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【サードマン】
事件や災害などで、一人で困難極まりない状況に直面した際に何らかの導きにより生き残ることが出来る現象。何らかの姿として現れたり、声として現れることもあるという。ニューヨーク世界貿易センタービルの生存者からもこの手の証言を得ているようだ。
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さて、ヒントと言われたものの、私は『例のあれ』をやる気にはなれない。だって、本当に来そうだから。ハルヒのように味方だけってわけじゃないだろうからね。最初が酷いとどうしてもそれは尾を引く。大丈夫かもしれないけど、体が動かせないんだ。これを乗り越えるには、別のやり方で進むしかない。きっと。
高等学校初日をどうにか終えようとしていた。大黒さんとは連絡先も交換したし、そうそう見失うことは無いだろう。たぶん。
さて、プライバシーを尊重しつつ事情を聴くにはどうしたらいいのか? こういうの初めてなんだよ。どうすればいいんだろう。
「ヒントを見ろ」
また聞こえた。ヒントって言われてもな。もう自己紹介は終わっちゃったし。今からやるってのも変だしね。ややページの先には同好会を作ってSOS団にするんだっけ……?
……うん? 部活? そうか、それだ!
閃いたのは『新しく同好会を作ることにしてメンバー募集の張り紙をする』というものだ。そうすれば張り紙には色々書ける。文章も練ることが出来るだろう。ワープロソフトで作れるし、素材も貼り付けられる。
ここまでは結構いい気分で考えられていた。でも、気付いた。地に足がついてない。私は大黒霊音のことを何も知らない。このまま突っ走ると、同じになってしまう。『あいつら』と。だから、少し足を止めた。作ったものを貼りだすのは一週間後と決めた。それまでは、大黒さんと何か話そう。何かを。
私達はお互いに呼び合う名前が定まって来た。私は彼女をレイン。彼女は私をフウと呼ぶ。二人になっても話す事が無い。何を言っていいかわからない。傷つけそうだし、邪魔になっちゃ悪いし。人を殴り倒すことが出来ても、私はこんな感じなんだよ。
徐々に同好会の事をほのめかしながら彼女に近付く。頬の火傷以外は健康そうに見えるが……どうしろっていうんだろう? 彼女は何故私が近づいてきたか、不気味に思っていないだろうか?
「ねえ?」
不意にレインが私に話しかけて来た。何だろう?
「その首の傷……何なの? 大丈夫なの?」
私はビクッとしながらも答えた。
「うん。大丈夫だよ。昔、ちょっとあってさ……」
「ちょっとって……何?」
「うーん……説明が難しいんだけど……その、上から刃物が落ちてきて……」
「ちょっと、それ大変じゃない! 何があったの!?」
「えーと……その……あれだよ……小学生の時って教室の後ろにロッカーがあったりするじゃない? あのランドセルを入れておけるようなの。例えば、そう言うのがあったとしてさ……そこにさ、色々入れることもあるじゃん。あのノートとか下敷きとか色鉛筆とか……彫刻刀とか」
「……もしかして、その……」
「うん。偶然に、私の上から降ってきちゃったんだ。で、やや危なかったけど、この傷で済んだわけ……」
「そ、そうなんだ……」
どうにかごまかせた。吸血鬼風の悪魔に襲われた、なんて言ったら危ない人に見られちゃうしね。でも、この話、使えるね。聞かれたらこれで通すことにしよう。でも、もうすこし柔らかくしたいな。
あっという間に一週間がたってしまった。とりあえず張り紙は出来た。
書いた文章は、
新しい同好会を立ち上げようと思います。メンバーを募集します。
私は『涼宮ハルヒと愉快な仲間たち』を目指します。
この世の不思議を見つけに行く同好会にします。
そして正義の味方を目指します。
ハンニバル・レクター、ジェームズ・モリアーティ、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド、ヴォルデモート、レスタトに対抗できる力を持つ方は私の所まで来てください。
1年2組 八生渡良瀬 風佐海
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