「 睡蓮の手紙と白夜の約束 」
( ―――……何だ? 書簡? )
( 何で、こんな所に こんな物が……? )
「 !? 」
落ちていた
『 ――― 白夜さんへ
いつもお世話になっております。
先日は、海で助けて頂いた話の途中でその場を離れたあげく、
そのまま お話をする事を避け続けてしまい、
命を救って頂きながら、恩を仇で返すような結果となり 誠に申し訳なく、お詫びの申しあげようもございません。
どうか お許しのほど願いあげます。
全ては、私の人間性の未熟さに起因するものであり、誠に申し訳なく、深く反省いたしております。
本来なれば、直接 お詫びしなければならない所でしょうが、気後れしてしまい実行に移せそうもありません。
かくは、お詫びの書状を差し出す次第でございます。
今後、人間的な修養に励みますことをお誓いして、お許しを願うのみでございます。――― 睡蓮 』
( さすが、
同時に、
(
時を同じくして、
手紙を彼の部屋の所に置いて来たまでは良いが、また別の問題が彼女の中で浮上して来たのだ。
( 読まれたのかしら……? それならそれで、どんな顔して部屋から出て行けばいいの……!? )
――― 考え込んでいると、部屋の扉を三回叩く音がした。
「
( はわわっ!!
部屋の扉に鍵が付いているのが救いだ ――― 。
「 返事はここに置いとくから、読んでね? 」
( 返事…!? ―――
『 ――― 睡蓮へ
こちらこそ、いつもお世話になっております。
先日は、驚かせてしまったようで申し訳ございません。
君が口を聞いてくれないのは当然の事です。
ですが、ずっと 君に謝りたい気持ちでいっぱいでおりました。
だから、僕も手紙の力を借りて君にお詫びいたします。
本当に申し訳ございませんでした。
近いうちに改めてお詫びするつもりですが、取り急ぎ書面にて失礼いたします。――― 白夜 』
手紙の中の
同時に、自分がリエン国の文字をきちんと読める事を知る。
(
すると、
「 きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!! 」
「 ちょっ…!!
「
「 ご…ごめん!でも、ここで閉めさせたら 君、部屋の中から二度と出て来そうに無いから…… 」
一方、
「 君が出て来るのを待ってたんだ。驚かせてごめん……! " 近いうちにお詫びする " って、書いたのは読んだ? ――― それ、今の事なんだけど…… 」
「
「 !? ――― どうして…!? 顔をあげてください!! 私…感謝はしておりますが、怒ってはおりません! ――― ただ……どうしたら良いのかわからなくて……… 」
「 でも、結婚は……考えてないと言うか…――― 君がどうとかじゃないんだけど、その……難しいと思ってて…… 」
「 わ…私もです! そういうのは今は考えられないと言いますか…――― まずは、記憶を取り戻してからで無いと……こ…困ります。 ――― わ……忘れましょう!! 忘れますから どうかお忘れください!! 」
記憶を失くした自分が忘れるとか忘れてくれとか、なんだかおかしな話だなと思いながらも
「 いや、
―――――― 波が大きな音を立てて、沈黙している二人を包み込む様に鳴り響いた。
「 では、
「 もう充分 助けて頂いておりますが……ありがたいです。 」
結局、
「 まとまったかの? 早く飯にしてくれ 」 ――― 一部始終を聞いていた
「 父さん ――― 気配は感じてたけど、そんな近くにいたのか…… 」
「 これでやっと、お前達の重苦しい空気から解放される! ――― 後は……
「 ! 」
「
「 うん……ちょっとね。 」
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