第5話 「メールの謎」

こうして夕方ではありますがいそいそと帰路についたわけです。しかし、歩いていても頭でこれからの予定、順番等を考えることはできます。時々明日のことにわくわくしながら歩いていると、

「ビィー!!!」

思いっきり大きなクラクションが後方から鳴り響いてきたました。かなり距離が離れていて詳しくは見えませんが、どうやら事故のようです。曲がり角から出てきた車と二人の人が接触したようですが、片方が気絶しているだけで命に問題はないようで、胸を撫で下ろした運転手が二人を乗せて去っていくのが見えました。

浮かれ気分がすっかり吹き飛んだ私は急にあることが気になり始めてきていました。それはあの当選メールについてです。あのメールは何故か迷惑メールの様なテンプレートをとっていたことです。一応記しておきますが、あの旅行会社はそれなりに名前の知れた会社です。どんな理由であれ記念ツアーの当選メールを雑にして良いはずがありません。何故わざわざ会社の品位を貶める様なメールを送ってきたのでしょうか。今時日本語が分からない様な外国人の方にメールの文を打たせるでしょうか。

気がつくと家の扉の前にたどり着いていました。そしてこれからの予定を思い浮かべると、さっきまでの疑念はすっきり失せてしまいました。結局その日は準備に取り掛かりっきりでメールの謎のことを調べるのを忘れて寝てしまいました…。

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