックスウェルの悪魔』や『ネゲントロピー』の存在は否定されている。私が観察して得た事を説明に加えると、次のようになる。


 あなた、八生渡良瀬風佐海はエントロピーを減少させる。もしくは、操作することが出来る。理論上はこれでサイコキネシスと呼ばれる超能力を発現させることが出来る。あなたがやっていること、これも一部だと思うが、温度の高い低いに関係なく『熱量』を自らの体に集め、別のエネルギーとして放出している。そして放出されているのがこの世界だけとは限らない。この宇宙の外か、別の次元か、別の世界かもしれない。


 この点は不明なことだらけ、私にも完全に解明できるかはわからない。ただ、解っているのは、あなたがエントロピーを減少させたため、この世界の様々なエネルギーが減った分を補いバランスをとろうとして動いているということ。それが、結果として、あなたが思い描いたことが現実として起こる、という事態になっている。


 あなたが示した数式。あの最初のものはあなたの力の一部であるが、周波数の調整でもあるのだろう。つまり、世界のエネルギーが集まるこの街、そして、その力が最も顕著に働いているあなたの思考が世界と同調することになり、世界規模での動きとなった。尚且つ世界はある程度のバランスを保つことが出来ている。


 大邑崎香代螺との力の違いについては、


―――――

二人で話を遮る。名前が長いので短く呼んでいい、と二人で言った。

―――――


 カヨラは技量は大きいが、力の源となるパワーが小さい。

 フサミはパワーは大きいが、技量は小さい。


 こんなところ。

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