あなたを助けるのが仕事
2-1
【悪魔を憐れむ歌】
The Rolling Stones による楽曲。原題は"Sympathy for the Devil"。直訳すると『悪魔への同情』もしくは『悪魔への共感』。この曲は呪われているという噂がある。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のエンディングにて Guns N' Roses のカヴァー曲が使われた。その後 Guns N' Roses は活動休止状態になってしまった。
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我が高校も同好会設立に関する規定は生徒手帳に書いてあった。とりあえず仲間を五人集めて、手続きをしっかりやれ、ということだ。
貼りだした翌日、レインが私の所へ来た。すごく興奮している。「私も入れて!」と熱気と共に言葉が吐き出される。私にとっては願ったりかなったりだ。これで、もっと近づけるだろうし。さて、一人集まった。
やはり、ハルヒのようにはならないね。レインは正義の味方には分類されるけど、あの張り紙の悪役に対抗する感じじゃない。地道に平和にやるのがこの世界に合ったスタイルなんだろう。
休み時間にレインと今後の事を相談していた時だ。不意に彼女からこんな言葉が漏れた。
「私さ、自分をメイスン・ヴァージャーみたいだって思ったことがあったんだ」
うん?
「あの、もしかして知らない? フウは映画に詳しいから知ってるかなぁって思ったんだけど。あのリドリー・スコットが撮った『ハンニバル』。ゲイリー・オールドマンがすごいメイクで出て来たあの―――」
知ってた。そう言われれば……いや、でも、そんな……
「あれ、ほんとに救いのない映画だったね。クラリスがジュリアン・ムーアってことで『あれ?』って思った。彼女の演技も良かったけど。でも、最後の方はもう観てられなくて―――」
うん。私もそうだった。時々聞こえるのが……
「なんか、イタリアが舞台の時にさ、時々日本語が聞こえたよね。ブレードランナーがちょっと蘇ってきたりして―――」
そう、そして音楽が……
「音楽にバッハのゴルドベルグ変奏曲って言うのがあってさ。私、初めてそこで知ったんだけど、何だか気になる曲だったんだ。あれ。とにかく復讐は止めた方が良いって思ったところもあるんだけどね。でも、衝動は抑えづらくて―――」
そして、自分でやるならどうするかって思って……
「もしも、自分で何かをやるなら、どんなのがいいんだろうって思っちゃってさ。色々と頭の中でぐるぐる回ってたんだけど、どうにもうまく動きだせなくって。あの張り紙見た時に雷が走ったようでさ。全身に力がみなぎっちゃった。だから、私も―――」
そこから私は現実世界から飛び出してしまった。何かがおかしい。そして、これで良いとも思える。様々な思考が絡み合い、適当に相槌を打っている自分を観ているような気になる。そして気が付くと、自分の席で授業を受けていた。
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