第23話 貴族ということ

 ドラグニガ王国には貴族制がある


 その階級は順に 王族、 公爵、公伯爵、子爵、男爵である。


 この階級は功績を残すことによってある程度は上の爵位を賜わることが出来る


 しかしこの国では 王族、公爵は『固有奥義』を受け継いでいる者が王族、伯公爵となる為、普通は限界が伯爵である...普通ならば


 だが、政略結婚によって公爵の家に婿入りして公爵家となることは可能なのである


 そう...貴族の世界では当たり前のことなのだ公爵家との政略結婚なんて


 だが絶対に許さない


 これ以上、クレア様を不幸にはしない

 その為なら何だってしてやる

 たとえ伯爵家を潰すことだとしても



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ハクさん。首都の税収で後どれくらい持ち堪えれそうですか」


「あと3ヵ月が限界です。軍事費だけはどうする事も出来ませんから」


『公爵家』と『公伯爵家』には明確な差がある


 それは公爵家は必ずその領土を外部から守らなければならない事


 そして伯爵家や他の貴族は守って貰うために公爵家に納税をしなければならないという事


 つまり本来このような『駆け引き』が成り立つ訳がないのだ


 だが税を払わないからと言って軍を引き上げさせる訳には行かない


 侵入して来た軍や魔物はいつかは必ず自分の所に来るからだ


 だから、税を払えと言い続けるしかないのだ


「これは、クレア様が領土の軍を引き上げさせることができないのを知っていますね...

 こんな時本来どうするんですか?」


 こんなのが成り立つのならどこの貴族だってやるはずだ


「こんなの叛逆罪で普通は爵位を取り上げて終わりです。しかし...数が多すぎます」


 なるほど、そういうコトか...

 なんて性格が悪いんだ


 叛逆罪で爵位を取り上げれば問題は解決できる

 しかし領土の全員に叛逆罪を適用すればどうなるか


 間違いなく領土の経営は崩壊するだろう


 それを見越して、領土のすべての貴族を巻き込んでこのような行動に出たのだ


 しかし...だったら手段がある


 スターフォルン公伯爵家を潰し、使えそうな家を残す方法が


「ハクさん、俺が今自由に使えるお金はいくらぐらいですか?」


「そうですね...確かシュン様は男爵に任命された時に金貨20枚を頂戴しているはずです。

 それに領主代理としての資金が金貨50枚ですから、金貨70枚がシュン様が今、自由に使えるお金だと推測します」


 金貨70枚、日本円で7千万円か...

 ...おそらく大丈夫だろう


 まずは手駒が必要だな...


「ハクさん。信頼出来て、こちらの指示に従ってくれる人に心当たりは有りませんか?」


「それなら奴隷はどうでしょうか?

 奴隷ならば奴隷紋により絶対に主人を裏切れません。そして主人の命令は絶対なので確実に任務を実行しようとしてくれます」


 奴隷か...この領土を勉強して知ったのだがこの世界には奴隷制度がある

 奴隷は物として扱われ人権が認められないのだ


 確かにそれはいい考えだ。

 しかしその選択をするということは元の世界の常識を捨てるという事。流石に抵抗があった


「奴隷を手元に置いておけば、今後の役にもたつでしょう」


 ...クレア様の為なら何だってやるって決めたじゃないか

 ...別にいいだろ前の世界の常識なんて


「...ハクさん。奴隷を買おうと思います。

 店を紹介してくれませんか?」

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