「 睡る花のような少女 」(二)
「 ……!? 」
( ここは……? )
――――――
起き上がりたかったが、思った様に身体を動かせず、布団の中で寝返りを打つぐらいしか出来なかった。
( 体中がだるくて……なんだか熱っぽい…… )
頭がぼーっとしつつも、目覚める前の自分は何をしていたのかを思い出そうと少女は考え込んだ。
――― しかし、全く 思い出せない・・・・・ 。
何故か、次第に息が上がり、鼓動が早くなっていく・・・・・
理由は自分でも
「 あっ! 起きてる!! 」
突然の大きな声に少女は驚いた。
声の主は、ふっくらとした
「 どうだい?痛い所とか無いかい? 」
女性は、明るく笑顔で
自分の知らない人間だったので、無意識に少女は睨むような目つきで身構えた。
「 あんた、海に倒れてたんだよ。覚えてる? 」
( 海……? どういうこと……? )
「 先生ー!先生ー! お嬢さんが起きたよーー!!! 」
女性は大声で叫びながら、先生と呼ばれる誰かを呼びに部屋の外へと駆け出して行く ――― 。
「 おはよう、お嬢さん。
落ち着いた物腰の その男性の事も 少女は見覚えが無く、彼の問いに無言のまま
部屋に入って来た二人の人物を不安げな瞳で見つめた。
「 あんた、
とにかく、熱がすごくてねぇ! あたしが看病したんだからね!? 」
( ……
なんだか、よく解らなかったが 自分の事を看病してくれたらしいので
「 ありがとう……? 」
二人によると、
―― 年輩の男性は医者で、名は 『
―― 女性は 彼の助手で 『
”はくちゃん ”とは、
目の前にいる二人と、その
少しずつ警戒を解いて行く ――― 。
「 ふむ、熱は引いているようじゃな。薬が ちゃんと効いたようじゃ! 」
”やはり、自分の読み通りだったな”と、
「
「 まかせな!! 」
―――
「 お主、名は何と申す? 」
少女は答えようと口を開いたが、何故か言葉が出てこない・・・・
( あれ?名前……? 私の名前は……――― )
考えれば考えるほど自分の名前が分からない事に気づくと、次第に少女は焦り始めた。
何かがおかしい・・・――― そう感じていた。
「 名は持たぬか? 」
「 いいえ!あります。 あるけど…… 」
少女の顔色が蒼白の色に染まって行くのを目にし、
「 名乗れない事情でもあるのか? 」
「 …事情?……??………!?」
「 どうしたのじゃ…? 頭が痛むのか…!?」
「 わからない…… 思い出せない……… 」
―――――― 考えても考えても自分が誰なのか分からず、少女は泣きそうな顔で そう答えた。
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