第21話 許し

「クレア様...」

俺はすぐにクレア様の前にひざまずく

「申し訳ありませんでした!!」


「え?...えっと、どうしたの?」

「俺のせいでクレア様が大変なことになっているのに、なのに俺...クレア様の屋敷でのうのうと生活して」


「えっと、大丈夫だよ?気にしなくていいんだよ?」


「そんなわけにはいかないです!全部俺のせいなのに...。全部ティーナから聞きました。

俺のために能力を使ったこと。

そしてそのせいでクレア様が今大変なことになっていること。全部俺のせいです。

申し訳ありませんでした!俺すぐに此処から出ていきます。俺がいると皆不幸になるから...」


「そっか...辛かったんだね...」


そう言うとクレア様は傍に座って


俺を抱き締めた


「え?ちょ、く、クレア様!?何を!?」

「大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫」


なぜだろう?抱き締められるととても落ち着く...小さい頃よく施設の人に抱き締められて喜んでいたのを思い出す


「シュン君は何も悪くないよ...

これは私がミスしちゃたせいなんだから。

それに...シュン君はあの時、自分の意思では行動出来なかったんだからどうしようもないよ」


「で、でも!俺がいなければそもそもこんなことには!!」


「...人は人との繋がりで生きているの。

誰かがいなければ、なんて悲しいこと言わないで?」


この時、施設を出て親父の元へ向かっていた時の事を思い出す


親父が俺の身元を引き受けてくれて嬉しかった


これから今までの分まで仲良く暮らしていきたいって期待してたんだ


親父が俺を殴ってもいつか普通の家族みたいになれるって思ってたんだ


あぁ 俺は血のつながりを求めて親父の所へ行ったんじゃなかったんだな


俺のことを大切にしてくれる人に会いたかったんだ


「...ひっぐ 、ありがとう...ありがとう...」


どれくらいの間泣いていただろう...

クレア様はその間もずっと抱き締めていてくれた


夜が終わり 窓の外が微かに明るみを帯びてくる


すると恥ずかしさが急激に襲いかかり始める


「すみません、ありがとうございました」

少し名残惜しいがクレア様から離れる


そしてクレア様がどうしてもここまでしてくれるのかが不思議に思った。

何故だ?なんでこの人は俺を許してくれるんだ?俺に何を求めているんだ


「...なんでそんなに優しくしてくれるんですか?こんな俺なんかに」


「...たった一人でこの世界に連れて来られて...大変だと思ったんだ...独りぼっちは辛いだろうから」


そういえば、俺孤独だったな...前の人生からだけど


「...その気持ちを考えたら胸が苦しくなって」


そうか、この人は優しいのだ。それこそ

『聖人』並に


だったら


俺が彼女の剣と盾にならなければならない


「俺、貴方の眷属になります

貴方の剣となり盾となり絶対に貴方のことを守ります。貴方を絶対に裏切りません

...認めてくれますか?」


「...眷属?...私のものになってくれるの?」

「はい、貴方の為ならどんなことだってやってみせます!」


「えへへ...とっても嬉しいな...じゃあ貴方を今から『シュバルツ領主代理』に任命するね...やってくれる?」


「はい!」


こうして俺は魔女クレア・シュバルツの眷属となり、そして領主代理となったのだった

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