第25話 奴隷の実力

 屋敷に戻りキャサリンさんの所へと行く


 ...にしても静かだな...本当に一言も喋らない


 俺は彼女達を購入した後、静かに屋敷まで着いて来るように命令をしたのだ


「シュン様、こちらの方たちは?」


 そこへティーナが現れる


 ...彼女にはクレア様が倒れた時、理不尽に責めてしまったが、その後謝罪をして許してもらう事が出来た


「今日奴隷を買ったんだ。彼女達を住まわすレイン場所を都合して欲しい」


「そうですか...ではシュン様の隣の部屋が空いていたはずですので準備をさせましょう」


「よろしく頼む」


 さて、これで彼女達の住む場所は調整出来た


 後は彼女達の能力がどういう物か確認をしておこう


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「よし、ここなら大丈夫だろ

 済まなかったな。もう喋っていいぞ」


「疲れた〜」

 銀色の髪をした姉妹の中で一番小さい少女が床に寝転がる


「ここ...どこ?」

 姉妹の中で真ん中の少女が尋ねる


「あぁ、ここはクレア・シュバルツの屋敷だ。俺はこの屋敷で世話になってるシュンという。よろしくな」


「こちらこそよろしくお願いします」

「よろしくね〜」

「...よろしく...」

「よ、よろしくお願いします...」


 これで挨拶は済ませたな


「さて、皆に名前を決めて欲しい。俺には人の名前を決めるのは荷が重いからな」


「では、昔の名前でよろしいでしょうか?」


 そうだった。それが一番良いよな...

 名前を奪われてるのに、新しく決めろなんて、酷い事を言ってしまった...


「あぁ済まない。それで頼む」


「では私から。私の名前はルネと申します。

 魔法は水魔法の中級までを使用できます」


「私...ルナ。魔法...闇。初級まで...」


「わたしルカ〜。魔法は光使えるの〜。ルカね〜中級使えるの〜」


「わ、私はサラって言います。何でもしますから捨てないでください!」


 ...一言でここまでそれぞれの性格が分かるのは珍しいんじゃないだろうか...


「それじゃあみんな、今使える魔法の中で、一番レベルの高い魔法を使ってみて欲しい

 ...人を傷つけないように」


「分かりました。では私から」

 そういうとルネは呪文を唱える


「偉大な母なる海よ。名も無き大地へとその恵みを与え給へ 降水レイン!」


 するとあたりに雲が出来始め雨が振りはじめる


「これはすごいな。ルネすごいぞ!」


「ありがとうございます。ですが...」


 その時急に雲が無くなり雨が止む

「どうしたんだ?」


「申し訳ありません。まだ操作が難しく

 コントロール出来ないのです。」


 そうか...訓練が必要だな...


「...次、私。...『暗幕ダークネス』...」


 辺りが真っ暗になる

 これは、いろんな場面で使えそうだ

 しかもルナは今、無詠唱でこの魔法を使った

 無詠唱で魔法を使うのは、普通の10倍難しいと言われている

 おそらく何度も何度も練習をしてきたのだろう


「次、ルカ〜。世界をいやす神樹の恵よ

 彼の物達に癒しを与えよ『治療リカバリー』〜」


 ......何も起きないな、言ってる言葉から判断して治療系の魔法だったのだろう


「あれ〜何も起きな〜い」


「ルカ、あれは回復系の呪文でしょう?

 ここじゃ意味無いと思いますよ。」


「そうだった〜。ルカの魔法、必要無いのは

 良いこと〜。」


 本当に治療系の魔法だったらしい


 次は、サラだな...時空魔法...一体どんな魔法なんだろうか


「えっと、そのやります...えいっ」


 彼女が石を投げるとその石は空中で数秒間静止してその後、地面に落ちた


 ...これは...すごいな...どうりで奴隷商人が『時空魔法を使える』奴隷を献上なんてするはずだ

 つまり...そういうことなんだろう


『時空魔法』と分類出来る能力を持った奴隷

 ということか


 しかし、何かの役に立つ可能性は高いだろう


「ごめんなさい。私、実はこれしか使えなくて...でも『これも時空魔法だから、時空魔法を使えますって言いなさい』って言われてて...」


 確かに、魔法が使える者と使えない者では取引される時の値段が圧倒的に異なる。そう考えると奴隷商店としては高く売れる方が良いため当然の判断だろう。


「いや、気にしなくていい。この魔法も充分に役立つだろうし、戦力だけを目的として、買ったわけじゃない」


今の所の目的は、スターフォルン公爵家を潰す事だ


「え?それって...そういうことなんですね...」


何故だろう、急にサラの表情が曇りだす


「サラ、大丈夫か?」

「...はい...大丈夫です...」


...取りあえず今は、放っておこう。何かトラウマに引っ掛かったのかもしれない

今日はもう、終了して食事にしよう


「今日の所は終わって、今から屋敷に戻ろう」


「戻るの〜」

ルカが走って屋敷へと向かって行く

そしてその後を追うようにして俺達は屋敷の中へと戻って行くのだった







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る