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【兵庫県西宮市】
涼宮ハルヒシリーズの舞台とのモデルされている地。原作者、谷川流の出身地。登場人物たちが通う高校も彼の出身校がモデルとされている。そして、大阪府大阪市の梅田駅周辺が閉鎖空間の入口であるらしい。私は、その辺りに一度も行ったことが無い。
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彼女とは一度別れて、昼休みにじっくり話すことにした。その際に許可を得て体をちょこっと触らせてもらったけど、作りものとは信じられなかった。
「正直言って、私にも私が生まれた経緯がわからない。ネットを通じて様々な機密を探りもしたが、私が現在この時に生まれるだけの技術水準が見られなかった。私が生まれる原因として考えられるのは『デジタルネットワーク上で突如生命が発生するようなもの』くらいしかない。だが、それも相当に低い確率のはず。可能性としては別の世界から何らかの因子が持ち込まれたということだが、そんなことがあるとも思えない」
というわけで、自分探し、自分づくりをしたいと思っていたそうだ。そして、あの張り紙に目を留めたと。
「悪の組織の頂点はコンピュータ・スキルを駆使する者となる場合が増えて来た。スペクターという言葉もデジタル世界に潜む亡霊ともとれる。それに伴いヒーロー側にもその手の力は必要とされる。私は諜報組織に潜み、エージェントをサポートする役割が最適に見えた。きっと、ブロフェルドに対抗できるだろう」
「うん。嬉しいよ。ありがとう。ところで、あなたの名前は誰かに与えられたものなの? それとも、自分で?」
「この名前は私が自分で付けた。あなたとの関りを求める前にも自分の認識をさっきのように捉えていた。だが、私に生じた何らかの『個性』によりMI6とは別の形を求めるようになった。そこで『寒い国の組織に対抗できるような力』として丁度いいものに収めた。ある世界での諜報組織は『サーカス』と呼ばれ、その長となる人物の名がジョージ・スマイリーだったので、そこから借りて来た」
「ふーん。なるほどね。でも、あなたがこの学校に居たのって偶然なの?」
「偶然と言えば偶然。だが、この地に惹かれた理由はある。SFの世界にはサイバーパンクと呼ばれるジャンルがある。その祖とされるのがウィリアム・ギブスンが著したニューロマンサーという作品。その最初の舞台がチバ・シティとなっていた。何故か私はその作品に惹かれていった。もちろん相当に異なった世界だとわかっていたけど。気が付いたらここにいた、というしかない」
「へえ。すごく人間っぽいんだね。なんだかうれしくなっちゃう」
「あの世界で描かれる言葉がとてもおかしかった。日本語の意味が相当に解離している。戸惑いながら読み進めて、最初はどういうことなのかわからないことが多かった。『アルファ・ケンタウリ』という部分、それが今の私の状態と共鳴することがあったのだと思う。だが、今にして思えば、あれは笑いながら読むのが日本人として丁度いい対応だったのかもしれない」
「日本人って……まあ、いいか。とにかく、ありがとう」
「ただもう一人、あなたに紹介したい人がいる。恐らくあなたの要望に応え得る人物」
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