第6話 「カクサンする呪い」
ツアー当日。天気はシトシトと降り注ぐ小雨の朝でした。雨天決行とのことだったので折り畳み傘をしっかり確認して、待ち合わせの建物に向かうことにしました。
暑いのが嫌いな私は雨、特にさらさらと降る小雨が好きです。ところで、霧は何もかも見えない、とまではいかなくとも殆ど見えません。だから気をつけます。晴れるまで待ったって良いです。しかし、例えばよほど濡れたくない人以外は小雨で進むことを止める人がいるでしょうか。面倒に思いはしますが、先に進むのをやめるほどではないでしょう。例え濡れない様にするための傘を持っていなくとも…。
さて、目的地に着いた私は茶髪にマスクの中性的な受付の方に案内され、奥の部屋にたどりつきました。部屋に入って見るとそこには白いテーブルの上に段ボールがポツンと置いてあり、後はパイプイスが一つ置いてあるだけです。おかしいなぁと思いつつ、予定時間5分前であることを時計で確認してからパイプイスに座って待つことにしました。
5分、10分、15分…、待てど暮らせど誰もきません。流石に不審に思い受付のところまで戻るとそこには誰もおらず、茶色のカツラが残されているだけでした。本能的に私は恐怖、そして苛立ちを感じ、頰に汗をかきながら周りに誰かいないか探し回りました。するとどうでしょう、周りはおろかこの建物にいる人間は私一人だけでした。走り疲れてあの部屋に戻りパイプイスに腰掛けると、あの段ボールが目に入りました。むしゃくしゃしていた私は段ボールをひったくりました。妙に軽い手ごたえに少し驚いてしまい途中で手を離し、中身を床にぶちまけてしまいました。中身はたった二つ。何の変哲も無い茶封筒と透明なケースに入ったDVDでした。私は興味を持ち、せめて中身を確認してやろうと封筒の中身を取り出しました。
中には一枚のややくしゃくしゃな紙が折りたたまれて入っていて、そこには驚くべきことが書いてありました…。
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