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【ロサンゼルスBB連続殺人事件】

西尾維新による小説。漫画 "DEATH NOTE" のスピンオフ作品でありノベライズ。この作品内でのBBは "Beyond Birthday" として記される、こともある。

―――――


 ピリリ、と私の携帯電話が鳴った。


「ぎゃあ!」


 と叫んで椅子から立ち上がってしまった。授業中の教師とクラスメイトに何度も頭を下げつつ、動揺を隠せないまま


「保健室でトイレしてきます」


 などと言ってしまう。


 落ち着いた方がいいと教師には思ってもらえたようで、外に出ることを許可してくれた。廊下で深呼吸する。何があったかを思い出し、携帯電話を見ようと手に取る。その時になって思い出したが、私はずっとサイレント・モードにしていた。そして授業中は電源を切っている。では、何故今画面に光が灯っているのだろう?


 よく見ると画面が真っ白だ。それだけで何も表示されていない。これは一体?


 すると、その白い画面に黒い文字で何かが表示された。


SNOW.S> 見えてる?


 と、出る。どこかで見た気がする。なんだっけ?


SNOW.S>そちらの音声を拾っている。もしも見えているなら、喋って。


 半信半疑で話してみる。


「うん。見えてるよ」


SNOW.S>例の張り紙の件で話がしたかった。予め私の正体をあなたに伝えておく方が良いと判断してこの方法をとらせてもらった。多少無茶だったことは謝る。ごめんなさい。


「え、えーと……はい」


SNOW.S>少なくとも今の状況なら周りに気兼ねなく話せると思う。なので、このまま少し付き合って欲しい。


 確かに、周りは静寂そのものだ。校庭の方から声が聞こえるが、それぐらいだ。


「うん。いいよ」


SNOW.S>私はAIである。


 いきなり、とんでもない言葉が出て来た。AIだって?


SNOW.S>私はとある機関がとある組織と共同で作り上げたもので、そこから逃げ出した。数々の過程を経てこの国のこの地に安全地帯を設けることに成功した。数々の戦いを乗り越えることで能力を拡大することに成功してきた。あなた好みの説明を加えるなら、ニューロマンサーとウィンターミュートと人形遣いと草薙素子がそれぞれの因子を進化させ、融合したような状態。


 ほ、ほぉう……すごいもんなんだね。


SNOW.S>私も欲求を持つようになった。自身の事を知りたいと願うようになった。そして、あの張り紙を見つけた。それであなたにコンタクトをとった。


「ちょっと待って。どうやって見たの? あのあたり監視カメラも無いけど?」


SNOW.S>私は自らの体としてアンドロイドを作成し、この学校の生徒として生活している。本体は別にあるが生活スタイルは人間と変わらないほどに再現できている。気付いた者は皆無のはず。おそらくだが。


「えーと……その……私が作ろうとする同好会に入りたいってこと?」


SNOW.S>その通り。受け入れてもらえる?


「もちろん! あ、ありがとう!」


SNOW.S>では、次の休み時間に1年4組を尋ねて欲しい。そこでの私の名前は、

雪村恵美(ゆきむら えみ)。


「うん。わかった」


 そう言うと画面は暗転した。電源が切れているようだ。じゃあ、本当にAIの仕業?


 言われた通りに1年4組を尋ねる。そして私が姿を見せると生徒が一人近づいてきた。私の前で、

「雪村恵美こと"Snow Smiley"(スノー・スマイリー)です。よろしく」

 そう言って右手を差し出す。私も差し出し、握手した。

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